新車販売台数ではトヨタに20倍以上の差を付けられている
7月18日からインドネシアの首都ジャカルタ近郊でGIIAS2019(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)が開催された。そのGIIAS2019会場内にある日産ブースへ行くと、メインで展示されていたのが、三菱からのOEMとなる新型リビナであったことに驚かされた。
リビナは海外専売モデルとして初代が2007年にデビュー。2006年に登場していた3列シート7名乗りとなる、グランドリビナ(リビナジェニスと名乗る地域もある)の派生モデルと位置付けられる。
2代目リビナは、目下インドネシアだけでなくタイで大ヒットとなっている、三菱自動車の3列シートを採用したコンパクトミニバン、エクスパンダーをベースに、顔つきをVモーショングリルにするなど日産風にアレンジしたOEM車となっている。
GAIKINDO(インドネシア自動車工業会)の統計によると、2019年5月の日産全体のインドネシアでの新車販売台数は1204台(トップのトヨタは2万9128台)、1月からの累計販売台数は6008台(トヨタは13万5813台)となり、5月単月、1月からの累計ともに、中国のウーリンブランドを下まわっている。
統計数字はともかくとしても、ジャカルタやショー会場近くで日産車を見かける機会は数少ない。2019年1月~5月の累計販売台数での市場占有率が1.4%では、街なかで見かける機会が少ないのにも納得させられる。事情通氏によると「インドネシアではダットサンブランドを展開しているのですが、これがまたすこぶる評判が悪いのです。あまりにも安普請すぎるのです。評価が一度下がると取り戻すのはほぼ不可能なのがインドネシア市場です」とのこと。
日本と同様に売れる車種も大きく偏っている
また事情通氏は「日産で売れているのは、この新型リビナとエクストレイルぐらいしかないのです」とも話してくれた。現地の日産のウェブサイトを見ると、日本国内ほどではないが。SUVではジュークやテラ(新興国専売モデル)、そしてナバラ(ピックアップトラック)、さらにセレナとエルグランド、マーチもラインアップされているが、販売車種は極端に偏っているというのだ。
こんな話どこかで聞いたような……と思ったら、日本でも売れ筋はデイズシリーズ、ノート、セレナに特化されている。販売車種の偏りは別としても、この新型リビナがインドネシアでの日産の救世主になるかといえば、「普通に考えればエクスパンダーを買うでしょう。そもそも日産のブランドパワー自体も弱いですし」(事情通)。日本の新車販売セールスマンはOEMの販売には消極的なひとが多いとも聞くが、インドネシアでも事情は同じのようである。
日本人から見れば、あの日産が三菱からのOEMをメインに車両展示している姿は非常に痛々しく見えてしまうし、インドネシアの消費者の皆さんからは、「うちの国の扱いはそんな程度なのか」と見られたとしても文句は言えないであろう。
インドネシアは非常に親日的な国であり、クルマだけでなく日本製品に対する信用やリスペクトはハンパではない。新車販売では日本車のシェアは9割を超え、“日本車最後の楽園”ともいわれている。そんなインドネシアのオートショー会場でOEMをメインに展示するのは少々“おもてなし”に欠けるような気もするが、現状を直視すれば、なりふり構わず、大ヒット車にすがりたいという気持ちが現れているのかもしれない。
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