スバルの新型「レヴォーグ レイバックPremium S_HEV EX」に都市部で乗った印象とは?『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキがリポートする。
スバルの新しい時代を切り拓く──新型スバル レヴォーグ レイバックPremium S_HEV EX試乗記
新型スバル レヴォーグ レイバックPremium S:HEV EXの特徴
1.概要
2.洗練されたエクステリア
3.ミリ単位のパッケージング
4.2.5リッターエンジンとデュアルモーター
5.重量増を味方につけたシャシーチューニング
1.概要
2026年7月2日に正式発表された新型レヴォーグ レイバック Premium S:HEV EXは、スバルがこれから進む道を、かなりはっきり示したモデルだ。
かつて一世を風靡した初代「レガシィツーリングワゴン」から始まり、日本の道路環境に合わせて磨かれたレヴォーグへと受け継がれてきたスバルのグランドツーリング思想は、ここで「ストロングハイブリッド」と「クロスオーバーSUV」という現代なりの答えを得て、新しい次元へと昇華した。
掲げるコンセプトは「移動の質を高めるハイブリッドクロスオーバー」。従来のレヴォーグが持っていた質感の高い走りに、ストロングハイブリッドの環境性能と、SUVとしての実用性を重ねている。
¥4,521,000というプライスタグのこのトップグレードは、パワートレインを載せ替えただけのモデルではない。クルマの性格そのものが変わっている。
2.洗練されたエクステリア
外観でまず目を引く。そしてスバルファンほど驚くであろう変化は、フロントフード上のエアスクープが姿を消したことだ。
ガソリンターボモデルでは、インタークーラーへ冷却風を導くために欠かせなかったこの無骨な開口部が、ストロングハイブリッド化にともなって不要になった。おかげでフードは滑らかな、目に引っかかりのないシルエットになっている。加えてインナーパネルの形状を根本から見直し、視界性能と歩行者保護性能を両立させた点も見逃せない。
デザインコンセプトである「凛と包」を体現するかのように、ヘッドランプからシームレスに繋がるワイドなフロントグリルは、ダークグレーシリカとサテンメッキの組み合わせによって、先進性と上質さを両立させている。ヘッドランプウォッシャーをグリル内に組み込んだことで面が連続し、かつてのスポーツワゴンから都会派クロスオーバーへ移ったことが、ひと目でわかる仕上がりだ。
足元を引き締める18インチアルミホイールは、ブラック塗装と切削光輝の組み合わせ。鍵型モチーフが連続する緻密な造形は、ストロングハイブリッド搭載モデル専用のデザインだ。
往年のレガシィやアウトバックが持っていた大らかなツーリングワゴンの系譜を受け継ぎつつも、よりモダンに整理された外観は評価したい。
3.ミリ単位のパッケージング
このクルマの武器は、寸法にある。
主要諸元は全長4735mm、全幅1820mm。決して小さくはない。だがストロングハイブリッドモデルの全高は、ガソリンモデルから20mm引き下げられ、1550mmジャストに設定されている。日本の都市部に多い機械式立体駐車場の一般的な高さ制限(1550mm)をクリアするための、実用に振った判断だ。既存のクロスオーバーSUVの多くが車高の高さゆえに駐車環境を選ぶ弱点を抱えるなか、本モデルはこれを克服している。
それでいて、悪路走破性の指標となる最低地上高は、20mm下げてなお180mmを確保する。雪道や荒れた路面での安心感は残されている。
この20mmに開発陣がどれだけ粘ったのか。都市部での扱いやすさと、週末のアウトドアにおける走破性を両立させるためのミリ単位の調整には、素直に感心させられた。
インテリアでは、ナッパレザーを採用したフロントシートが、スバルの人間工学に基づいた設計で骨盤をしっかりと支える。長時間のドライブでも疲れが溜まりにくい。運転席には10ウェイパワーシートとランバーサポートが備わり、体格に合わせたきめ細かなポジション調整が可能だ。乗車時にあらかじめ設定したシート位置を自動で復元するポジションメモリー機能も用意されている。
4.2.5リッターエンジンとデュアルモーター
注目のパワートレインは、新開発の2.5リッター水平対向4気筒エンジン(FB25型・DOHC 16バルブ AVCS直噴)に、駆動用と発電用の2つの高出力モーターを組み合わせた、シリーズ・パラレル方式のストロングハイブリッドシステムだ。〔※呼称は要確認〕
エンジンは最高出力118kW(160ps)/5600rpm、最大トルク209Nm/4000-4400rpmを発揮。これに最高出力88kW、最大トルク270Nmの駆動用モーター(MC2・交流同期電動機)が組み合わされる。
リチウムイオン高電圧バッテリーの容量は4.3Ah。パワーコントロールユニット(PCU)をエンジンルーム内に配置するなどの工夫により、システム全体を高効率かつコンパクトにまとめている。
面白いのは制御の考え方だ。従来のe-BOXER(マイルドハイブリッド)がエンジンの黒子役に徹していたのに対し、このS:HEVモデルは幅広い走行シーンでモーター駆動を主役とし、高速域などモーターが苦手とする領域のみをエンジンがシームレスにカバーする。
5.重量増を味方につけたシャシーチューニング
実際の走行フィールは、これまでのスバル車の印象からすると意外なほど「穏やか」で「滑らか」だった。
発進時は静粛性の高いEVモードでスルスルと走り出し、アイドリングストップからの復帰やアクセル開度に応じてエンジンが始動する際も、そのショックやノイズは小さく抑えられている。
かつてのレヴォーグにあったような、アクセルを踏み込んだ瞬間にターボが炸裂するような加速──いわゆる「走り屋」的なスポーツ性は影を潜めている。しかし、ストップ&ゴーの多い市街地から高速道路への合流まで、いかなる場面でもドライバーに急激な挙動変化を感じさせないフラットな出力特性は、長距離移動における疲労を軽減してくれるはずだ。
乗り心地とハンドリングについても、ストロングハイブリッド化に伴う専用のサスペンションチューニングが光る。車両重量は1700kg(オプション装着時最大1720kg)に達し、ガソリンモデルよりも明確に重い。ところがこの重量増が、むしろ「しっとりとした接地感」というプラスの方向に作用している。全高と最低地上高を20mm下げたことに伴い、フロントのストラット式独立懸架およびリアのダブルウィッシュボーン式独立懸架のストローク量、スプリング、減衰力特性が見直された。
結果として、低速域での路面の凹凸をいなす吸収性が向上し、高速走行時のフワつきやコーナリング時の不要な揺さぶりが抑え込まれ、フラットで上質な乗り心地を実現している。
電動パワーステアリングのアシスト特性も変更されており、ステアリングフィールはマイルドでありながら、路面のインフォメーションを正確に伝えてくれる。
総じて、ドライバーを急かすことなく、穏やかな気持ちで運転に没頭させるという、グランドツーリングカーとしての理想的なセッティングだ(次のページへ続く)。
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