モータースポーツで培ったノウハウを市販車用アフターパーツとして展開するトヨタ系ワークスチューナー「TRD」。ベース車の特性に合わせて空力パーツや各種機能部品を開発している。最近、特にこだわっているのが、操縦安定性や乗り心地を向上させるためのアイテムで、実際に装着すればその効果はてきめんだ。しかし、パーツを付けてしまえば装着前後の“差”を確認するのは難しくなる。そこで、ワークスチューニンググループ合同試乗会にて、トヨタ最小スポーティカー、コペンGRスポーツで、GRパーツの「あり・なし」を乗り比べて確かめた!
GRパーツを装着する意義を探る
コペンGRスポーツに設定された「GRパーツ」。パフォーマンスダンパー、エアロパーツ、ディスチャージテープ(アルミテープ)など、各パーツを装着すると走りにどのような変化や効果をもたらすのか興味深いところ。
素のコペンGRスポーツを試乗
そこで、1:GRパーツ未装着、2:パフォーマンスダンパーのみ装着、3:エアロパーツ、パフォーマンスダンパー、アルミテープを装着……の3パターンの試乗車を乗り比べて、それぞれの違いを確かめてみた。ちなみに、ハードトップの有無でクルマの動きに変化が起こることからすべてクローズ状態で試乗した。
まずは1のGRパーツ未装着車から確かめる。ベース車のコペンに対して、おもにフロア下のフロントとセンターに補強のブレースを追加することでボディ剛性を高めているものの、オープンボディの鬼門はハードトップだ。荒れた路面やうねり路を走ると、ハードトップと接するAピラー付近から生じた振動や共振がステアリングやシートにも伝わる。
コーナリングではタイヤのグリップ力(ブリヂストンのポテンザRE050A)に依存するところが大きく、軽自動車にしては扁平率が低い(タイヤサイズは165/50R16)ために、ダイレクトなインフォメーションが得られる反面、路面の粗さをモロに拾ってしまう。
パフォーマンスダンパー装着車に乗り換える
そこでパフォーマンスダンパーのみを追加するとどうなるか。試乗会場の駐車場から表通りに出る際の段差の乗り越えで、内装トリムが擦れ合うことで発する「ギシギシ音」がノーマルに比べて明らかに小さく感じる。GRパーツの開発を担当したTRDのスタッフによると、特にパフォーマンスダンパーは左右方向の動きをコントロールする効果が大きく、揺れや振動にともなう騒音が抑えられるとのこと。
パフォーマンスダンパーの作用でステアリングに伝わる振動も抑えられ、ノーマルだと微振動によって妨げられていたインフォメーションがクリアになり、コーナリングで切り応えがより明確に感じ取れるようになった。
「ノーマルはボディがねじれて力が逃げることでクルマが『曲がろう』とする動きを阻害しますが、そこにパフォーマンスダンパーを追加すると微振動を減衰して止めることができます。加えて、パフォーマンスダンパーでフロント側はサスペンションメンバー両端、リヤ側はクラッシュボックス(リヤサイドメンバーの先端に配される、衝突時のエネルギーを吸収する部材)の左右をつなぐことで適度にボディ剛性が補てんされ、操舵初期からスッキリとした手応えが得られます」
という、助手席に同乗するスタッフの解説を聞いて納得した。
では、上下方向の動きはどうだろうか。入力にともなう車体の変形を穏やかにするパフォーマンスダンパーの作用で、サスペンションとタイヤをスムーズに動かす状態を作り出せるという。たしかに、ノーマルだと不快な突き上げや跳ねが気になった場面でも、GRスポーツ専用セッティングのKYB製ダンパーとタイヤ、BBSアルミ鍛造ホイールのパフォーマンスが存分に発揮され、入力をしなやかにいなしてくれる。
ステアリングインフォメーションが正確になったことで修正舵を当てる必要がなくなり、騒音や乗り心地も改善。車格がワンランクアップしたような印象を受ける。
GRパーツをフル架装した車両では?
最後はボディの4カ所に貼り付けることでボディのプラス帯電を取り除き、空気の流れをスムーズにするアルミテープ(商品名はGRディスチャージテープ)と、エアロパーツ(フロントスポイラー、サイドスカート、リヤサイドスポイラー、フロントコーナースポイラー、リヤトランクスポイラー)の効果を体感。
アルミテープは、走行中に塗装のクリア層に含まれる金属成分に電気が溜まり、空気の流れを乱すので、それを取り除くことで空気の流速を高めて、エアロパーツとの合わせ技で空力性能を向上させるのが狙いとのこと。
エアロパーツはパフォーマンスダンパーだけでは改善しきれない、上下方向の動きを空力的にコントロールすることでボディの浮き上がりを抑え、接地感を高めるのが目的。
「エアロのチューニングでもっともこだわったのが、ロールの戻り方です」
と力を込める開発スタッフ。S字コーナーが連続する場面では、ロールの戻りが悪いと次のコーナーに進入する際にクルマの挙動がつかみづらく、旋回中に舵の修正を余儀なくされる。
そこで、エアロで車体の浮きを抑えて、タイヤがしっかり潰れるようにチューニング。ロールを終えてサスが伸びようとする動きとボディの動きが一致するので、接地感の高さや挙動安定性が失われない。ドライバーは修正舵を当てずに狙いどおりのラインをトレースできるというわけ。
全部盛りでバランスに優れる仕上がりに
3台を乗り比べた結論としては、3の「パーツ全部盛り」がもっともバランスに優れているように感じられたが、2のパフォーマンスダンパーを追加するだけでも、ハンドリングや乗り心地の改善がしっかり体感できた。
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GRスープラ用パーツに新作登場
2020年の一部改良でRZのエンジン出力を47馬力引き上げるなど、たゆむことなくアップデートを続けるスープラに合わせて、GRパーツにも注目の新製品が追加された。
RZ用の「パフォーマンスダンパー+ブレースセット」は一部改良後のモデルにのみ対応。というのも、一部改良で追加されたフロントアッパーブレースを取り外し、そのボルト穴を生かしてパフォーマンスダンパーとフロントセンターブレースを装着するため。
リヤのリーンフォースの奧にもパフォーマンスダンパーを装着することで、初期操舵から確かな手応えが得られ、より深くステアリングを切り込んでいった際の剛性感も増した。
GRスポーツマフラーもRZ専用。ブラッククロームのテールエンドにはスリット加工が施され存在感を高めるとともに、直6エンジンならではの澄み切ったサウンドを奏でる。
ハイラックスにあると便利な電動格納ステップに注目!
車高の高いハイラックスの乗降性を高める電動格納ステップ。既存のステップにアームを取り付けることで、ドアの開閉に連動してステップが自動で展開/格納する仕組みだ。
スタイリングキットはハイラックスのオフロードテイストを極めるアイテムで、シルバーに塗り分けられたフロントバンパーカバー、悪路走行で下まわりを保護するフロントアンダーカバー、乗降性を考慮したサイドステップ、ベッド(荷台)を囲うスポーツバーで構成。
TRDパーツでライズをスポーティにカスタマイズ
コンパクトSUVのライズもTRDに手にかかると、塊感を強調したスポーティなスタイリングに昇華する。
レーシーなディフューザー風のディテールを下端に取り入れたフロントスポイラーとリヤバンパースポイラー、風を切り裂くような躍動感を表現したサイドスカートで構成されるエアロパーツセットは見かけ倒しではなく、ボディ側面や下面を流れる風を整流することで直進安定性や走行安定性に寄与するもので、レースフィールドでのノウハウ豊富なTRDらしさを体現している。
〈文=湯目由明 写真=山内潤也〉
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