アウディスポーツでカスタマーレーシングの責任者を務めるクリス・ラインケは、インターコンチネンタルGTチャレンジ(IGTC)が「トップ・リーグ」の地位を維持するために、鈴鹿10時間レースの将来的な復活を望んでいる。
グローバルなGT3シリーズであるIGTCの一戦として2018年に始まった鈴鹿10時間レースは、日本における新型コロナウイルス関連の渡航制限等の影響により、2020、2021年と開催が見送られている。
2022年のインターコンチネンタルGTチャレンジは全4戦で開催。バサースト12時間が復活
また、IGTCを展開するSROモータースポーツ・グループは、2022シーズンのカレンダーを10月10日に発表したが、そこにも鈴鹿の名前はなく、アジア地域内における代替ラウンドも開催されないことが明らかとなっていた。
ラインケは、トップレベルのGT3レースにとっては将来的にアジアへと戻ることが重要であり、しかもそれは鈴鹿のような象徴的なイベントである必要があると述べている。
「アジア全般についていえば、日本だけでなく中国も、アウディにとっては非常に重要なマーケットだ」とラインケはSportscar365に対し語った。
「当初、マレーシアではある意味無視されていると思っていたので、セパンでレースが開催される前はあまり賛成できなかった」
「鈴鹿というブランドを、インターコンチネンタルGTチャレンジのエキサイティングな名前のリボンに刻むことができたのは、素晴らしいことだった」
「この地域は重要だ。日本のマーケットはとても大事なものだ。我々が参戦することができ、そして優勝できたレースはとても大きな意味があった。我々は、そのレースを取り戻したいと思っている」
メルセデスAMGカスタマーレーシングのボスであるステファン・ウェンドルは、鈴鹿が世界中を転戦するGT3シリーズにとって「重要な要素」のひとつであると述べ、ラインケに同意している。
「我々はインディアナポリス(インディアナポリス8時間)で何かを築き上げ、そして南アフリカ(キャラミ9時間)でも何かを残したいと思う。一方、アジアマーケットについての見通しはなく、ここ2年間レースができていない」とウェンドルはSportscar365に対し語っている。
「我々のブランドにとっってだけでなく、アジアのクライアントにとっても、その象徴的なイベントを再開させることは非常に重要だ」
「我々はそれを支援し、カレンダーへ復帰させたいと思っている」
ウェンドルはアジアにおけるトップレベルのGT3レースはふたつしかなく、マカオのストリートコースでもし耐久レースをしたら……という見通しに対してこう冗談めかした。
「マカオで10時間レースをやったら、ユニークなものになるだろうね! いったい何回セーフティカーやフルコースイエローが出るのか分からない。面白い試みにはなると思う(笑)」
「ともあれ、我々は本当に両方(鈴鹿、マカオ)に戻りたいと思っているんだ」
アウディのラインケはまた、次のように付け加える。
「正直なところ、2022年のIGTCカレンダーを見れば、バサーストが戻ってきたし、スパもあり、インディアナポリスという素晴らしい名前もあり、キャラミもあって、我々は素晴らしい発展を遂げようとしている」
「そのラインアップの中で見ても、鈴鹿は素晴らしいレースだ。そして、私は間違いなくステファン(・ラテル/SRO代表)とともにいる。彼は、シリーズが“第2リーグ”に成り下がってしまうような、鈴鹿の代替戦を開催しようとすべきではない」
「彼はIGTCをトップ・リーグに育て上げた。それのために、戦い続けるべきだ」
■スーパーGTが1000kmレース開催なら、IGTCは別のサーキットへ?
SRO代表のステファン・ラテルは依然鈴鹿へ戻ることを望んでいるものの、それを復活させることができるかは地元のプロモーター次第であるとも認めている。モビリティランドは真夏の耐久レースを、スーパーGTの一戦として開催する可能性がある。
「鈴鹿がカレンダーに戻ることを切望しているが、2023年より前には実現しないことは分かっている」とラテルはSportscar 365に対し語った。
「我々は(来年)バサーストに戻ることができ、ひとまずハッピーだ。バサーストは、スパとともにインターコンチネンタル(シリーズ)が構築された場所である。その後、そこから(他のサーキットでの開催へ)向かう」
2017年までは、GTアソシエイションとモビリティランドが、スーパーGTの一戦として開催してきた鈴鹿1000kmレース。2018年からはIGTCの一戦として、鈴鹿10時間レースへとイベントが生まれ変わった。
GTアソシエイションが明らかにしている2022年のスーパーGTのカレンダーによれば、伝統的な8月下旬に鈴鹿でのレースが組み込まれているが、スーパーGT戦のレース距離が通常の300kmになるのか、1000kmという長距離戦になるのかは不明だ。
「いくつかの報道があるようだが、彼らは1000kmをやりたいのだろうか? 我々には分からない」とラテルは述べている。
「彼らが1000kmをスーパーGTで復活させることになったら、鈴鹿サーキットはそれを我々に知らせてくれると思っている。彼らが我々のもとへ来た当初、彼らは1000kmを国際的なイベントにしたがっていた」
もしこのイベントがスーパーGTにおける耐久戦へと回帰する場合、ラテルはアジア地域において別のIGTCイベントを探す以外に選択肢がないことを認めた。
「しかし、そのようになる(スーパーGTが1000kmレースを開催する)というインフォメーションは手にしていない」とラテルは語った。
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