作業場とベッド、キッチン、シャワー、トイレ完備のオーダーメイドトラック
みなさん、こんにちは。MotoGPのパドックでHJCのレーシングサービスを担当している、トミーハセガワ(筆者:長谷川朝弘)です。今回は、僕のパドックでの仕事場であり、生活する場所でもあるトラックのお話をしたいと思います。
【画像】いざ、トラックの中へ!! 大改造オーダーメイドの仕事場と居住空間を見る
HJCをはじめ、いくつかのヘルメットメーカーは自社のトラックを持っていて、このトラックをパドックに停め、レースウイークにはトラックの中でヘルメットサービスを行ない、また僕のようなレーシングサービスの担当者は、このトラックで生活しています。HJCのように自社の車両を持っているのは、ほかにアライヘルメット、SHOEI、SHARKですね。
トラックは、完全にオーダーメイドです。シャシーだけ買って、あとはコンストラクターに「こういう設定にしてくれ」と頼んだんです。棚なども、高さから全てオーダーしました。
作業場についても、作業台のテーブル、ヘルメット置き場の棚もサイズを指定して作ってもらいました。リビングエリアはともかく、作業場はこだわりましたね。作るのには半年以上、下手したら1年後に納車だそうです。
会社によってトラックのレイアウトは違うのですが、HJCの場合は(作業場とミーティングルームで)仕切りをつけました。生活エリアには電動昇降式のセミダブルベッド、ミーティング用のソファとテーブル、備え付けのテレビが2台あります。キッチンには電気式のコンロ、電子レンジや冷蔵庫、冷凍庫も備わっていますし、トイレとシャワーもあります。
電気や水はどうしているかというと、水曜日にトラックがパドックに入って、洗車をしてから、電気や水道をトラックにつなぎます。パドックには電気のステーションが各所にあるのでそこにつなぎ、水も地面から仮設でパイプを入れて使えるようになっています。テレビのアンテナもあるので、そこにつなぎます。
以降は、日曜日まで1日24時間のうち23時間をこのトラックで過ごします。食事の話をすると、僕はカップラーメンをよく食べるのですが、スープヌードルの場合、1~2分でも置いておくと麺が伸びてしまって嫌なので、なるべく焼きそばやカレーなどを自分で作って食べています。もちろん、HJCがサポートしているライダーのチームのホスピタリティに行けば食べられるんですけど、日中はライダーが走っていていつ何があるかわかりませんから、お招きいただいたとしても夜にしか行けません……。
僕は、なるべくトラックの中にいたいんですよ。いつライダーが飛び込んでくるかわからないし、ヘルメットのピックアップやデリバリーにしても、なるべく直接顔を合わせて対応したいと考えているからなんです。だからこのトラックの中で、パパッと作って食べています。
あとは、やはり日本食が沁みるので、キャンプの飯盒のようなもので白米を炊いて、お茶漬けやレトルトのカレーなどを持ってきて食べています。お好み焼きを作ったこともありますよ。
コロナ禍では2戦連続で2週間同じサーキットで開催されたことがあって、そのときは外出も禁止だったんです。HJCサポートライダーの(アルベルト・)アレナスがよくこのトラックに来て、2人して料理して、スペインオムレツを作ったりもしましたね。
お湯は電気で温めるボイラーがついていて、フルに使って2人分のシャワーは全く問題なく使えます。もちろんキッチンもお湯が出ます。
本当に住めるんですよ。というか、住んでいます(笑)。誰だったか忘れましたが、パドックで寝るのとホテルに泊まるの、どちらが良いか? という話で、そのライダーは「サーキットやパドックにいると常に走ることばかり考えてしまうので、パドックの外で寝た方がメンタルが切り替えられてスッキリする」と言っていました。
以前、僕も他のメーカーで働いていたときは、ホテルに泊まっていました。トラックは作業スペースしかなく、寝るところがなかったからです。レンタカーでホテルに戻り、またホテルから出勤していました。そうなると、渋滞で時間が読めないんですよ。このトラックに住んでいれば、寝るまで仕事できて、朝起きたらまたすぐに仕事ができます。
ホテルに泊まることを考えても、安いホテルになるとエアコンや冷蔵庫が無いところがたくさんあるんです。その点、ここはエアコン完備でキッチンも冷蔵庫もあるし、シャワーもトイレもあります。このトラックが、一番快適な場所なんです。自分の家よりも、ホテルに泊まるよりもね。5歩も歩けば、全てにリーチできるんですから。
MotoGPパドックは、年々豪華に……
以前のMotoGPパドックは、こうではなかったんですよ。昔はもっと小さいクルマ──バンで来て、その横にテントを張って、そこでレーシングサービスをしていたんですよね。でも、テントは見栄えがよくないということで、2000年か2001年あたりにテントはNG、トラックの中で作業しなさい、というレギュレーションになりました。
「トレーラーが望ましい」ということになったので、僕は当時、別のヘルメットメーカーでレーシングサービスを担当していたのですが、その会社ではフルサイズのトレーラーを用意し、作業場、キッチン、休むところをそのトレーラーの中で完結できるようにしました。
パドックに建ち並ぶホスピタリティも、どんどん豪華になっていきましたね。以前はいいところでも、トレーラー2台の間にテントを張るくらいでしたが、今のホスピタリティは、まるでビルディングみたいになっています。
その変化は、だいたいここ10年くらいでしょうか。F1が豪華に見える、ラグジュアリーだ、ということで、(MotoGPも)それを目指していこうと、どんどんホスピタリティが大きくなっていったんです。
各チームのホスピタリティは豪華になっていったのですが、対してサービスカンパニーはスペースが追いやられていきました。あまり大きな車両はよくないけれど、キャンパーのような車両はダメだし、モーターホーム形式もダメ……ということで、今HJCでは普通のトラックを使用しています。
何トン車かわかりませんが、作って8年ぐらい経つと思うんですけど、当時で50万ユーロですね。現在のレートで円換算すると、1億円弱でしょうか。
これは余談ですが、以前の会社ではフルサイズのトレーラーを自分で運転してMotoGPを転戦していたんです。HJCではレーシングサービスに集中して欲しいと、ドライバー付きのトラックをリースしているんですけどね。
自分で運転していたとき、特にイタリアやスペインなどで高速道路を走っていると、なんでもないのにお巡りさんに止められるんですよ。あちらもレース関係の車両だとわかっているから、興味があるわけです。
お巡りさんが「どこ行くんだ」と聞くんです。僕としては「ここを走ってるんだから、次のサーキットに行くのはわかるだろ」と思うんですけどね(笑)。
コマーシャルトラックは、1日に運転できる距離や時間が決まってるみたいです。ただ、モーターホームは休める(車内で寝られる)のでそのレギュレーションから除外される、とか……これは僕もよく分からないです。
その確認なのか、お巡りさんに止められて話を聞かれて、そうするとだいたい「何かないか?」とくるわけです。そこで、帽子やステッカーを渡すわけです。そういうアイテムをあげると、「気をつけて行けよー」ってね(笑)。そういうことで何回も止められるんですよ! お国柄ですよねえ。ドイツやオーストリア、そこから北の方の国ではそういうことはないのですが、イタリアやスペインはよくありますよね(笑)。
というわけで、今回は僕がレース開催の週末に1日のほとんどを過ごす……というか住んでいる、作業トラックについての紹介でした!
■HJC HELMETS韓国のヘルメットメーカー「HJC」は、2025年シーズンは3名のMotoGPライダー、ファビオ・クアルタラロ、ブラッド・ビンダー、ミゲール・オリベイラをサポート。彼らが使用するのは市販製品である「RPHA1」(※モデル名は販売国によって異なる)
(まとめ:伊藤英里)
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みんなのコメント
隣にトレーラーハウスを置くようになると
なんかこっちの方が落ち着くなあ、ってなり
そのうち子供たちもいり浸るようになり
気がついたら家族でそっちにばっかいる
家建てる必要あったっけ?ってのがいた