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長澤まさみ「私の原動力は、次の作品を楽しみに待って下さっている方々をとにかく楽しませたいというシンプルな気持ちです」──映画『ドールハウス』は6月13日公開

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長澤まさみ「私の原動力は、次の作品を楽しみに待って下さっている方々をとにかく楽しませたいというシンプルな気持ちです」──映画『ドールハウス』は6月13日公開

長澤まさみの主演映画『ドールハウス』が6月13日に公開される。矢口史靖が監督をつとめる新感覚ミステリーに長澤まさみが出演を熱望した理由とは?

長澤まさみの恐怖顔を監督も絶賛

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社会現象化した『世界の中心で、愛を叫ぶ』や『モテキ』、『コンフィデンスマンJP』や『キングダム』のようなシリーズ大作、時代を鋭利に切り取った『MOTHER マザー』『すばらしき世界』『エルピス―希望、あるいは災い―』等々、25年にわたるキャリアの中で作品ごとにカラーやテイスト等の出力を自在に変化させてきた俳優・長澤まさみ。『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』の矢口史靖監督と10年ぶりに再タッグを組んだ、最新主演映画『ドールハウス』(6月13日公開)もまた、入り口と出口が異なる変幻自在なエンターテインメントに仕上がった。

あまり耳なじみのない“ドールミステリー”と銘打たれた本作は、幼い一人娘を事故で亡くした夫婦が人形に愛情を注ぐことで再生していくドラマを軸に、不可解な事件に翻弄されていく戦慄のストーリー、人形に隠された壮絶な秘密と大掛かりな展開が、緩急の効いたテンポ感を伴って詰め込まれている。長澤はこの物語に触れた日を「容赦がないところに引き込まれました。生半可なところじゃ終わらせないぞという気概が、日常を少しずつ浸食するさまにワクワクしながら台本を読んだことを覚えています」と振り返る。

「唐突なことが起こりはしますが、それはただのきっかけでしかなく、日常生活での人の心の移り変わりに呑み込まれました」と役者目線でのファーストインプレッションを語る。その主体である主人公・佳恵の喪失や自失、混乱やある種の狂気といった感情のグラデーションをどう設計したのか問うと「脚本への信頼感に尽きます」と言い切った。

「佳恵の心情の流れについては、脚本に緻密に描かれていたため、自分の中での整合性を付けていくだけでした。ただ同時に、矢口監督はある種のハプニングを欲してもいて、本番直前に『いままでに感じたことのないような恐怖の顔をしてください』と指示されることもありました。お芝居とは不思議なもので、心情を深く理解して人間性をどう表現するかが一番大切で基本でもあるかとは思いますが、思ってもみなかったカットやシーンが取っ掛かりになることもある。そうしたリアルさと不自然さを織り交ぜながら作られていった作品でした」

現実感とフィクション性を絶妙にブレンドすればこそ、観る者をぞくりとさせる真実味のあるシーンが現れ出る。撮影においては適切なタイミングを計る技術も求められた。

「家の中のあるシーンでは、佳恵もお客さんも“何かがおかしい”と思う状態を創り出すためにスタッフの皆さんと試行錯誤しました。映像的なトリックを駆使してこの作品ならではの風変わりな画にしている箇所があるため、ぜひ注目していただきたいです。後半に登場するたくさんの人形が陳列されたシーンにも、ある仕掛けが施されています。ゾクゾクさせられる物語ではありますが、そういった部分に矢口監督のお茶目な愛情が散りばめられていると感じます」

その矢口監督は長澤に対して「彼女が繰り出す恐怖顔は本当に恐ろしい」と絶賛している。そのことを伝えると、長澤は「本当ですか。嬉しいです」と微笑みつつ「自分自身、『コンフィデンスマンJP』を経験したことで羞恥心や抵抗感はなくなりました。映画で見せていないものはないんじゃないかと自分では思っています」と、おどけて見せた。

それは、決して冗談やサービストークなどではない。その境地に達しているからこそ、長澤まさみは表現者としてリミッターから解放され、ジャンルを問わない「的を絞らせない俳優」へと進化を遂げたのだろう。続く言葉にも、彼女の達観した自己分析が垣間見える。

「新しい自分を常に求めています。私自身のためというよりも、観てくださるお客さんのために。わかりやすく見た目が違うといったことではなく、物語が持つ魅力をちゃんと表現できるようになりたい、とずっと思っています。

私の原動力は、次の作品を楽しみに待って下さっている方々をとにかく楽しませたいというシンプルな気持ちです。皆さんに『映画館に行きたい』と思ってもらえるような作品づくりがしたい。そのために自分の想像力を育てて、物事に対する理解度や価値観を広げていきたい。そんな新しい自分を常に見せられるようになりたいです。

若いころはもっと自分にベクトルが向いていて、“こういう作品に出てみたい”“この監督と一緒に仕事をしたい”という『自分が思う、なりたい自分になりたい』パワーがありました。あまり外には出さないタイプでしたが、自分の中には確かに存在していて、それらと向き合いながら過ごしていました。それが大人になるにしたがって視野も広がり、寛容になるからこそ築けるものもあると知って、ただ力強さだけではないものを身につけられたように思います」

そして長澤まさみは、自分のためではなく「みんなのために」を中心に据えた俳優へと至った。

「肩の力は常に入っています。やっぱり頑張りたいという想いがありますから。言葉にすると強く聞こえますが、私にとっては背中を押してくれるものです」

屈託なく発言する姿は、なんとも頼もしい。誰が為に動く彼女は、我欲や固執を手放したようにも映る。演技のアプローチについて話が及んだ際のことだ。長澤は「長年お芝居をやってきて準備の仕方や取り組み方が変わっている部分はあるでしょうが、自分ではあまり意識していません。元々作品ごとに違うものですし、監督の意向や俳優同士の関係性に寄っても変わります。もちろんある程度のセオリーはあるかと思いますが、多種多様なのが当たり前で、これが正解という決まりはないですから」と事も無げに語った。

俳優に限らず、特にクリエイターにおいては経験を重ねるごとに己のスタイルが確立されていくもの。ある程度のマイルールやルーティンに沿って効率的に取り組む者も多いなか、あえて決めない・定めない選択をしたのはなぜか。

「海外だとその日に台本を渡される国もあると聞きましたが、俳優は瞬発力が必要な職業です。ロケ地に関しては事前に教えていただけますが、撮影場所の室内の状況でしたり詳細については現場で知ることのほうが多く、お芝居においてもまずはやってみてから監督の演出に合わせて調整していくもの。それが“いつも通り”なので、臨機応変に応えられるようにありたいと思っています」

常に新しくいるために必要なことだから、当たり前。長澤まさみが体現する俳優道は、シンプルにして覚悟が違う。

長澤まさみ1987年生まれ、静岡県出身。2000年、第5回「東宝シンデレラ」グランプリを受賞して芸能界入り。同年、俳優デビューを果たす。2004年、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』で、第28回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞をはじめ、数々の賞を受賞。映画『コンフィデンスマンJP』シリーズ、『スオミの話をしよう』、『キングダム』、フジテレビ『エルピス-希望、あるいは災い-』など、代表作多数。

映画『ドールハウス』5歳の娘・芽衣を事故で亡くした鈴木佳恵(長澤まさみ)と看護師の夫・忠彦(瀬戸康史)。悲しみに暮れる日々を過ごしていた佳恵は、骨董市で芽衣に似たかわいらしい人形を見つけて購入し、我が子のように愛情を注ぐことで元気を取り戻していく。しかし佳恵と忠彦の間に新たな娘・真衣が生まれると、2人は人形に見向きもしなくなる。やがて、5歳に成長した真衣が人形と遊びはじめると、一家に奇妙な出来事が次々と起こるように。人形を手放そうとしたものの、捨てても捨ててもなぜか戻ってきてしまう。佳恵と忠彦は専門家の助けを借りながら、人形に隠された秘密を解き明かしていくが……。

公開日:2025年6月13日(金)
原案・脚本・監督:矢口史靖
出演:長澤まさみ、瀬戸康史、田中哲司、池村碧彩、本田都々花、今野浩喜、西田尚美、品川徹、安田顕、風吹ジュン
配給:東宝
©2025 TOHO CO.,LTD.

写真・横山創大
ヘア&メイク:スズキ ミナコ
スタイリング:吉田 恵
文・SYO
編集・神谷 晃 AKIRA KAMIYA(GQ)

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