日本でも大人気のアバルトがつくるEVとは?
アバルトがEV(電気自動車)をつくる……!? そんなニュースを聞いた筆者は、ただただ驚くしかありませんでした。アバルトがEV化の道を進むとは全く想像していなかったからです。
【画像】「えっ!…」走りが驚くほど刺激的! アバルト「500e」を写真で見る(65枚)
アバルトといえば、市販車のチューニングに始まり、ラリーやレースといったモータースポーツの世界で“市販車ベースの強い競技車両”を製作していたファクトリーをルーツに持つ部門。フィアットに吸収された後も、フィアット車をベースに運転する楽しさを前面に押し出したスポーツモデルを手がけてきました。
アバルトのトレードマークといえばサソリが有名ですが、そのサソリが持つ毒は日本人にもよく効いている様子。日本にもアバルトファンは多いのです。
例えば、フィアット「500」をベースとするアバルト「500」からスタートし、現在はアバルト「695」へと進化した超コンパクトなスポーツモデルは、今では世界中で日本が最も売れているほど。このエピソードは、アバルトの日本における人気を裏づけるものといえるでしょう。
そんなアバルトがEVつくる……のですから、驚くのも当然です。
ベースモデルとなったのは、は先んじてフィアットブランドから発売されたEVの「500e」。全長わずか3.7mという小さなハッチバックで、車体は併売されるエンジン車とは全く別物の新規設計です。
そこにアバルトが独自のスパイスを振りかけて生み出したのがアバルト「500e」です。最高出力は155psと控えめですが、最大トルクは235Nmと2.3リッターの自然吸気ガソリンエンジンに相当する力強さ。EVの特性を活かし、その強力なトルクをアクセルペダルを踏み込むと瞬時に発生するのですから、スペック以上の刺激を味わえます。新世代のアバルトにもサソリの毒はしっかり注入されています。
アバルトの流儀を踏まえた内外装デザイン
アバルトが生み出すモデルは見た目の楽しさも特徴。もちろん新しい500eも期待を裏切りません。
愛嬌のある丸いヘッドライトを備えながら、いかにも過激そうな前後バンパーとサイドスカートを装着。まさに“リトルダイナマイト”と呼ぶにふさわしいエネルギッシュな印象は、エンジン車のアバルト695に通じるものがあります。
それはインテリアも同様。バケットシートにアルカンターラ張りのダッシュボード、そして中立位置を瞬時に把握するための“センターマーキング”がついたアルカンターラ&レザー張りのステアリングホイールも、モータースポーツ直系ブランドらしい香りを色濃く感じさせます。
さらに運転席の足元を見ると、金属のペダルが独特の雰囲気を放ちます。それは他ブランドのスポーツペダルとはひと味違うもので、いうなれば“ホンモノ”です。
レーシングカーと同様、金属の下にゴムペダルを介していないため、競技車両と同じようにコンマ数ミリ単位での絶妙なアクセルワークやブレーキ操作が可能。ゴムがたわんで反応が鈍ることなく、ドライバーの操作を極めて正確にクルマへと伝える設計です。こうしたディテールからも、アバルト500eがホンモノであることがヒシヒシと伝わってくるのです。
愛嬌のある丸いヘッドライトを備えながら、いかにも過激そうな前後バンパーとサイドスカートを装着。まさに“リトルダイナマイト”と呼ぶにふさわしいエネルギッシュな印象は、エンジン車のアバルト695に通じるものがあります。
それはインテリアも同様。バケットシートにアルカンターラ張りのダッシュボード、そして中立位置を瞬時に把握するための“センターマーキング”がついたアルカンターラ&レザー張りのステアリングホイールも、モータースポーツ直系ブランドらしい香りを色濃く感じさせます。
さらに運転席の足元を見ると、金属のペダルが独特の雰囲気を放ちます。それは他ブランドのスポーツペダルとはひと味違うもので、いうなれば“ホンモノ”です。
レーシングカーと同様、金属の下にゴムペダルを介していないため、競技車両と同じようにコンマ数ミリ単位での絶妙なアクセルワークやブレーキ操作が可能。ゴムがたわんで反応が鈍ることなく、ドライバーの操作を極めて正確にクルマへと伝える設計です。こうしたディテールからも、アバルト500eがホンモノであることがヒシヒシと伝わってくるのです。
サソリの毒がしっかり効いた刺激的な走りと音
そして、「そうきたか!」が思わずヒザを打ったのが音の演出です。
EVといえばエンジン音が存在しないため、運転を楽しみたいドライバーは物足りなさを覚えるもの。しかしアバルト500eは、スイッチを入れると排気音を模した低めの音がスピーカーから車内外に発せられ、ドライバーのテンションを上げてくれるのです。
実はこの音、アバルトが手がけるエンジン車の定番パーツで、快音を響かせることで知られるエキゾーストシステム“レコードモンツァ(通称レコモン)”のサウンドを再現したもの。音が「ちょっと聞こえる」なんてレベルではなく、想像以上に荒々しくてアウトローなサウンドを響かせる辺りはさすがアバルトです。
もちろん、刺激的なサウンドを響かせるからといって、走行性能がアップするわけではなりません。しかし間違いないのは、気分がアガってドライビングが楽しくなること。ステアリングを握りながら思わず笑顔になってしまいます。
そんなアバルト500eですが、EVへと生まれ変わっただけに「しっかりと走りを楽しめるのか?」、「サソリの毒は効いているのか?」と心配になる人も多いのではないでしょうか?
結論からいえば、アバルト500eはクルマ好きの期待を決して裏切りません。とてもパワフルという印象はありませんが、モーター駆動車らしくレスポンスが鋭い上に、加速の伸び感もしっかりと“演出”されています。この辺のチューニングは絶妙です。
ちなみに、例のサウンドはオン/オフできるものの、走行中は操作できないのが玉にキズ。走行中にオン/オフやボリューム調整ができるようになるとシーンを選ばず楽しめるようになるかもしれません。とはいえ、エンジン車用の“レコモン”もサウンドボリュームはかなり大きかったため、こうした音の出方もアバルトらしいといえるかもしれませんね。
走っていてより楽しいのはルーフが開くカブリオレ
アバルト500eのハンドリングは、まさにキビキビといった印象。過剰なほどにシャープで、スッと向きを変える感覚はさすがです。率直にいって期待以上のフットワークで、「こういうEVを待っていた!」という気持ちになりました。
その分、乗り心地は“それなり”で、路面の段差を超えたときなどはそれなりに突き上げを感じます。でもそれも「アバルトらしい」と思える乗り味。乗り心地がいいわけではありませんが、こうした乗り味を笑って楽しめる人こそ「このクルマを選ぶ資格がある」といえるでしょう。これだけの楽しさを秘めたEVは、稀有な存在なのです。
唯一残念に感じたのは、エンジン車のような有段ギアを持つクルマとは異なり、音にエンジンの回転や車速の伸びとリンクする感覚がないこと。EVなのでしょうがないですし、そう感じること自体が懐古趣味だとは思いますが、やんちゃで楽しいクルマだからこそ、そういった気持ちいい走りを味わうための、さらに一段上の演出を望みたくなったのです。
* * *
そんなアバルト500eは、どんな人とマッチングがいいのか? 最もおすすめできるのは、刺激的な走りを楽しめる近距離移動メインのセカンドカーを求める人です。
アバルト500eの現実的な航続距離はだいたい200kmなので、ロングドライブに出かけるのは少々ハードルが高く、日常の近距離移動に使うのが理想的。なので、遠乗り向けに別のクルマがあり(もしくはレンタカーなどを活用し)、日常の足として楽しいEV、しかも運転が刺激的なクルマを探している人に最適なのです。車体が小さいので、狭い都市部でも運転しやすいのも魅力ですね。
小気味いいハンドリングを持ち、交差点を曲がり終わってスッと加速するアバルト500eは、街中で気軽に運転を楽しめる喜びと、ピリリと効いたサソリの毒を楽しめます。日常の移動で爽快感を味わいたい人にとって、これほどふさわしいパートナーはないと思います。
その上でプッシュしたいのは、今回の試乗車だったルーフが開くアバルト「500eカブリオレ」。いわゆるキャンバストップを開け放ってのドライブは想像以上に楽しく、運転していて思わず笑顔になってしまうほどでした。
●ABARTH 500e Turismo Cabriolet
アバルト 500e ツーリズモ カブリオレ
・車両価格(消費税込):645万円
・全長:3675mm
・全幅:1685mm
・全高:1520mm
・ホイールベース:2320mm
・駆動方式:FWD
・電気モーター:交流同期電動機
・最高出力:155ps/5000rpm
・最大トルク:235Nm/2000rpm
・駆動用バッテリー総電力量:42kWh
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)トーションビーム式
・ブレーキ:(前)ディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前)205/40R18、(後)205/40R18
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