義務化進むACN搭載の波
重大な交通事故が発生し、命の危険が生じた際に、自動で救命に必要な情報を通報する仕組みがある。いわゆる事故自動通報システムで、ACN(Automatic Collision Notification)と呼ばれている。近年、このACNを搭載した車両が増加している。
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例えば、エアバッグが作動するほどの大きな衝突が起きた場合、ACNは車両の
・位置情報
・車種
・ナンバー
などをコールセンターへ自動送信する。その後、オペレーターがドライバーに接続し、事故の状況や負傷の有無を確認する。ドライバーが応答できない場合は、重篤な事態と判断し、速やかに救急車を手配するなどの対応が取られる。
欧州連合(EU)では2018年以降、ACNの搭載が義務化された。日本でも2020年から国際基準が導入されている。事故時に自動で通報されるこの仕組みは、救命率の向上に直結する技術として注目されている。なぜここまで期待されているのか。その理由に迫る。
高い救命率が期待されている理由
ACNが救命率を高める理由のひとつが、処置開始までの時間短縮にある。消防庁によると、2023年中に一般市民が目撃した心原性心肺機能停止の症例で、心肺蘇生を受けた場合の1か月後の生存率は14.8%。蘇生措置を受けなかった場合の約2倍に達した。つまり、心肺停止後の処置開始が早ければ早いほど、生存率は大きく向上するというわけだ。
ACNは、心肺蘇生を行う機能は持たない。だが、事故直後に自動で通報することにより、救急車の到着時間を短縮できる。結果として、初期対応の早期化に貢献し、救命率を高める仕組みとなっている。
重篤な症状において時間が生死を分けることは、カーラーの救命曲線が示している。心肺停止では3分後、呼吸停止では10分後、多量出血では30分後に死亡率が50%を超えるとされ、時間的猶予は極めて限られている。
事故の際、状況次第では手動通報に数分の遅れが生じることもある。人気のない場所や夜間であれば、通報そのものが行われないリスクもある。乗員全員が重傷というケースも珍しくない。
こうしたリスクを踏まえると、ACNが自動で通報を行う意義は大きい。通報の遅れを回避し、初動対応を早めることが、結果的に救命率の向上につながると期待されている。
280万件解析の進化系通報
ACNは、最近AACN(先進事故自動通報システム)へ進化している。現在、AACNを装備した車両も販売されている。このシステムでは、事故時に自動的に通報される情報に、車内乗員の傷害状況を予測するデータも含まれている。
トヨタは「D-Call Net(R)」として運用しており、衝突方向や衝撃度、シートベルトの着用状況などのデータを、過去280万件の事故データを基にしたアルゴリズムで解析している。その結果、死亡や重傷の確率を推定する。
この解析結果は消防本部や協力病院に通報され、救急車だけでなく、ドクターヘリやドクターカーの出動判断にも活用される。データによれば、AACNの導入前後で事故発生から治療開始までの時間が17分短縮され、死亡率が27%低下した。
AACNは、通報のタイムラグを抑えるだけでなく、救命活動に必要な詳細情報を迅速に伝達することで、対応の効率化を図る画期的なシステムである。その結果、救命率向上に寄与することが期待されている。
通信型ドラレコ連携構想
ドライバーの命を守る仕組みは、ACNやAACNだけではない。一部のトヨタ車やSUBARU車には、ドライバー異常時対応システムも搭載されている。
このシステムは、警告にもかかわらず一定時間にわたり操作が行われないと、ドライバーに異常が発生したと判断。警報を発しながら自動で減速し、安全に車両を停止させる機能を持つ。
AACNは、この異常時対応システムとも連携する。ドライバーが運転中に意識を失った場合でも、車両が自動で異常を検知し、通報まで行う。人手を介さず、より早く状況を伝えられるのが特長だ。
またAACNは、エアバッグが展開されるレベルの衝突時にも作動。自動で事故を通報する。今後は通信型ドライブレコーダーとの連携も検討されており、車内外の映像をオペレーターが確認できるようになる見込みだ。通話内容と映像を組み合わせ、より的確な状況判断が可能になる。
さらに将来的には、これらの映像を消防や病院などの関係機関へ直接送信する構想もある。正確かつ迅速な情報伝達によって、人による通報よりも適切な救命活動につながる可能性が高い。実際、事故直後は通報者が動揺し、情報が不正確になるケースも多い。
もちろん事故を起こさないことが最善だ。しかし、万が一の際に備えて最適な初動対応を自動で行う事故自動通報システムは、有効な備えとして検討すべき装備といえる。(喜多崇由(フリーライター))
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みんなのコメント
ド軽症なにの救急車呼びすぎ。ってのには目をつぶるとして、事故ると保険会社とかに連絡するドライバーが多いです。当然と言えば当然ですが。保険の話やレッカーの話など色々あります。救急で呼ばれて現場に到着する頃には、けが人である運転手がすでに電話中であり、質問攻めにあっています。保険のこととか後にして下さいとお願いしても、先方が通話をやめてくれず、救急活動が開始できません。軽症だから放っておいてもいいのですが、せめて呼んだ救急車が来たのなら、それ最優先じゃない?って思うのは私だけですかね。
保険会社の人、その辺どうにかしてくれませんか。ケガがあるなら救急車呼んで下さいって言っておきながら、救急車来てもあなたがいつまでも捕まえているから困ってます。