この記事をまとめると
■スーパー耐久は全クラスともにタイヤはブリヂストンのワンメイクとなっている
アマチュアとプロが混走するガチレース「S耐」! 普通の仕事をしているアマチュアはどうやってレースに参戦している?
■ブリヂストンは富士24時間レースを60名以上のスタッフと20台のトラックでサポート
■タイヤサプライヤーのブリヂストンにとっても富士24時間レースは大きな挑戦となる
富士24時間レースを陰から支えたブリヂストン
スーパー耐久シリーズ第3戦「富士24時間レース」が5月30日~6月1日、富士スピードウェイを舞台に開催。2025年はレース直前の雨でスタート時間が延期されたほか、レース中も濃霧の影響により赤旗で中断されるなど、ハプニングが続出し脱落者の多いサバイバルレースが展開されたが、それでも各クラスで激しいバトルが繰り広げられていた。
まさに2025年も記録だけでなく、記憶にも残る一戦となったのだが、このアジアで最長の耐久レースともいえる富士24時間レースを支えているのが、オフィシャルタイヤサプライヤーのブリヂストンだといえるだろう。ご存じのとおり現在、スーパー耐久は全クラスともにタイヤはブリヂストンのワンメイクで争われているのだが、この長丁場の24時間レースに対して、ブリヂストンは何本のタイヤを富士スピードウェイにもち込んでいるのだろうか? それに何名のスタッフでタイヤの組み替え作業を行なっているのだろうか?
というわけで、富士24時間レースの会場でブリヂストンを直撃。モータースポーツ活動の責任者である今井弘氏(常務役員モータースポーツ管掌)、スーパー耐久のオペレーション責任者である鈴木栄一氏と担当の小原該氏(国内モータースポーツオペレーション課)に話をうかがった。
──まずはブリヂストンが関わっているモータースポーツを確認したいんですけど、国内競技ではワンメイクのスーパー耐久のほか、コンペティションではスーパーGTでも活動していますよね。そのほかのカテゴリーとしては、どういったものがあるんでしょうか?
今井氏:国内でいえば、GR86/BRZカップやロードスター・パーティレース、KYOJOカップでタイヤを供給、グラスルーツとしてはポテンザ・サーキット・チャレンジを協賛していますし、全日本ジムカーナ選手権でもタイヤサービスを展開、二輪では全日本ロードレース選手権でもユーザーサポートを行っています。
──海外の四輪モータースポーツ活動は?
今井氏:いまはアメリカのインディカー・シリーズや二輪では世界耐久選手権(EWC)で活動していますし、2026年のシーズン13からはフォーミュラEにも参加させていただくことになりました。
──なるほど。ところで、スーパー耐久にタイヤを供給し始めたのは、2023年でしたよね?
今井氏:オフィシャルサプライヤーとして正式にタイヤを供給し始めたのは2024年です。2023年は緊急対応という形で参加していました。
──そうでしたね。確かそれまでタイヤを供給していたハンコックが工場火災でタイヤ供給ができなくなったんでしたね。で、ブリヂストンが急遽、タイヤを供給したけれど、在庫的にすべてのクラスをカバーできなくて、ST-4クラスとST-5クラスは市販ラジアルのポテンザRE-12DとRE-71RSを供給していました。ところで、やはり24時間レースはたくさんのタイヤを使うと思うんですけど、どのくらいのタイヤを準備したのですか?
小原氏:まず、スーパー耐久では大会に応じて開催されないクラスもあるので前後しますが、通常の5時間レースの場合、2000本から2600本ぐらいになるんですよね。でも、富士24時間レースは全クラスが開催されますからね。約7000本を用意してきました。
──おお、普段のレースより3倍近くタイヤを準備するんですね。しかも、スーパー耐久はクラス数が多くて車種も多いから大変ですよね?
小原氏:大まかにわけてドライとウエットがあるんですけど、両方とも7サイズありますので14スペックになりますね。
──ちなみに先ほど、トラックを見せていただいたんですけど、びっちりタイヤが積まれていましたね。7000本、14スペックだとトラックは何台になるんですか?
小原氏:通常のレースでは10台ぐらいなんですけど、24時間レースの場合はタイヤの運搬用トラックだけで20台あります。
60名以上のスタッフが昼夜交代でタイヤサポート
──トラックも2倍の台数なんですね。ところで、サービススタッフの人数は何名なんですか?
小原氏:通常のレースは20名から25名で対応しているんですけど、24時間レースでは2交代とか3交代で行っているので、サービスのスタッフも2倍から3倍はいますね。
──なるほど。それなら60名以上はいる感じですね。先ほどタイヤサービスを見学させてもらいましたが、赤いウエアと黒いウエアのスタッフに別れていますよね?
鈴木氏:数多くのスタッフが必要なので、24時間レースは近隣の“タイヤ館”やグループ会社でタイヤサービスを行なっているスタッフにも手伝って頂いています。赤いウエアのスタッフが普段からレースの現場で対応しているメンバーで、黒いスタッフのメンバーがヘルプのメンバーです。
──タイヤエンジニアの数も多いんでしょうか?
小原氏:エンジニアも交代で作業を行っているので、こちらも2倍の人数で対応していますね。
──ちなみに、スーパーGTのタイヤは常に進化していますが、スーパー耐久のタイヤは進化しているのでしょうか?
今井氏:今シーズンはタイヤのスペックをアップデートする予定はありませんが、継続的に進化をさせていきたいとは思っていますので、将来に向けて日常的な開発活動は行っています。
──ところで、24時間レースで作業を交代した後、スタッフの休憩はどこでやっているんですか?
小原氏:ほとんどのスタッフはホテルに帰ってもらっていますが、休憩室を用意しているので、そこで仮眠することもできます。
──24時間レースはタイヤサービスにおいて何が大変ですか?
小原氏:2024年の大会もそうですが、レース途中で雨が降ってしまうと、すべてのチームがウエットタイヤに切り替えますよね。そうするとホイールの数が少ないチームはウエットタイヤの組み替えを行うので作業が集中してしまう。60チームが一斉にタイヤをもち込んでくるとスタッフも休憩できなくなるので、タイミングによっては大変ですね。
──ところで、記者会見で参加型モータースポーツの裾野拡大として「S耐チャレンジ」というカテゴリーがスタートするそうですが、そちらもブリヂストンがタイヤをサポートすると聞きました。スーパー耐久のようにタイヤサービスを行うんでしょうか?
鈴木氏:こちらは入門カテゴリーなので、基本的には各エントラントで事前にタイヤを組んで来ていただく……という形になると思いますが、今後の状況次第では必要に応じてタイヤサービスを提供することもあると思います。
──先ほどブリヂストンが関わっているモータースポーツをうかがいましたが、スーパー耐久はどのような位置付けになりますか?
今井氏:大規模のワンメイクレースで、しかもいろんなサイズのタイヤをさまざまな車種に対して供給していますからね。我々としてもチャレンジングなカテゴリーで、そこがタイヤメーカーとしては面白いところでもあると思っています。スーパーGTなどタイヤの性能を突き詰めていくようなカテゴリーもありますが、スーパー耐久のように、いろんなカスタマーにタイヤを供給することもやり甲斐のあるカテゴリーだと思っています。それにスーパー耐久はシリーズとしてサステナブルな未来に向かって取り組んでいるので、我々としてもそこに参加させていただくということは非常に勉強になりますし、ありがたい場を頂いていると思っていますね。
──なるほど。スーパー耐久はブリヂストンにとっても有意義なカテゴリーなんですね。
今井氏:そうですね。それに富士24時間レースには先ほどもお話したように、普段からモータースポーツを担当しているメンバーだけでなく、ブリヂストンのグループでほかの仕事を行っているメンバーも、レースをサポートしてくれている。私は普段から「ワンチームで仕事をしよう」といっているんですけど、この富士24時間レースはその典型です。ブリヂストンは国内グループで約1万4000人(2024年12月31日時点)のメンバーがいるんですけど、ワンチームで働けばすごいことができると思う。この富士24時間レースも参加台数の60台が、24時間を走り続けると総走行距離が19万km、つまり地球を5周弱ぐらい走ることになりまして、その距離をサービススタッフの頭数で割ったら、ひとりひとりが支えている距離はすごい数になるんです。ブリヂストンのさまざまなメンバーが富士に集まってレースウィークをワンチームで仕事をして、レースを支えていく。まさに24時間レースは、ブリヂストングループが一体となった取り組みのシンボルのような存在です。
以上、ブリヂストンのサービスチームの主要メンバーに話をうかがったが、タイヤサービスの作業内容は分業制で、受付、タイヤの取り外し、タイヤの取り付け、エア圧調整、ホイールバランス調整までスムースに対応。1本のタイヤが組み変わるまでの所要時間は10分もかからず、深夜の夜勤メンバーも悲壮感はまったくなく、頼もしく仕事をしていた。それにピットロードでは数多くのエンジニアが交代しながら、昼夜を問わず路面温度やタイヤの状況などデータを収集。
まさに富士24時間レースは、過酷なレースで各チームにとってはやり甲斐のある挑戦だが、タイヤサプライヤーのブリヂストンにとっても大きな挑戦で、彼らの努力が国内唯一の24時間レースを支えている。
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