9月22日、トヨタはWRC世界ラリー選手権でTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームを率いていたトミ・マキネンと、「もっといいクルマづくり」のより一層の促進を主目的とした、2021年1月からのモータースポーツアドバイザー就任の契約において基本合意したと発表した。一方で、WRC活動のオペレーションをトミ・マキネン・レーシング(TMR)からTOYOTA GAZOO Racingヨーロッパ(TGRE)に移管することになった。
ミツビシで4年連続のWRCチャンピオンに輝いた実績をもつマキネンは、自らのファクトリーであるTMRとともに2017年からのトヨタのWRC復帰以降、その活動のオペレーションを担ってきた。復帰2年目の2018年にはマニュファクチャラーズタイトル獲得、2019年にはドライバーズタイトル獲得に貢献している。
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トヨタでは、マキネンが短期間で好成績をもたらした知見を、GR車両の開発やモータースポーツ戦略の計画、運転技術指導等を通じた人材育成などに活かし、「さらに広範囲でご活躍いただきたい」という思いから、マキネンがTOYOTA GAZOO Racingのモータースポーツアドバイザーに就任、戦略立案・組織運営の助言をしていくことになった。
一方で、これまでTMRで担っていたWRC活動のオペレーションが、ドイツのケルンにあるTGREに移管されることになった。TGRは「TMRで培われた世界最高レベルの車両開発ノウハウを学び、具体的な事業展開に繋げていく予定です。加えて、実践的な人材育成を加速させるなどさらに体制を強化していきます」としている。
なお、TGREへの移管後も既存のTMRの人材や一部施設を活用し、これまで同様フィンランドとエストニアで活動していく予定だとしている。
「トヨタのWRCプロジェクトの目標は効率的にラリー事業を再開することだった。そのためには小さな会社だからこそ発揮できる組織の柔軟性が必要だった」とマキネンはコメントを残した。
「この目標が達成されたいま、私はトヨタと新たな挑戦を始めるときだと言える。豊田章男さんにはこのプロジェクトで私を信頼していただき、私たちが一緒に設定した目標を達成するために全面的に支援していただいたことに感謝したいと思っている。これからも引き続き、モータースポーツにおけるトヨタの未来を彼と一緒に作っていけることを楽しみにしている」
「また、トヨタが、これまでともに築き上げてきたWRC事業を引き継いでくれること、そしてTMRの従業員にTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームとして安心して働けるチームと未来を提供してくれることを大変嬉しく思う。加えて、TGREの傘下に入っても引き続きフィンランドとエストニアにオペレーションが残るということも嬉しく思う」
この決定に際し、トヨタ自動車の豊田章男社長は「トミとの出会いがあり私はWRCに戻ることを決めました。彼の力があって私たちはWRCで勝つことができました。そして、その力を借りて我々はGRヤリスという4WDのスポーツカーをつくることができました」と感謝を伝えた。
「これからはモータースポーツアドバイザーという役割を担ってもらいます。今までのような競技に勝つためのアドバイスはもちろん、トヨタが進める『もっといいクルマづくり』にも広くアドバイスをもらえることを期待しています。今回の就任を経ても、彼は私の運転の先生役であることは変わりません。『トミ、また一緒に走りましょう!』」
TGREはWEC世界耐久選手権に参戦する活動をメインとするほか、ヨーロッパのトヨタのモータースポーツ活動の拠点として、トップクラスの技術力を誇る。一方で、TGREはF1、ル・マン時代にはTMG、さらに過去にはトヨタ・チーム・ヨーロッパとしてWRCをメインに活動していた実績がある。今回の組織変更はトヨタのWRC活動の今後にも重要なポイントとなりそうだ。
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