2022年5月に販売を開始したアイオニック5は、年末に「2022-2023インポートカーオブザイヤー受賞」と最高のスタートをきった。流行りのSUVスタイルではなくハッチバックなのに、モデルYよりも2cmほど背が高いという、マジックのようなボディを持つアイオニック5はどんなクルマなのだろうか。今回の[TET消費者派チェック]の概要はこちら。リーフの回はこちら。モデルYの回はこちら。
乗る前に考えたこと
ぶっちゃけどう違うの!? ミドルクラスEV・3車種をとっかえひっかえ乗ってみた![TET消費者派チェック]
13年ぶりに日本市場に参入し、Hyundaiの読み方もヒュンダイからヒョンデに変わった。取り扱い車種も大変革しICE(内燃機関)やHEV(ハイブリッド)、PHEV(プラグインハイブリッド)ではなく、BEV(電気自動車)とFCEV(燃料電池車)のみ、それぞれ「アイオニック5」と「ネッソ」の2車種でスタートした。
長らく日本から遠ざかっていたブランド、かつ完全なBEVとしての新型車のアイオニック5には、事前に全くイメージを持っていなかった。だからこそ特別な先入観もなく試乗に臨めた。
BEVのパイオニアたる日産・リーフとBEV専業メーカーのテスラ・モデルYとの対峙で、アイオニック5にはどんな特徴が見えてくるのかが楽しみだった。
電費
80km/h巡航ではわずか0.2だけモデルYにおよばす8.6km/kWhだった。100km/h巡航はモデルYと0.7差、リーフとも0.4の差をつけられ6.0km/kWhと最も悪い結果に終わった。速度が上がるともちろん電費は悪くなるのだが、車重が一番重い(2,100kg)こととCd値も最も大きい(0.32)ことがこの結果になった要因だと考えられる。
※電費比較表:単位はkm/kWh、1kWhでどれほど走行できるか。数字が大きいほど電費が良い。
Cd値:リーフ 0.28、アイオニック5 0.32、モデルY 0.23
パッケージング
アイオニック5だけを写真で見ると背が低めのハッチバックのように見えるのだが、実は全高は1,645mmとSUVのモデルYより21mm高い。ハッチバックのように見えるのは全幅と全高の比率からくるものだと考えられる。試しにリーフとその比率を比較してみると、下記のようにほぼ同値だ。
アイオニック5:1.148(全幅1,890÷全高1,645) リーフ:1.143(全幅1,790÷全高1,565)
アイオニック5はこの全高を活かして、前後ヘッドクリアランスを確保した。後席膝前スペースに至っては、一番長いホイールベースのおかげで26cmと3台の中で最も余裕があった。
荷室は幅と奥行きがほぼスクエア、かつ土手(荷室とバンパーの高さの差)も2cmとわずかで荷物を載せやすい。一方、トノカバーまでの高さは36cmしかない。これは地面からバンパーまでの高さが77cmと一番高かったことも原因だ。フランク(ボンネット下の荷室)はボンネットを開けて、カバーを開ける2回の操作が必要だが、24L(RWDは57L)の容量が確保されている。
運転してわかったこと
今回試乗したグレードは、Lounge AWDとその名の通りAWD(全輪駆動)なので前後にモーターを搭載し、305ps/605Nmのパワーとトルクを発揮する。0-100km/h加速は5.2秒と十分な速さだ。特に発進加速では0-100km/h加速が3.7秒のモデルYと遜色ない瞬発力をみせる。そんなモデルYと決定的に違うのは、アイオニック5は快適な乗り心地を有していることだ。これまでのICE(内燃機関)からの乗り換えも全幅の大きさをのぞけば多くの人にお勧めできるBEVだと思う。
それぞれの寸評
田中誠司
直線基調のファストバック・スタイルに、なんとなくかわいらしいインテリア、そしてふんわりした乗り心地。なんだろうこのデジャヴュな感覚は……と、しばらく考えて思い出したのは「シトロエンBX」だ。あのランボルギーニ・カウンタックを生み出したマルチェロ・ガンディーニがBXをデザインした。そのガンディーニのカロッツェリア・ベルトーネにおける後輩がジョルジェット・ジウジアーロで、彼が手がけたヒョンデ・ポニーがアイオニック5のデザインのエレメントになった……という流れとか関連性を感じる。ドイツ車みたいな合理性や堅牢さを求めるならむしろテスラに行くべきで、このヒョンデにはイタリアやフランスの刹那的な楽しさを感じる。このポップなテイストを気に入れば乗り続ければいいし、そうでなければまた次のトレンドを追えばいいのだ。
曽宮岳大
カッコイイと思うし、所有感を満たすいいデザインだと思う。EVに先進性や、従来のクルマと違った雰囲気をBEVに求めるなら、候補の1台に挙げるべきクルマだと思う。数年前にソウルに行ったとき、名前もわからないカッコイイクルマがたくさん走っていた。もはや日本は、アジアの他メーカーのクルマを見下せる立場にはないと実感した。インテリアデザインも凝っていて、“いいクルマ感”が印象に残った。
走らせた印象は、見た目ほどの革新性はなく、普通によく走る。そんな印象を抱いた。ボディ剛性やハンドリング、乗り心地など、どれも悪くもないが、特段光った特徴もない。少し気になったのは、フロアからヒップポイントまでの高さが少なめなこと。スポーツカーのようにヒップポイントが地面に近い感覚とは異なり、着座位置自体は低くないのに床面が近く、足を投げ出す姿勢を強いられる。バッテリーがあるがゆえの上げ底な印象を受けた。ドライビングポジションにこだわるユーザーは、自分にしっくりくるポジションが取れるか、確認することをお勧めしたい。
烏山大輔
日本市場撤退前に「ヒュンダイi30」に少し乗ったことがあるのだが、その時に「日本車よりもお手頃な価格で品質の良いクルマ」という印象を持ったことを覚えている。
13年ぶりに接したのはICEではなくBEVのアイオニック5。Lounge AWDグレードは599万円とお手頃な価格ではないが、作りの良さ、品質の高さは健在だと思った。
そして走るスマホと言われるモデルYと比べると、初めてBEVを買う人でもすぐに馴染むクルマだとも思う。それは日本車と同じように右側にウインカーレバーを設置したり、何か操作で分からないことがあれば、きちんと日本車のような詳細な取扱説明書も備わっているからだ。
ただし気になる点もある。グローバルでの展開を意識した作りなのか、全幅が1,890mmとメルセデスでいうとEクラスとSクラスの間のサイズ、かつ最小回転半径が5.99m(どうしても6m台にしたくなかったヒョンデの意図が感じられる)というのも大きい。幹線道路から一本入った幅の狭いところの運転には気を使う。
そんな声が上がるのを予測してか、ヒョンデは間もなくアイオニック5より全長が280mm、全幅が65mm小さい「コナ」を導入予定だ。コナはアイオニック5と同様にバッテリーが容量違いで2種類(スタンダードとロングレンジ)ある。スタンダードのエントリーグレードが400万円台前半、もしくは400万円を切ってきて、補助金をフル活用して200万円台も見えてくれば、新生ヒョンデのヒット車になりそうな気がする。
アイオニック5
全長:4,635mm 全幅:1,890mm 全高:1,645mm ホイールベース:3,000mm 車両重量:2,100kg 前後重量配分:前1,060kg、後1,040kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:142.4Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:577km(WLTCモード) 最高出力:225kW(305ps)/2,800-8,600rpm 最大トルク:605Nm(61.7kgm)/0-4,000rpm バッテリー総電力量:72.6kWh トランスミッション:1段固定式 フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式 リアサスペンション:マルチリンク式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ソリッドディスク タイヤサイズ:前後255/45R20 最小回転半径:5.99m 荷室容量:後527L、前24L 車両本体価格:5,990,000円
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
46年間水洗い洗車なし! 日産「セドリック」を新車から美しい状態で乗り続けてきた洗車術とは
ホンダが驚きの新「2ドアクーペ」実車展示! スペシャリティ&スタイリッシュな「Prelude」お披露目! 米国での反響は?
約130万円で買える「コンパクトSUV」! めちゃタフ顔の斬新「最強レジャー車」がカッコいい! “ゴツゴツボディ”のダイハツ「タフト」の魅力とは
斬新すぎる「和製スーパーカー」登場! 全幅2m超え&「ヘビ顔」がめちゃカッコいい! インパクト強めの「オロチ」英での落札価格に驚きの声
MT復活! スズキが新型「スイフトスポーツ」発売! 「何が変わった?」一時姿消すも継続販売へ 反響は?
みんなのコメント
いきなり大勢の自動車ジャーナリストやユーチューバーに提灯記事連発してもらい
今若者の間でバズりまくってる車ですと宣伝しまくってた
結局販売実績月平均10台ぐらいだっけ?
せっかくあの手この手使ってCOTYで賞貰ったけど全く世間の話題にもならずまたもや日本市場で完敗状態
たまに見る提灯記事も何か痛々しい
まあ世界中で熱暴走による電池発火事故や暴走事故起こして4人出してるようじゃ日本で売れるわけ無いわな
嫌韓感情も強いし
の2国のクルマを誉めて国産車をけなす偏った記事しか見かけないんだが。