現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > フィアット「X1/9 」の生産終了特別仕様が約262万円!? クラシックスポーツカー市場で穴場モデルか?

ここから本文です

フィアット「X1/9 」の生産終了特別仕様が約262万円!? クラシックスポーツカー市場で穴場モデルか?

掲載 21
フィアット「X1/9 」の生産終了特別仕様が約262万円!? クラシックスポーツカー市場で穴場モデルか?

大衆車から華麗なるミッドシップスポーツへと変身したX1/9

高価格での取引が常態化している現在の国際クラシックカーマーケットにおいても、愛好家や専門業者、オークショネアたちは、まだ高騰が進んでいない穴場的なモデルを探し求めているようです。2026年3月に開催された公式オークションに出品された1989年最終型フィアット「X1/9」の限定モデルの詳細と、その落札結果から見えてくる欧州と英国市場のタイムラグについて紹介します。

クラシックカー趣味に潜む残酷ながらも魅力的な醍醐味!? 「X1/9」の車名由来と趣味車ゆえの悲哀

ダンテ ジアコーザ式を反転させた秀逸なミッドシップレイアウト

英国のクラシックカー専門誌「Practical Classics」誌が主催するトレードショー「The Classic Car and Restoration Show 2026」に際して、英国アイコニック オークショネアが、2026年3月21日と22日に開いたイベント公式オークションでは、ちょっとミステリアスなフィアット「X1/9」が出品されていた。

1972年にリリースされたX1/9は、イタリアの自動車デザインの真髄といえるコンパクトなミッドシップスポーツカーであり、手の届きやすいパッケージでエキゾチックなエンジニアリングの魅力をドライバーに提供したエポックメイキングな傑作だ。そして、ベルトーネ所属時代に花開いたマルチェッロ ガンディーニ天賦の才と、フィアットの優れたテクノロジーが見ごとに融合したモデルでもあった。

さらに1970年代初頭という時代に先駆けて、厳しい米国安全基準を最初から満たすよう設計された初のフィアット車という特筆すべき事実も有していた。

その心臓部としては、前輪駆動の大衆向けベルリーナ(セダン)であるフィアット「128」から借用した横置きエンジンとトランスミッションの「ダンテ ジアコーザ式レイアウト」が採用されていたが、このパワートレーンを反転し、結果として駆動系を後輪軸の直前に配置するという、きわめて秀逸なアイデアが加えられていた。

つまりはこの優れたミッドシップレイアウトがX1/9に名高いバランスの取れたハンドリングをもたらし、当時のライバル車たちとは一線を画す存在へと昇華させた。そして、こののち全世界に現れるミッドシップの小型スポーツカーたちの先駆けともなったのだ。

実用性も備えたガンディーニによるウェッジシェイプのスタイリング

一方、いかにもこの時代のガンディーニ作品らしい特徴的なウェッジシェイプのスタイリングには、リトラクタブル式のヘッドライト、フロントフード下にコンパクトに収納可能な軽量ハードトップ、そして2人乗りスポーツカーとしては珍しい実用性を備えた前後のラゲッジコンパートメントが含まれていた。

パワーユニットは、当初フィアット 128用の直列4気筒SOHC 1290ccを選択した。その後1978年以降は、128の実質的後継車であるフィアット「リトモ」用の1498ccエンジンが組み合わされるとともに、内外装にも大規模なマイナーチェンジが加えられる。

もともと、製造工程の大部分をトリノ近郊グルリアスコの「グルッポ ベルトーネ(ベルトーネ グループ)」工場で行っていたX1/9だが、1972年から1982年まではフィアットのブランドとネットワークで販売されていた。しかし、1982年にベルトーネが生産を全面的に引き継ぐと、エンブレムを取り換えてベルトーネ「X1/9」として再ブランド化される。ただし販売網はフィアットのネットワークが継続されたほか、英国などの一部市場ではフィアットブランドを名乗ったまま販売されていたようだ。

ともあれ、これらの後期モデルは内外装も豪奢に仕立てられたほか、とくに大柄なドライバー向けに足元スペースと全体的な快適性を向上させるための改良など、小規模の改良も施されていた。その後もX1/9は細かい変更や限定バージョンの追加などの延命策を施されつつ、デビューから17年後の1989年まで、フィアットおよびベルトーネ両ブランド総計で約16万台が生産されたといわれている。

生産最終年にあたる1989年式限定モデルの落札価格

2026年3月、アイコニック オークショネア主催のオークションに出品されたX1/9は、英国マーケット向けに輸出され、フィアットブランド名で販売されたうちの1台だ。生産最終年にあたる1989年、主に英国を中心に限定販売された、ファイナル記念エディションの「フィアット X1/9 グランフィナーレ」である。

1989年に英国内で初登録され、新車から長らく一家族が所有。雨の多いイングランドではなかなか困難なことながら、可能な限り乾燥した環境でのみ使用したのち、フィアット愛好家である現オーナーのプライベートコレクションに加わったとのことである。現在に至るまでとくにモディファイが施された形跡はなく、新車当時のオリジナル仕様とディテールの特徴を保持した状態での出品となった。

たしかにボディカラーは、新車としてグルリアスコのベルトーネ工場から送り出されて以来の「メタリック マイカレッド」が良好なコンディションを保ち、ディテールについても生産時の仕様が保持されているようだ。なかでも、黒地にマルチカラー柄のファブリック製シート表皮はコンディションに優れ、アイコニック オークショネアでは「現存する最良のX1/9のひとつ」と標榜していた。

ただし、同社の公式オークションカタログの写真から見る限りは、レザー巻きのステアリングホイールや樹脂製のインストルメントパネル周辺に年式相応の擦れ傷などが目立ち、われわれ日本人の感覚からすれば、極上コンディションというには少々物足りないようにも映る。

この公式カタログ作成時点での走行距離は、3万3430マイル(約5万3490km)。これまでのボディ修理やレストアの経歴はないと考えられている一方、最近では英国シュロップシャー州テルフォードのTJヴィッカーズ(フィアットの正規ディーラー)が、タイミングベルトとクラッチを交換するなどのメンテナンスが施されたと申告されている。また、ベルトーネの純正ハンドブックパックは添付されるものの、初代オーナーファミリーの家が片付けられた際に、補足ドキュメントは紛失してしまったとのことであった。

アイコニック オークショネアでは、その公式カタログ内で「ミッドシップマウントの4気筒1.5リッターエンジンと5速マニュアルギヤボックスを搭載し、バランスの取れたハンドリングと親しみやすいパフォーマンスを提供するX1/9は、現在では愛好家の間でますます求められています。なかでもこのグランフィナーレは、フィアットの特徴的なミッドシップスポーツカーのなかでも丁寧に管理され、走行距離の少ない1台です」とアピールするかたわら、今回の出品にあたって1万2000英ポンド~1万5000英ポンド(邦貨換算約254万円~315万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

英国市場と欧州大陸で異なるX1/9の市場評価!?

そして迎えたオークション当日、バーミンガムNECで行われた競売では、エスティメートの範囲内に収まる1万2375英ポンドまでビッド(入札)が進んだところで落札。すなわち現在のレートで日本円に換算すると、約262万円で競売人のハンマーが鳴らされることになったのだ。

この日本円換算の落札価格を見る限りは、なかなかの高価格にも映る。しかし、これは円安のレートだからのことであり、このオークションについていえばエスティメートの段階から、欧州での販売実績と比べると安価な設定だったようにも感じられる。

生産国のイタリアをはじめとする欧州大陸では、ベルトーネ ブランド時代のX1/9はコンディションの良いものならば、おおむね2万ユーロ(現在のレートで約370万円)を超える価格帯にある。そのかたわら、イギリス市場においては今回の落札価格も常識的なもの。

それが英国市場の志向なのか、あるいは今後は英国でも欧州に追随して高騰するかは、もしもX1/9を手に入れたいと切望する奇特なエンスージアストならば、この先もその動向に注視する必要があるだろう。

※為替レートは1英ポンド=約212円で換算

文:Auto Messe Web 武田公実(TAKEDA Hiromi)
【キャンペーン】毎日機械洗車が50%オフ!お得に愛車をピカピカに(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

新車価格はカウンタックの2倍! 生産台数はわずか4台のメルセデス・ベンツ「300 CE」AMG仕様
新車価格はカウンタックの2倍! 生産台数はわずか4台のメルセデス・ベンツ「300 CE」AMG仕様
Auto Messe Web
オリジナル状態で完全レストアされたデ・トマソ「パンテーラGTS」という伊米合作スーパーカーの現在の立ち位置
オリジナル状態で完全レストアされたデ・トマソ「パンテーラGTS」という伊米合作スーパーカーの現在の立ち位置
Auto Messe Web
限定車じゃないのに約8103万円! アウディ傘下で信頼性高めた「ディアブロVT 6.0」は20世紀最後のアナログスーパーカー
限定車じゃないのに約8103万円! アウディ傘下で信頼性高めた「ディアブロVT 6.0」は20世紀最後のアナログスーパーカー
Auto Messe Web
外見は993型で中身はナロー!? 公道も走れるレーシングポルシェ「911」が約1407万円
外見は993型で中身はナロー!? 公道も走れるレーシングポルシェ「911」が約1407万円
Auto Messe Web
1962年当時デザインのまま最新フルカーボンボディ、シボレー製V8にウェーバー極似インジェクション搭載のビッザリーニ「5300アペルタ ルッソ」が豪華に復活
1962年当時デザインのまま最新フルカーボンボディ、シボレー製V8にウェーバー極似インジェクション搭載のビッザリーニ「5300アペルタ ルッソ」が豪華に復活
Auto Messe Web
超希少な当時のオートマ仕様!37年愛されるホンダ「ライフ」を快適クルーザーに仕立てる技
超希少な当時のオートマ仕様!37年愛されるホンダ「ライフ」を快適クルーザーに仕立てる技
Auto Messe Web
ポール・マッカートニーも愛した超高級ミニ! 本革と木目で仕立てた「1275 GT マーグレイヴ」は英国の哲学が詰まった日常使いの芸術品
ポール・マッカートニーも愛した超高級ミニ! 本革と木目で仕立てた「1275 GT マーグレイヴ」は英国の哲学が詰まった日常使いの芸術品
Auto Messe Web
1980年式3.0SCをベースに伝説の「911RSR」を忠実に再現! 製作コストとパーツ代を考えれば1691万円は超破格?
1980年式3.0SCをベースに伝説の「911RSR」を忠実に再現! 製作コストとパーツ代を考えれば1691万円は超破格?
Auto Messe Web
家族も乗れる4ドアセダンが165馬力! クルマ好きをニヤリとさせる1999年式トヨタ「カローラGT」の素性
家族も乗れる4ドアセダンが165馬力! クルマ好きをニヤリとさせる1999年式トヨタ「カローラGT」の素性
Auto Messe Web
うわっ、珍しい! 「漆黒のフェラーリ」を発見 走行2.6万キロの極上モデル 日本に納車され愛された後 英国に渡った「F50」の予想価格とは
うわっ、珍しい! 「漆黒のフェラーリ」を発見 走行2.6万キロの極上モデル 日本に納車され愛された後 英国に渡った「F50」の予想価格とは
VAGUE
職人の手作業で仕立てた初代日産「シルビア」は、ヤマハとの決別から誕生した奇跡のクルマ!
職人の手作業で仕立てた初代日産「シルビア」は、ヤマハとの決別から誕生した奇跡のクルマ!
Auto Messe Web
実戦ラリー経歴もある1970年式アルピーヌ「A110-1300G」レストア済み車両に落札額約1592万円は妥当か?
実戦ラリー経歴もある1970年式アルピーヌ「A110-1300G」レストア済み車両に落札額約1592万円は妥当か?
Auto Messe Web
人気中古車実車レビュー【メルセデス・ベンツ Gクラス】唯一無二の高級オフローダー
人気中古車実車レビュー【メルセデス・ベンツ Gクラス】唯一無二の高級オフローダー
グーネット
リアルカーボンと本革の造形美! MOMOの新作ステアリング「GT50 2.0」が発売
リアルカーボンと本革の造形美! MOMOの新作ステアリング「GT50 2.0」が発売
Auto Messe Web
限界突破のローダウン!昭和レトロを現代の最新技術で再現したトヨタ「プロボックス」
限界突破のローダウン!昭和レトロを現代の最新技術で再現したトヨタ「プロボックス」
Auto Messe Web
豪華装備のツーリング仕様! 歴代オーナーが大切に守り抜いたホンダ「N360 TG」
豪華装備のツーリング仕様! 歴代オーナーが大切に守り抜いたホンダ「N360 TG」
Auto Messe Web
1960年代の金型とシャシーで完全復刻! MSOが手がけたマクラーレン初の幻の公道モデル「M6GT」とグッドウッドの深い関係
1960年代の金型とシャシーで完全復刻! MSOが手がけたマクラーレン初の幻の公道モデル「M6GT」とグッドウッドの深い関係
Auto Messe Web
カサカサボディの正体は快速クルーザー!エンジンスワップで化けたフォード「F-100」
カサカサボディの正体は快速クルーザー!エンジンスワップで化けたフォード「F-100」
Auto Messe Web

みんなのコメント

21件
  • nor********
    1300ccのサビサビのやつ乗ってました。たしか30万円くらいでした。
  • yuj********
    あの時代のイタリア車でオリジナルのまま無修復で残ってるってのはすごいな。
    バーナイン、日本でもまあまあ走ってたけど、最後に見たのは30年くらい前かな。
    なんしか、最後の分がよくなかった。
    フロリダかどっかで水没したのをJAXだか伊太利屋だかがまとめて仕入れてリフレッシュしたのを叩き売り。
    なんにもなくてもいろいろあるのに、水没車はいろいろあるどころやなく、あっちゅう間に路上から消えてもた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

525 . 0万円 874 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

31 . 0万円 718 . 0万円

中古車を検索
BMW X1の買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

525 . 0万円 874 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

31 . 0万円 718 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村