GT-Rのハイパフォーマンス バージョン「NISMO」仕様の2020年モデルに小川フミオが試乗した。ノーマルとの違いはいかに?
これまでと違う2020年モデル
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スタイリッシュなハイパフォーマンス スポーツカーになんとなく飽きたとしたら、もういちど「NISSAN GT-R」に注目してはどうだろう?
グッドデザインの歴史には残らないかもしれない。が、箱形の2ドアなのにバカッ速い。そこが痛快である。いちどオーナーになったら、生涯、忘れられないクルマになるはずだ。
日本製のスポーツモデルには、海外のモデルにない個性がある。ホンダ「シビック タイプR」や、スバル「インプレッサWRX」も、“スタイリッシュ”という言葉はふさわしくない。武骨さこそ魅力だ。GT-Rも同様である。
GT-Rには、大きくいって、ふたつのモデルがある。「基準車」と「NISMO」だ。前者は、トリムレベルや装備によって「Pure Edition」「Black Edition」「Premium Edition」などの機種がある。
2020年モデルはいずれのも「これまで培ってきたレーシング テクノロジーを採用した」と、うたう。ただし、基準車は、どちらかというとグランツーリスモとしての快適性も追究されている。
それに対し、NISMOは“より研ぎ澄まされた性能を実現している”と、日産は強調するのだ。
「これまでは、より洗練されたモデルにすべく改良を進めてきましたが、今回は、本来有するスポーツ性能のさらなる追究を目指しました」と、開発責任者であるチーフプロダクトスペシャリストの田村宏志氏は述べた。
“ハイパー スポーツ”
たしかにGT-R NISMOは目がさめるようなパフォーマンスを見せる。改良の第1点は、新設計のターボチャージャーだ。回転効率を重視してブレード数を減らし、レスポンス向上がはかられている。
日産によると、80km/h走行中にアクセルペダルを踏み込んでフルスロットル状態にした場合、従来モデルとくらべ、大きな差がつくそうだ。
秒あたりのトルク上昇速度は約20%向上したという。たしかに、するどい。箱型の2ドア車とは思えない。“ハイパー スポーツ”といったほうがよいのでは? と、思うほど切れ味のいい加速感に驚かされる。
搭載する3799ccV型6気筒ツインターボエンジンは、441kW(600ps)の最高出力を6800rpmで、652Nmの最大トルクを3600rpmから5600rpmのあいだで発生する。それだけにエンジンを高回転域までまわすと、パワーが湧き出してくる。
今回の改良で、フロントフェンダー上にエアアウトレットを新設し、空気の乱流を防ぎ、かつフロントが浮き上がらないようダウンフォースを生む設計を採用した。
高速域では路面に張り付いたよう走る。いっぽう、ステアリングホイールを切り込んだとき、車体の反応速度は速い。車体の中心から遠いところ(ボンネットやトランクの角とか)を極力軽量化し、ハンドリングをよくしたというだけあって、くいくい曲がる。
極端にいうと、行く方向を見ただけで、ドライバーの入力より先にクルマがそちらへノーズを向けているような感覚である。それぐらいレスポンスはするどい。
カーボンファイバー素材を前後バンパー、エンジンフードやトランクリッド、さらにフロントフェンダーに採用、これで外側にふくらもうとする慣性質量を抑えつつ、従来に比べ接地面積を拡大したタイヤの採用でコーナリン時のライントレース性能を高めているそうだ。
2ペダルのクラッチペダルレス変速機は、ギアシフトタイミングの制御が大きく見直された。従来は、たとえば4速でコーナーに進入したばあい、クリッピングポイント手前で3速に入り、そこを過ぎて加速に移ろうというとき2速に落ちた。
今回は同じ曲率のコーナーを曲がろうというとき、進入時にドライバーが4速から3速に落とせば、次にぽんっと2速に落ち、そこからクリッピングポイントをすぎて出口に向かうまで2速のまま、適切な速度とトルクを保ち続ける。
「トランスミッションコントロールユニット」というシステムは、積極的に低いギアを選択するプログラミングになっているという。速度が上がりすぎないことで車両が外側にふくらむアンダーステアを防ぐとともに、ターボチャージャーがしっかり働く高めの回転域を保持するのだ。
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今回、最高出力570psの「GT-Rピュアエディション」にも乗る機会があった。GT-R NISMOはさいわいサーキットで楽しめたが、ピュアエディションは公道で試乗。“軽くて速い”というコアな部分は、ちょっと走ればすぐわかる。
乗り心地は、開発者の狙いどおりで、意外なほど快適だ。アクセルペダルを踏みこみたくなる右足のうずきを抑えられれば、疲労度の少ない長距離用のツアラーとしてもじゅうぶん使える。このあたりの多用途性は、ポルシェ911を連想させるのだ。
ゴルフへ行くのにも充分使えるだろう。2ペダルだから、帰りだって辛くない。多少硬いとはいえ、サスペンションは、路面の凹凸もていねいに吸収してくれるコンフォート志向が強いモデルだ。
なにはともあれ、箱型のクーペでGT-Rほど操縦を楽しめるモデルはそうそうないだろう。トルクでいえばメルセデスAMGモデルも負けていないけれど、GT-R NISMOのほうがハンドリングをはじめとするスポーティさにおいてふっきれている。
昨今はセダンもクーペもスタイリッシュになっている。リアウィンドウの角度を寝かせ、トランクの前後長を短くみせた、スポーツカーのようなシルエットが主流だ。
だから、箱型シルエットのGT-Rの独自性は目をひく。もっとも、冒頭で触れたように、シビック タイプRやインプレッサWRXといったスポーツモデルも、流麗とはいえない。でも、外国ではこの種の“ジャパニーズ スポーツクーペ”はその個性ゆえウケがいい。
箱型のクーペだから、あまり速そうに見えないかもしれないが、じつはサーキットを圧倒的なスピードで走る"キング・オブ・ザ・ロード“というのが、GT-R NISMOオーナーのプライドをくすぐるはずだ。
この先、騒音規制を筆頭に、ICE(内燃機関)を持つスポーツカーを取り巻く環境は厳しくなるはずだ。GT-Rも存続が危ぶまれる1台である。
もちろんハイブリッド スーパースポーツといったように、電気を使った新しい道もあるだろうけれど、爆発的なパワーを味わわせてくれる現行GT-Rに興味があるひとは、ちょっと急いで手に入れることをお勧めする。けっして後悔はしないはず。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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