現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシングが辿った栄光の軌跡

ここから本文です

創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシングが辿った栄光の軌跡

掲載 更新
創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシングが辿った栄光の軌跡

Porsche 911 GT3 R

ポルシェ 911 GT3 R

新型ディフェンダーを優雅にカスタムアップ! 新興チューナー「ヘリテージ カスタムス」が生み出す独自の世界観 【動画】

WECやニュルブルクリンク24時間レースに参戦

ポルシェでレースを戦う、マンタイ・レーシング(Manthey-Racing)が創立25周年を迎えた。ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェ近郊のモイシュパトに本社を構えるマンタイ・レーシングは、レーシングドライバーのオラフ・マンタイによって1996年に設立。以来、ポルシェと緊密な関係を築き、様々な栄光を手にしてきた。

2013年、オラフ・マンタイは自身の会社を、ニコラスとマーティンのレーダー兄弟が展開する「レーダー・オートモーティブ(Raeder Automotive)」と合併。さらに同年ポルシェAGがマンタイ・レーシングの株式の51%を取得し、関係を強化する。以来、ポルシェとマンタイ・レーシングは様々なプロジェクトを共同で行ってきた。

現在、共同経営者を務めるニコラス・レーダーとマーティン・レーダーのもと、マンタイ・レーシングは約200名の従業員を擁するビッグチームへと成長した。FIA世界耐久選手権(WEC)では、ポルシェのファクトリーチームとして「ポルシェ911 RSR」で参戦し、ニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)やニュルブルクリンク24時間レースには911 GT3 R “ゲレーロ “を投入している。

ポルシェのオフィシャルチームとしての活躍

ポルシェ・モータースポーツの副社長、フリッツ・エンジンガーは、マンタイ・レーシング25周年に祝福のコメントを送った。

「マンタイ・レーシングは、1996年の設立以来、ポルシェにとって重要なパートナーです。私たちは共にモータースポーツで様々な成果を上げ、多くの勝利やタイトルを獲得してきました。 モイシュパトを拠点とするクルーの熱意とプロフェッショナリズムがその基盤となっています。ポルシェとマンタイ・レーシングは2013年から密接な関係にあり、その協力関係はレース以外にも多くの分野に広がっています。あらためて、マンタイ・レーシングの活動に感謝の意を表すとともに、25周年を祝福したいと思います」

自身のチームが25周年を迎えたことを受けて、オラフ・マンタイはその感慨を次のように語っている。

「1996年にマンタイ・レーシングを立ち上げたときは、このような形で成長するとは想像できませんでした。モータースポーツでは何よりも重要とされる献身的な働きにより、ポルシェから私たちの能力を認めてもらうことができました。現在ではポルシェがマンタイ・レーシングの株式の過半数を所有しています。これは私の誇りでもあります」

「2013年にニコラスとマーティン・レーダーに事業を委ねたのは大正解でした。私が意図したように、彼らはこれからもプロフェッショナルでありながら地に足のついた、心と魂のこもった経営を続けてくれるでしょう。私は今後もマンタイ・レーシングの発展を、傍らからサポートできることを楽しみにしています」

DTMからポルシェでのレース活動へ

オラフ・マンタイがチームを設立する以前から、特徴的な口髭を湛えた彼の名はレース界で非常に高い評価を得ていた。彼の恐れを知らぬ大胆なドリフトを駆使したレーススタイルは、ファンからも人気を集めることになる。

1990年、35歳になったオラフ・マンタイは、初めてレース仕様を施したポルシェ911のステアリングを握った。その瞬間、フラット6を搭載したリヤ駆動のスポーツカーへの愛情が花開いた。同年、 彼はポルシェ・カレラカップで初の王者を獲得。ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)ではシリーズ2位を2度獲得しているものの、これが現役時代に手にした唯一のタイトルとなった。

1996年、オラフ・マンタイは長年の夢を叶え、新たに自身のレーシングチームを設立。ポルシェ・スーパーカップへと挑んだ。当時、F1のサポートレースとして開催されたこのシリーズで、マンタイ・レーシングは初年度にチームランキング4位を獲得。1997年にはパトリック・ヒュイスマンを擁して4連勝し、ドライバーズランキングとチームズランキングの二冠を達成した。これこそが、後に続くマンタイ・レーシングのサクセスストーリーの始まりとなった。

2006年にニュル24時間レースを初制覇

1999年、マンタイ・レーシングは、タイプ996ベースのポルシェ911 GT3-Rをル・マン24時間レースに投入し、GTクラスで優勝を果たす。その1年後、ドイツ西部のラインブライトバッハからニュルブルクリンク近郊のモイシュパトに拠点を移転。その後、スポーツカーメーカーとレーシングチームの関係は、さらに緊密さを増していく。

2006年、ポルシェ・モータースポーツは、UPSポルシェ・ジュニアチームの運営をマンタイ・レーシングに委託。同年、マンタイ・レーシングはポルシェ・モータースポーツと共同で、新型911 GT3 RSRをシェイクダウンさせた。そして、スパ24時間レースではスタートダッシュに成功し、デビュー戦でクラス優勝を果たしている。

一方、ホームグラウンドであるニュルブルクリンク24時間レースではなかなか勝利に手が届かず、3度も惜しいところで優勝を逃していた。そして2006年にお馴染みとなったイエローとグリーンにペイントされた911 GT3-MRで、悲願のニュルブルクリンク24時間を初制覇。その後09年まで、破竹の4連覇を飾った。

2010年、彼らは新たなセンセーションをレース界に巻き起こすことになる。マンタイ・レーシングとポルシェ・モータースポーツが共同開発した911 GT3 R ハイブリッドは、この年のニュルブルクリンク24時間のレース大半をリードするも、フィニッシュ直前にバルブスプリングの破損でリタイア。それでも2011年のレースでは前年の雪辱を果たしている。

様々な分野で広がるポルシェとの協力関係

マンタイ・レーシングは、2013年からFIA世界耐久選手権(WEC)にポルシェのファクトリーチームとして参戦し、911 RSRのデビューイヤーにクラス優勝。2015年シーズンにはWECのGTE-Proクラスで初の世界選手権タイトルを手にした。また、2018-2019年シーズンのル・マン24時間レースは3度目のクラス優勝を果たしている。

現在、マンタイ・レーシングは、様々な分野で事業を展開する企業に成長した。ポルシェ公式チームとして参戦するWECや、ニュルブルクリンク24時間のプログラム、ポルシェ・レーシング・エクスペリエンスの運営、モイシュパトのポルシェ・サービスセンター、さらにはカスタマーチームへのワールドワイドなサポートまで、そのプログラムは多岐にわたっている。

Porsche 911 GT2 RS MR

ポルシェ 911 GT2 RS MR

次の25年を見据えて発展する様々な事業

マンタイ・レーシングは、自身のチーム名を冠した「MR」パッケージの開発も行っている。911 GT2 RS MRは、マンタイ・レーシングが独自のパフォーマンスキットを開発し、公道走行可能なスポーツカーとしてリリースしたモデルだ。

2018年10月、テストドライバーのラース・カーンがステアリングを握った911 GT2 RS MRは、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェを当時の最速記録である6分40秒33でラップするなど結果を残しており、マンタイ・レーシングは現在、ポルシェのGTモデルの多くに「MRパッケージ」を展開している。

マンタイ・レーシングのマネージングディレクターを務めるニコラス・リーダーは、現在の状況をふまえて将来に向けた展望を語ってくれた。

「マンタイ・レーシングとレーダー・オートモーティブの合併後も、私たちはオラフ・マンタイの哲学を継承してきました。それは、私たちの考え方とも一致していたからです。ポルシェのパートナーであり、彼らが筆頭株主であることで、私たちのチームは驚くべきペースで発展することができました」

「今後も成長を続け、モータースポーツで培ったノウハウを活かしていきたいと考えています。そのためにも、プライベーターへのサービス提供、イベントの運営、レーシングカーやロードゴーイングカーの開発など、様々な活動を行っています。献身的な社員とともに、次の25年に向けてマンタイ・レーシングの魅力的なストーリーを続けていくことになるでしょう」

こんな記事も読まれています

BMW Mハイブリッド V8、WEC2戦目にして「士気を大きく高める」6位入賞。トヨタとのバトルも
BMW Mハイブリッド V8、WEC2戦目にして「士気を大きく高める」6位入賞。トヨタとのバトルも
AUTOSPORT web
マイナーチェンジで、アウトドアテイストをプラスした「HuNT(ハント)パッケージ」を新設定。ホンダ、改良型ヴェゼルの発売を開始
マイナーチェンジで、アウトドアテイストをプラスした「HuNT(ハント)パッケージ」を新設定。ホンダ、改良型ヴェゼルの発売を開始
月刊自家用車WEB
約200万円のホンダ「小さな高級車」登場! クラス超え「上質内装」採用! 精悍“ブラック”がカッコイイ特別な「フィット」とは
約200万円のホンダ「小さな高級車」登場! クラス超え「上質内装」採用! 精悍“ブラック”がカッコイイ特別な「フィット」とは
くるまのニュース
中国自動車道の山に囲まれた「真庭PA」で熱々のレバテキを堪能!
中国自動車道の山に囲まれた「真庭PA」で熱々のレバテキを堪能!
バイクのニュース
突然の「奇妙な」失速。上海でのペース不足に困惑するフェラーリ、代表はトラックの特殊性が関係と睨む
突然の「奇妙な」失速。上海でのペース不足に困惑するフェラーリ、代表はトラックの特殊性が関係と睨む
AUTOSPORT web
レッドブルF1とサインツの交渉を認めたマルコ。一方で「アウディからのオファーには肩を並べることもできない」と語る
レッドブルF1とサインツの交渉を認めたマルコ。一方で「アウディからのオファーには肩を並べることもできない」と語る
AUTOSPORT web
日産が新型車「5車種」投入(日本市場へ2026年度まで)の中身全部予想と注文
日産が新型車「5車種」投入(日本市場へ2026年度まで)の中身全部予想と注文
ベストカーWeb
トヨタ新型「ランドクルーザー 250」の最新カスタム3選! 本格オフローダーから車中泊まで、ライフスタイルに合わせてランクルを楽しめます
トヨタ新型「ランドクルーザー 250」の最新カスタム3選! 本格オフローダーから車中泊まで、ライフスタイルに合わせてランクルを楽しめます
Auto Messe Web
免許更新時に書かされるたった5つの「はい・いいえ」の質問票! 適当に答えると「重い罰則」になる可能性があった
免許更新時に書かされるたった5つの「はい・いいえ」の質問票! 適当に答えると「重い罰則」になる可能性があった
WEB CARTOP
ホンダ ヴェゼルがマイナーチェンジ発表! 新機種「ハント」のインテリアが挑戦的だった 
ホンダ ヴェゼルがマイナーチェンジ発表! 新機種「ハント」のインテリアが挑戦的だった 
driver@web
2023年度のリコール台数、1.7倍の810万台 デンソー燃料ポンプなどで2年連続増加
2023年度のリコール台数、1.7倍の810万台 デンソー燃料ポンプなどで2年連続増加
日刊自動車新聞
ホンダ ヴェゼル、個性を磨き上げて新たに登場──GQ新着カー
ホンダ ヴェゼル、個性を磨き上げて新たに登場──GQ新着カー
GQ JAPAN
ホットハッチの太鼓判──新型フォルクスワーゲン ポロGTI Edition 25試乗記
ホットハッチの太鼓判──新型フォルクスワーゲン ポロGTI Edition 25試乗記
GQ JAPAN
「DG-011 パーシャルフィットメッシュグローブ」がデイトナから発売!
「DG-011 パーシャルフィットメッシュグローブ」がデイトナから発売!
バイクブロス
レース終了から1ヵ月半……インディカー開幕戦ウイナーのニューガーデンが失格! プッシュ・トゥ・パスの違反発覚、オワードが繰り上げ優勝に
レース終了から1ヵ月半……インディカー開幕戦ウイナーのニューガーデンが失格! プッシュ・トゥ・パスの違反発覚、オワードが繰り上げ優勝に
motorsport.com 日本版
斬新デザインの上級7人乗りSUV ヒョンデ新型「サンタフェ」 約895万円から欧州発売へ
斬新デザインの上級7人乗りSUV ヒョンデ新型「サンタフェ」 約895万円から欧州発売へ
AUTOCAR JAPAN
GW渋滞、名神・新名神・中国道のピークは? 最大35kmの渋滞を見込む【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
GW渋滞、名神・新名神・中国道のピークは? 最大35kmの渋滞を見込む【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら
トヨタ“新”「アクア」発表! めちゃ上質ブラウン内装×斬新2トーン採用! 「小さな高級車」な新「Raffine」 内外装の特徴は
トヨタ“新”「アクア」発表! めちゃ上質ブラウン内装×斬新2トーン採用! 「小さな高級車」な新「Raffine」 内外装の特徴は
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村