ついに、ついに、日本国内で新型フェアレディZが公開となった。実質的に7代目となるフェアレディZは5代目Z32以来のターボエンジンを搭載し、405psを発揮する強烈なGTカーとなった。
価格も今回東京オートサロンで発表となった限定車「Proto Spec」は696万円のプライスタグがつくことになった。発表会場となった東京オートサロンの現場からその詳細をお届けしよう。
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文/写真:ベストカーWeb編集部
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■400psを3ペダルMTで御する贅沢が日産にはある
国内初登場となった7代目のフェアレディZ。写真はイカズチイエローを纏った「Proto Spec」。眩しいぜ!!
東京オートサロン2022で新型フェアレディZが国内初お披露目となった。車名は「日産フェアレディZ」。すでに北米で公開されている「日産Z」とは異なり、伝統のネーミングが日本市場に帰ってきた。
新型フェアレディは実質的には7代目となるが、法規制の関係もあり6代目のZ34のビッグマイナーチェンジというのが実情だ。しかしあえて当記事では7代目と呼ぼう。
この7代目は最近話題に上がる「脱炭素」の動きに真っ向から逆らう1台となった。キムタクばりに「やるね、日産」と心で囁いたファンも多いことだろう。
リアビューはZ32のテールライトなどをオマージュしたものとなる。どこか懐かしく新しいのが新型フェアレディZの特色だ
搭載されるエンジンは既報のとおりV6、3LのVR30DDTT。4代目のZ32以来となるターボ、しかもツインターボが搭載される。パワーは405ps/48.4kgm。トランスミッションは3ペダルの6MT、そして9ATが用意される。
図太いトルクでグイグイ加速していくまさにフェアレディらしい構成だ。すでにスカイライン400Rで採用されているエンジンとはいえ、もちろんチューニングはフェアレディ専用となる。最大トルク発生回転数が1500rpmとスカイラインより100rpm低いのも特色だ。
■エンジンは雄々しくとも「レディ」に変わりなし!!
V6ツインターボは405psを叩き出す。もちろん歴代のフェアレディZの中でも最高スペックだ
フェアレディというクルマはかつてスカイラインGT-Rと対極に捉えられるクルマだった。それはレースで勝つためのGT-Rとロードスポーツとしてのフェアレディという暗黙の了解もというべき役割分担があったからだ。
その伝統は継承され新型フェアレディZについては単純にパワーやトルクを上げて、脚を締め上げ、サーキットでのラップタイムを短縮するようなクルマ作りはされていない。あくまで開発のメインターゲットは公道でのゆとりがあるGTカーらしい振る舞いだという。
今回「フェアレディZファン」代表として登壇した日産の内田誠CEOはこう語った。
「フェアレディZは初めて手に入れたZ32から思い入れのあるクルマ。自分を表現するクルマとしてZが一番かっこよかったですし、週末にZと一緒に外出できることが嬉しかった」と語った。
内田CEO(左)が元愛車Z32を熱く語る姿に近藤監督にも思わず笑みが出た
新型フェアレディZもリア周りにZ32の面影を色濃く残しており、内田CEOのような旧来からのZファンも納得のエクステリアだろう。もうひとりのゲストはなんとKONDOレーシングを率いる近藤真彦監督。
「ランドセルを背負った近藤少年は毎日通学路で止まっていたフェアレディZを見てたんですよ。覗き込んでタコメーターが見えたらラッキーでご機嫌で通学していました(笑)。
近所のかっこいいお兄さんがのっているZは憧れでしたし、Z33のコンバーチブルもプライベートで乗っていました。あまりにいいクルマで奥さんが普段乗ってましたけどね(笑)。2022年はZでまたレースができますから、幸せです!!」。
フェアレディZは世代を超えて愛されるスポーツカーであり、そのエッセンスを7代目がエクステリアにしっかり残していることは、日産がどのようにフェアレディZが愛されてきたかを深く理解してきた証だろう。
■ローンチ価格は696万円だが標準グレードはもう少し安い!?
会場内に展示された標準モデル。価格などの発表はなかったものの……
気になる価格だが今回公表されたローンチグレードの「Proto Spec」は6MT、9ATともに696万6300円。しかも240台限定だ。専用塗色のイカズチイエローとスーパーブラックの2トーンカラーには19インチの専用カラーホイール、インテリアには専用カラーステッチなどを採用する。
もちろん700万円近い価格はなかなか手が届かないものだが、今後登場が予定される「フェアレディZ」「フェアレディZ バージョンS」「フェアレディZ バージョンST」の各グレードはもう少しお買い得なプライスタグになるはずだ。
また今回会場の片隅に「フェアレディZ カスタマイズド プロト」が展示されていたことも併せてご紹介しよう。S30のZ432を彷彿とさせるオレンジのカラーリングにホワイトレターのタイヤなど、クラシカルながらも新鮮な装いを感じさせる1台だ。
Z432Rを彷彿とさせるオレンジを纏ったカスタマイズドプロト。ホワイトレターのタイヤなどカスタマイズのトレンドを取り入れている
日産広報部によれば市販の予定はないとのことだったが、今後のバージョンニスモなどホットグレードへの布石と捉えるのが普通だろう。
大きく自動車を取り巻く環境が移り変わるこの過渡期に日本にフェアレディZがあることは、クルマ好きにとっても大きな喜びだ。もちろん商業ベースだけで言えば日産も電動化により多くの投資をしたいはずだし、そのなかでも型式はそのままに新たなフェアレディを登場させたことはまさに産みの苦しみだったはずだ。
7代目の新型フェアレディZは日産のフェアレディZへ対する並々ならぬ愛情とロマンを感じる1台となった。
伝統の筆記体エンブレムも戻ってきた。地味ながら存在感のあるトランクリッドスポイラーはいかにもフェアレディZらしい
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