現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【ホンダADV150試乗】その90%が新設計! PCXの「着せ替え」ではない、ヘビーデューティー・スクーター

ここから本文です

【ホンダADV150試乗】その90%が新設計! PCXの「着せ替え」ではない、ヘビーデューティー・スクーター

掲載 更新 3
【ホンダADV150試乗】その90%が新設計! PCXの「着せ替え」ではない、ヘビーデューティー・スクーター

2010年発売のPCX(125cc)、2012年発売のPCX150は、原付二種や軽二輪スクーターのベストセラーモデルとして根強い人気を誇っている。「パーソナルコンフォートスクーター」をコンセプトとして、ひとクラス上の装備や走りのよさが支持を得ている大きな理由だ。
2月14日発売のADV150はそのPCX150をベースにしたニューモデルだけに、期待が高まる。

ADV150のコンセプトは『限界を超えて行く都会の冒険者』

【画像ギャラリー】ADV150の全車体色、装備、オプション装着車を見る

ADV150のコンセプトは『限界を超えて行く都会の冒険者』というもので、普段は都市圏中心の使用だが、そこに留まらずツーリングなどレジャー用途を想定し、“外”へ広がって行こうというものだ。
いわゆる生活時間のONとOFFに、ホンダのいうON/OFFモデル(デュアルパーパス)のイメージを掛け合わせ、X-ADV(745cc)で提案した「シティアドベンチャー」という価値観を150ccスクーターで具現化したという。

このADV150ではアドベンチャーモデルのアグレッシブな外観を与えたことが大きな特徴になっており、また、リヤから見たボリュームは、車体全体の高さが上がったこともありPCX150よりスリムである。
しかし、デザインだけではなく、その構成にもPCX150とは異なる内容が与えられている。

エンジンやフレームの基本コンポーネントはPCX150をベースとするが、大きなところでは前後サスペンションのストロークアップやタイヤサイズの変更、エンジン特性と搭載位置を変更。
また、メーターパネルは専用で、高さが2段階にアジャスト可能なスクリーンも採用(PCXのスクリーンに調整機構はない)。ここまでやってしまっているADV150は、PCX150ともはや「別物」と言っても過言ではないだろう。

たとえばフロントフォークはクラス最高の130mm、リヤショックは120mmのストローク量を与え、最低地上高は137→165mmにアップ。これにともないシート高はPCX150が764mmなのに対し、ADV150は795mmとなっているが、ギュっと絞り込まれたボディラインによって足着き性はそこまで変わっていない。
タイヤは専用サイズとなっており、IRCがADV150用に開発した「TRAIL WINNER GP-212」という銘柄で、フロント110/80-14、リヤ130/70-13と太めだ。
(リヤタイヤはPCX150の14インチからインチダウンされている)

スポーティな足まわりが与えられたADV150の走りは?

走り出してすぐにわかるのは、低中速を充実させたエンジンによる力強い加速感だ。新たな装備の追加などでPCX150より3kgほど重くなった134kgの車重をまったく意識させないどころか、PCX150よりも力強いのではないかと思わせる。
おおよそ90km/hまでは一気に加速するので、常用域では非常に頼もしい。

半面、最高速そのものはPCX150と同等だが、そこまでの到達時間は少々伸びている。これは、低中速を充実させた出力特性と変速比、シート高や最低地上高がアップしたことによる前面投影面積の違い(つまり空気抵抗)によるものだ。
このあたり、レスポンスのいい加速感をとるか(ADV150)、鷹揚な反応だが最高速到達までの時間をとるか(PCX150)、悩ましいところでもあるが、都市圏中心の使用とプレイバイクとしてのニュアンスを考えれば、前者も悪くない。

ハンドリングや乗り心地はどうかと言うと、これがまた頼もしい。
特にストロークアップしたフロントフォークと少し太くなったタイヤの組合せが絶妙で、PCX150よりもハード方向に振ったストローク特性を、タイヤのエアボリュームによるクッション性がフォローしてくれている。
乱暴にブレーキングしても不快な底付き感はなく、また凹凸通過時の衝撃吸収性や収れん性も高い。
PCX150との比較で言うと、エンジン特性以上に違いを明確に感じる部分だ。

これが元気のよいエンジンにはちょうどいい味付けで、スロットルの急激な開閉を行っても車体が前後に動くピッチングが露骨に出ることもない。
そして、ハンドリングも弱アンダー傾向のニュートラルな感じなので、頼もしい足まわりと相まって、高めのスピードでコーナーリングしてもいわゆる普通のスクーター以上の信頼性を持っている。

さて、そのスタイリングやコンセプトから、どうしても期待してしまうオフロード性能はどうか。
舗装路から外れてオフロードに入っても、そのフィーリングはあまり変わらず、あぜ道やフラットな林道をトコトコ走る分にはまったく問題がない。ここでもやはりフロントの不快なゴツゴツ感は感じられず、もちろん車体がガタンガタンと揺れるようなこともないので、身構えていくとちょっと拍子抜けするほどだ。

専用設計のブロックパターンタイヤ(チューブレス)のグリップも思いのほか悪くないので、湿った泥や砂利の上でなければそれほど神経質になることも少ないはずだ。
もちろん、ADV150はオフロードバイクではないので、そこで『攻める』走りをするものではないが、道を選ばずにどこにでも入って行ける安心感はなかなかのものだ。この点で『限界を超えて行く都会の冒険者』というコンセプト通りの、楽しさと日常での便利さを兼ね備えたモデルである。

ADV150、日本仕様ならではの特徴

ちなみに、このADV150はPCXシリーズと同様にタイで生産が行われるが、日本とは桁違いとなる現地市場への生産台数を背景にコストの抑制が行えるため、価格はADV150同様ABSを備えたPCX150〈ABS〉の40万2600円に対し、45万1000円と約4万8000円高に抑えられている(約9割が新設計というのにも関わらず、である)。
その性能や外観も含めて、かなりのお買い得モデルではないだろうか。

また、日本で装着頻度の高いトップケースとそのベースとなるリヤキャリアに対応して最初からわざわざフレームに補強が入れられているほか、日本仕様はグリップヒーター対応の発電容量の大きなACGが付く。
ADV150は先に述べたようにタイをはじめとする東南アジアだけでなく、世界各国で販売される「グローバルモデル」ではあるが、日本人の使い方・嗜好がしっかり反映されている点も特徴だ。
そして、日本仕様には専用の純正オプション・カスタマイズパーツも多数用意されている。

ADV150の国内計画販売台数は3000台/年だが、昨年12月の発表から1ヶ月強で3300台もの受注が入っているそうで、PCX同様に高い人気を集めるモデルとなるのではないだろうか。

ホンダADV150諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4ストロークOHC単気筒 ボア・ストローク:57.3mm×57.9mm 最高出力:11kW<15PS>/8500rpm 最大トルク:14Nm<1.4kgm>/6500rpm 変速機:無段変速式
[寸法・重量]
全長:1960 全幅:760 全高:1150 ホイールベース:1325 シート高:795(各mm) タイヤサイズ:F110/80-14 R130/70-13 車両重量:134kg 燃料タンク容量:8L

問い合わせ●ホンダお客様相談センター
TEL 0120-086819
https://www.honda.co.jp/motor/

試乗レポート●関谷守正 写真●柴田直行/ホンダ 編集●上野茂岐

こんな記事も読まれています

クルマの雑学面白すぎ 意外な意味が潜む自動車メーカー[ロゴ]の由来とは
クルマの雑学面白すぎ 意外な意味が潜む自動車メーカー[ロゴ]の由来とは
ベストカーWeb
えええ、今は無きミニカがスゲー……1人乗り仕様あったってマジか!! エアコンすらなしの男前グレード!! もしや積載性能最強だったんじゃないか説
えええ、今は無きミニカがスゲー……1人乗り仕様あったってマジか!! エアコンすらなしの男前グレード!! もしや積載性能最強だったんじゃないか説
ベストカーWeb
「お、パイザー♡」いやー今じゃ絶対NGよ!! そして絶対言いたいだけ!! パイザーのCMが攻めすぎてたの覚えてる?
「お、パイザー♡」いやー今じゃ絶対NGよ!! そして絶対言いたいだけ!! パイザーのCMが攻めすぎてたの覚えてる?
ベストカーWeb
日向坂46 富田鈴花さん初登場!! 日向の似合うクルマとアイドル!
日向坂46 富田鈴花さん初登場!! 日向の似合うクルマとアイドル!
ベストカーWeb
発売秒読み! CX-80は人気の3列シート車になれるか? マツダの3列シート車の歴史を3分で振り返る!
発売秒読み! CX-80は人気の3列シート車になれるか? マツダの3列シート車の歴史を3分で振り返る!
ベストカーWeb
ふたりの偉業達成に、影薄まるドゥカティ勢。ドルナ買収による今後とレースの健全性/MotoGPの御意見番に聞くアメリカズGP
ふたりの偉業達成に、影薄まるドゥカティ勢。ドルナ買収による今後とレースの健全性/MotoGPの御意見番に聞くアメリカズGP
AUTOSPORT web
ついに出た!新型「ランドクルーザー250」発売!2種類の限定車もラインナップ!
ついに出た!新型「ランドクルーザー250」発売!2種類の限定車もラインナップ!
グーネット
こんなクルマよく売ったな!!【愛すべき日本の珍車と珍技術】異業種合同プロジェクトで生まれたWiLL VS ステルス戦闘機を想わせる超個性派ハッチバック!
こんなクルマよく売ったな!!【愛すべき日本の珍車と珍技術】異業種合同プロジェクトで生まれたWiLL VS ステルス戦闘機を想わせる超個性派ハッチバック!
ベストカーWeb
なんちゃってセレブにヘリコプターで鈴鹿サーキットへ!「2024 F1日本グランプリ」の華やかなパドックをレポートするわよ
なんちゃってセレブにヘリコプターで鈴鹿サーキットへ!「2024 F1日本グランプリ」の華やかなパドックをレポートするわよ
Auto Messe Web
「トヨタとフェラーリは調子を取り戻す」開幕戦表彰台独占のポルシェ、第2戦に向け楽観視はせず
「トヨタとフェラーリは調子を取り戻す」開幕戦表彰台独占のポルシェ、第2戦に向け楽観視はせず
AUTOSPORT web
進化型GRヤリスの外装を採用。トヨタGR、全日本ラリー3連戦の初戦唐津で意義ある6位完走
進化型GRヤリスの外装を採用。トヨタGR、全日本ラリー3連戦の初戦唐津で意義ある6位完走
AUTOSPORT web
アコスタ、史上最年少での連続表彰台獲得「トップ選手たちと戦えて本当に嬉しい」/第3戦アメリカズGP 決勝
アコスタ、史上最年少での連続表彰台獲得「トップ選手たちと戦えて本当に嬉しい」/第3戦アメリカズGP 決勝
AUTOSPORT web
気取らないゴルフ的:フォルクスワーゲンID.3 反発意見も多い:テスラ・モデル3 カッコだけじゃない:ルノー・メガーヌ E-テック お手頃EV 12台比較(3)
気取らないゴルフ的:フォルクスワーゲンID.3 反発意見も多い:テスラ・モデル3 カッコだけじゃない:ルノー・メガーヌ E-テック お手頃EV 12台比較(3)
AUTOCAR JAPAN
車高調に交換しても純正ダンパーは捨てちゃダメ! 加工してオーダーメイドのサスペンションに生まれ変わる「K-one DAMPERリプレイス」とは
車高調に交換しても純正ダンパーは捨てちゃダメ! 加工してオーダーメイドのサスペンションに生まれ変わる「K-one DAMPERリプレイス」とは
Auto Messe Web
スーパーGT第1戦岡山のZFアワードはGT300優勝のmuta Racing INGINGが受賞
スーパーGT第1戦岡山のZFアワードはGT300優勝のmuta Racing INGINGが受賞
AUTOSPORT web
シトロエン C3エアクロス 新型、間もなくデビューへ…ティザー
シトロエン C3エアクロス 新型、間もなくデビューへ…ティザー
レスポンス
日本GPでは2台が接触する不運も。今季絶不調のアルピーヌF1、ファミン代表がチームを鼓舞
日本GPでは2台が接触する不運も。今季絶不調のアルピーヌF1、ファミン代表がチームを鼓舞
AUTOSPORT web
再舗装も行われた上海でのスプリントにドライバーらが反対「マシンがトリッキーになることを考えるといい選択ではない」
再舗装も行われた上海でのスプリントにドライバーらが反対「マシンがトリッキーになることを考えるといい選択ではない」
AUTOSPORT web

みんなのコメント

3件
  • 1台欲しいなぁ
    盗難は心配だけど
    なにかあったら 高速道路乗れるのもいい
  • 200だったら欲しかった。
    PCX150に乗っていたけど、高速道路で辛すぎて2年弱で手放してしまった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村