ルーベンス・バリチェロを筆頭に数多くのF1経験者が参戦するブラジルの人気ツーリングカー・シリーズ、SCBストックカー・ブラジルの第3戦が4月20~22日の週末にヴェロパークで開催され、シリーズ5冠を記録する"帝王"ことカカ・ブエノと、2017年王者であるダニエル・セラが、それぞれ勝利を収めた。
ブラジル南部ポルトアレグレ北部に位置するヴェロパーク・サーキットを舞台に開催されたSCBの第3戦は、14年の王者でありF1ではスクーデリア・フェラーリの一員として当時の最多参戦記録も樹立したバリチェロを筆頭に、リカルド・ゾンタ、アントニオ・ピッツォニアに加え、今季からルーカス・ディ・グラッシやネルソン・ピケJr.といったF1経験者が数多く参戦。
ストックカー・ブラジル第2戦、今季フル参戦のディ・グラッシが早くも勝利
その予選で並み居る元F1ドライバーたちを抑えてポールポジションを獲得したのは、5度のタイトル獲得経験を持ち、昨季から強豪シムド・レーシングのマシンをドライブするブエノだった。
そのまま土曜のレース1でも見事なホールショットを決めたブエノは、2番手に迫るシェルVパワー・レーシングのゾンタとの距離をマネジメントし、一度もポジションを脅かされることなく勝利。およそ2年越し、シムド・レーシング移籍後は初となる優勝を飾ってみせた。
「こうしてこの場所にカムバックすることができて本当に幸せだ。ドライトラックでのマシンは本当に良い感触だったが、それでもまだベストとは言えない」と、レース後にふり返ったブエノ。
「雨がらみのプラクティスや予選ではまだまだバランスに課題を抱えていて、序盤のウェットコンディションではリカルド(・ゾンタ)がみるみる迫ってきた。でも気温が上昇してドライに転じたピットストップ後からは、プレッシャーも幾分か和らいだよ」
2位表彰台にはそのゾンタが続き、3位にはピッツォニアのチームメイトであるプラティ-ドナドッツィ・レーシングのフリオ・カンポスが入っている。
また、ファンからのSNS投票で上位につけた選手に贈られる"ヒーロー・プッシュ"の受賞者で、女性ドライバーのビア・フィゲレイド、バリチェロ、シェルVパワーのアッティラ・アブレウ、そしてピケJr.らを抑えて、この週末で堂々のトップシード選手に輝いていた前戦勝者ディ・グラッシは、レースのオープニング早々にホイールがルーズとなりクラッシュ。
オーバーテイクボタンの使用機会が訪れないままに戦列を去ったばかりか、マシンダメージが大きく日曜のレース2スタートにも修復が間に合わないとの判断からDNSを余儀なくされている。
続く日曜はリバースグリッドのセカンドロウ、3番手からスタートした17年ル・マン24時間クラスウイナーで、WEC世界耐久選手権のAFコルセ契約ドライバーのダニエル・セラが、レース序盤から首位に浮上すると、燃料給油を含むルーティンピットを経てもなお2番手のマルコス・ゴメス(シムド・レーシング)に首位を譲ることのない盤石のレース展開をみせる。
雨の土曜予選で12番グリッドに沈んでいた王者は、レース1を通じて日曜に向けた戦略の確定とマシンセットアップに専念したことが功を奏した、と強調した。
「週末最初の出だしはマシンのフィーリングが本当に良かった。今年1番だと言ってもいいほどにね」と、王者セラ。
「でも、雨が降り始めてからは自分たちのポジションを見失い、予選では下位に沈むことになった。だからレース1は戦略面でのマネジメントに集中して、日曜に向けてマシンの正しいセットアップを見つけることだけを考えたんだ」
「幸い、レース1はそのおかげでトップ10に戻ってくることができた。リバースグリッドで、かつドライになった日曜はブルーシグナルが点いた瞬間に"勝てる"と確信したよ」
2位ゴメスに続き、最後の表彰台には前日に続きカンポスがカムバック。2年前のここヴェロパーク以来となるダブルポディウムを達成した。
そのほか、F1経験者組では前日表彰台のゾンタが7位。9位にバリチェロ。ピッツォニアとピケJr.はリタイアに終わっている。
この週末の結果により、王者セラが選手権首位に浮上。15点差で帝王ブエノがランキング2位に付けた。次戦SCBストックカー・ブラジルの第4戦は、ブラジル・パラナ州北部に位置する都市、ロンドリーナで5月4~6日に開催される。
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