新世代GR86/BRZのワンメイクレース第1戦が7月17日に開催
同じクルマで競うワンメイクレースとして人気の「86/BRZレース」が、新たに「GR86/BRZ Cup」に生まれ変わって2022年7月17日に富士スピードウェイにて第1戦が開催された。ベース車が86/BRZからGR86/BRZになったことで、プロフェッショナルシリーズは改造が可能に! クラブマンシリーズはタイヤがワンメイク指定となるなど、大きく変わった。第1戦には両クラス合計89台が出走し、プロフェッショナルシリーズは谷口信輝選手が最初の勝者となった。
「ただ参戦するだけで年間1000万円必要」って本当? 新型GR86&BRZ「ワンメイクレース」参戦するためにかかるコストは
同じクルマで競うから腕とセッティングが問われる
ワンメイクレースとは、同じ車両で競うレースのことで、改造もほとんどできないのが特徴。その昔はAE86だったり、シビックやインテグラ、ヴィッツなどのワンメイクレースが開催され、ドライバーの腕とわずかなセッティング範囲でのアジャスト能力が問われるシビアなレースとして人気を博してきた。
2021年まで開催されていた「TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race」はざっくり言うと、サスペンションはTRDで指定、バネ交換は禁止、マフラーやエアクリーナーはすべてノーマル、タイヤはプロフェッショナルシリーズ用とアマチュア向けのクラブマンシリーズ用に登録されたものの中から選択、パッドは自由でオイルも自由……と、イジれる所がわずかだった。
プロとクラブマンの違いは使えるタイヤの違いだけで、プロフェッショナルシリーズではよりハイグリップなタイヤが使われていた。
アマチュア部門はタイヤがワンメイク化してコスト節減
ベース車両がフルモデルチェンジして7月17日に富士スピードウェイで開幕した「GR86/BRZ Cup」では大きくルールが変わった。
まず、クラブマンシリーズはTRDかSTI(BRZはこちら)のサスペンションを使用し、パワー系は何もイジれないのは旧ルールと同じで、ブレーキパッドは登録したメーカーのものから選択して使う方式に変更された。
そして従来との最大の違いは、タイヤがダンロップの「DIREZZA ZIII」のみ使えるルールになったことだろう。タイヤのワンメイク化はコスト削減につながる。実際、勝とうと思うとあらゆるタイヤを買ってテストして、ときにはサーキットに何種類も持ち込んで天候に合わせて使い分けしていた参加者もいるほどで、そういったことがなくなるのは、大きくコスト削減につながる。しかもこのDIREZZA ZIIIはとくに耐摩耗性に定評あるタイヤなので、たっぷりと練習走行できるのも大きなメリットだ。
プロ部門は改造が解禁されてパーツ選択も見どころに
そしてプロフェッショナルシリーズはGR86/BRZになって、いくつかの改造が解禁された。まずはサスペンション。TRD製のほかにSTI、TEIN、BLITZ、K-one OHLINS、ENDLESS、CUSCOから選べるようになった。いずれもバネレートはフロント8kg/mm・リヤ10kg/mmに指定されているので、とりあえずガチガチにしてどうにかしようということもできず、ダンパーの絶妙なセッティングが問われることになったのだ。
さらにマフラーも交換可能になり、5ZIGEN、TRUST、FUJITSUBO、BLITZから選べる。メーカーによってはトルク重視モデルとパワー重視モデルがあり、コースによって使い分けたほうが速いとか、そういった細かいテストも行われているという。
チューニングパーツが使えることによってその製品のパフォーマンスが問われることになり、各社は総力を挙げて開発している。そこでメーカー同士の競争が発生し、優れた性能のパーツが生まれるという良いスパイラルが生まれているのである。実際、富士スピードウェイでは各メーカーが連日テストを行い、そのパーツの開発を進めていた。
GR86/BRZ Cupプロフェッショナルシリーズの参戦ドライバーはそれらのパーツの開発ドライバーも多く、パーツのパフォーマンスを証明しようという人も多い。一方、メーカーとつながりのないドライバーとチームは、あらゆるパーツの中から、最もパフォーマンスがあるものを選択する作戦を採っている。
そういった視点で見ると、どのパーツが速さを生んでいるのかもわかる。こうした通な視点からの楽しみ方もできるレースへと進化を遂げたのがGR86/BRZ Cupなのだ。
【今後の開催予定】
第2戦:8月20~21日/スポーツランドSUGO第3戦:9月24~25日/十勝スピードウェイ第4戦:10月29~30日/鈴鹿サーキット第5戦:11月19~20日/岡山国際サーキット
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