セルジオ・ペレスはレッドブルとの2年間の契約延長を発表したばかりだが、スランプが続いている状況から、復調しなければシート喪失というプレッシャーにさらされている。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はペレスが現在のパフォーマンスのままでいるのは「持続不可能」だと語っており、契約解除の可能性が高まっていると考えられる。
■セルジオ・ペレス、レッドブル解雇の崖っぷち。チーム代表「このままでは持続不可能と分かっているはず」契約条項発動も近づく
仮にペレスがレッドブル解雇となった場合、誰が後任ドライバーとして適任なのか、motorsport.comのライター陣が考察した。
■角田裕毅を昇格させる時が来た
F1界は角田裕毅(RB)を過小評価している傾向がある。それは意見というよりも事実だ。
クラッシュばかりして無線で怒鳴るというイメージは、現在の角田の姿をまったく反映していない。ただF1参戦初年度だけでなく、ヨーロッパに活動の場を移してきた瞬間から積み重ねてきたことが大きく影を落としている。
言語を学び、新しい環境と文化に適応することは、それ自体が大きな挑戦だ。その中で角田は、ジュニアカテゴリーで素晴らしいパフォーマンスを見せた。そしてエンジニアとのコミュニケーションさえままならなかった時期に、それを補って余りある活躍を見せたということが、角田の純粋なスピードを示している。
今、もっと認識されなければならないのは、角田がその後、身体のコンディション、マシンへの理解やセットアップなど、あらゆる面で現在のレベルに到達するまでにどれだけの努力をしてきたかということだ。
それこそ、イタリア・ファエンツァのファクトリーで角田と仕事をするRBのスタッフたちに最も大きな印象を残したことなのだ。レースの合間には、文字通り毎日ファクトリーに顔を出していた時期もあった。
ソーシャルメディア上では、F1ドライバーがタイトル獲得の夢を語る中で角田が「自分のレストランを開きたい」と語るなど、茶目っ気のある動画が数多くアップされている。
しかし角田のF1での決意は固く、それが今年の成長に繋がっている。今季RBで角田は、ベテランのダニエル・リカルドよりも高いパフォーマンスを発揮しており、今年でF1参戦4年目。速さもある。それなのに、なぜ昇格のチャンスが与えられないのか?
ダニール・クビアトやピエール・ガスリー(現アルピーヌ)をF1デビューから1年半で昇格させたり、アレクサンダー・アルボン(現ウイリアムズ)をわずか半年で昇格させたりと、レッドブルは過去にもっとクレイジーなことをしてきた。私としては、角田は彼らよりもずっと準備が整っていると感じる。
確かに、角田はまだ荒削りな部分もあり、今年もそれは時折見られることだ。しかしレッドブル4人のドライバーの中で、角田が2番手であることは明らかだ。ではなぜダメなのか? ペレスの現状よりも悪くなるとは考えにくい。(Oleg Karpov)
■ここはあえてのピアストリ
レッドブルが本気でタイトルに挑めるドライバーを獲得したいと思うのであれば、角田やローソン、リカルドのことを忘れて、マクラーレンのオスカー・ピアストリを獲得するために大金をつぎ込むべきだろう。
ピアストリはマクラーレンと2026年まで契約を結んでいるが、F1では全てに値札がついている。そしてピアストリは、その金額を払うに値する存在だ。
ピアストリはレッドブルにとって、マックス・フェルスタッペンの“引き立て役”となるだけでなく、フェルスタッペンを翻弄するに十分なスピードも持ち合わせている。
私としては、ピアストリはこの1年半で傑出したパフォーマンスを発揮してきたドライバーのひとりだと思う。チームメイトのランド・ノリスとは違い、個人的なミスはほとんどなく、黙々と自分の仕事をこなし、堅実な結果を出している。
まだ23歳のピアストリは、レッドブルの環境に理想的にフィットするだろうし、ピアストリのマネージャーであり元レッドブルドライバーでもあるマーク・ウェーバーから全面的なアドバイスを受けるはずだ。ネガティブな意味でのサプライズはないだろう。
もしこれがレッドブルの若手ドライバー育成プログラムの崩壊と見るなら、それはもう遅い。既に後任を探されているペレスと契約している時点で、十分に機能していなかったことは明らかだ。
レッドブルはプログラムのリストに載るドライバーについて全てを認識している。育成ドライバーであるアイザック・ハジャーはFIA F2のドライバーズランキングをリードしているが、来季に向けた判断は下されていない。
レッドブルはそろそろ損切りを行ない、ペレスのギャンブルから離れ、実際に安定した結果を残せるドライバーを選ぶべきだろう。そして、将来的にタイトルを獲得するポテンシャルを秘めたドライバーを選ぶべきだ。
レッドブルがマクラーレンからピアストリを獲得するためには、それなりの費用がかかるかもしれない。だが、最終的にはそれだの価値があるはずだ。(Ben Hunt)
ローソン投入の機は熟した
レッドブルはようやく、毎レースのように優勝争いに加わり本物のバトルを繰り広げているフェルスタッペンのチームメイトとして、ペレスをキープするリスクに気がついたようだ。
レッドブルは7月11日(木)にシルバーストンでのフィルミングデーを実施するとされており、そこでローソンをテストすることで、セカンドシート問題と、フェルスタッペンを電撃昇格させて以降続いてきたジュニアドライバーの渋滞を解消することができるはずだ。
レッドブルがすべきことは、ローソンをRBではなく直接シニアチームに昇格させることだ。RB20のようなマシンのパフォーマンスと期待を考えれば、大きな挑戦になるだろう。
しかしローソンにとっても同様に大きなチャンスとなる。昨年、負傷したリカルドの代役としてF1デビューを果たして入賞を果たしたローソンは、プレッシャーと期待の両方に対応できると既に示している。RBのステップをスキップすることで、レッドブルの育成ドライバーのラインアップ問題も解決する。
レッドブルは角田について、プレッシャーへの対応力、特にフェルスタッペンとの対峙で生まれるプレッシャーに耐えられるかどうかについては疑問符を抱いており、RBに残留させることを決めた。昇格の望みはなさそうだ。そしてリカルドの将来はもっと不確かだ。
結局のところ、レッドブルはRBでジュニアドライバーを試すことを望んでいる。しかし、ローソンは既に代役参戦中にそのテストに合格できることを証明している。
ローソンをペレスの後釜として起用することで、RBは時間的猶予が生まれる。ローソンやリカルドが成功するかしないかという判断も下せるし、下位カテゴリーのFIA F3で活躍するはるかに若く経験の浅いアービッド・リンブラッドにチャンスが巡ってくる可能性もある。(Alex Kalinauckas)
安牌はサインツJr.?
ここ数週間の出来事から、レッドブルはフェルスタッペン援護のために可能な限り強力なチームメイトを用意する必要があることが明らかになった。
速く、技術的な才能があり、経験豊富で、レースで優勝した実績があり、トップチームで結果を出すというプレッシャーに耐えられる人物……さて、現在のドライバー市場に出ている中で、それは誰だろう? そうフェラーリ離脱が決まっているカルロス・サインツJr.だ。
フェラーリでサインツJr.はシャルル・ルクレールと共に頼もしい活躍を見せ、特に昨年のシンガポールGP、今年のオーストラリアGPで素晴らしい勝利を収めたサインツJr.は、この1年半でその知名度を高めた。
その活躍がサインツJr.の選択を妨げている。フェラーリ離脱の日が近づく中で、来季のオファーが来ているのはウイリアムズ、アウディ(現キック・ザウバー)、アルピーヌの3チームとされており、いずれかを選んだとしても、少なくとも来季は優勝を狙える可能性は低い。
そして、サインツJr.が移籍先で悩んでいるということは、レッドブルやメルセデスのようなビッグチームへの扉が再び開くかもしれないという希望を本人が抱いているということを示唆している。そして今、レッドブルの扉が開きつつある。
フェルスタッペンとサインツJr.はトロロッソでコンビを組んだことがある。その時のふたりは上手く歯車が噛み合わなかったが、その理由のひとつはドライバーたちの側近たちによる水面下での駆け引きだった。特にフェルスタッペン”陣営”が仕掛けた駆け引きは、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコが“有毒だ”と表現した。サインツJr.獲得のチャンスが最初に浮上した際、レッドブルが見送った理由の大部分はここにあるのかもしれない。
仮にペレスの不調が続くのであれば、レッドブルは他の選択肢も含め再考する必要がある。
リカルドは“プランB”として呼び戻され、最近のレースではより堅実なパフォーマンスを見せている。しかしホーナー代表が、一時はクビ候補にまで成り下がったリカルドをシニアチームに復帰させるとは考えにくい。
また好むと好まざるに関わらず、レッドブルの実力者はプレッシャーのかかるシニアチームのセカンドシートを任せられるほど角田を信用していない。
そしてローソンはまだ数回しかグランプリに出場しておらず、そのままシニアチームのドライバーに据えるのは理に適っていない。
レッドブルがふたりのトップドライバーを擁してコンストラクターズタイトル連覇を目指すのであれば、サインツJr.を獲得してチームにフィットさせる方法を見つける必要があるかもしれない。
直近のオーストリアGPではホーナー代表とフェルスタッペンの父ヨスが舌戦を繰り広げた。サインツJr.を獲得したとして、上手くチームが回るような安定した環境がつくれるかどうかが課題となる。(Filip Cleeren)
ペレスの代わりは……ペレス?
レッドブルは運に見放されたスランプのドライバーを起用し続けるべきだと本気で言っているのか? と言われるかもしれない。この質問にはイエスと答えるが、少し待って欲しい。その理由を説明しよう。
モータースポーツは感情で動かないスポーツだ。特にカフェインたっぷりで漠然とした風味の缶飲料メーカーが所属するドライバーに関しては特にそうだ。
ホーナー代表やマルコは、ドライバーを“使い捨て”のように扱ってきたのは事実だ。苦境に立たされたドライバーを支援するのではなく、ほんのわずかなトラブルがあっただけで即座に契約を解除する。クビアト、ハイメ・アルグエルスアリ、セバスチャン・ブエミ、ニック・デ・フリーズ、ジャン-エリック・ベルニュ、ガスリー、アルボン、セバスチャン・ブルデーなどに聞いてみるといい。そこに感情の要素はない。
ペレスは昨年も同じようにシーズン中に調子を崩した。以前から言われているのは、シーズン中の開発でマシンがペレス向きではなくなってしまったこと、対フェルスタッペンで自信を失ったこと、星占い、寝起きの悪さ……などだが、レッドブルもペレスも原因を十分に理解できていないのは明らかだ。
ただこれはレッドブル側の失態でもある。ペレスが2023年の荒波を乗り切るのを今年になっても助けられず、今になって見捨てることを検討しているのだ。
ペレスはドライバーとしては、それほど悪くない。もちろん、1994年から1995年にかけてのミハエル・シューマッハーとそのチームメイトたち以来、フィニッシュ時のチームメイト間の平均ギャップが最大になっているのは確かだ。
昨年末、ペレスはなんとか立て直したのだから、今年も復調は可能なはずだ。しかし何かが再びスランプを作り出している。そしてレッドブルは解決策を見つけるよりも、ペレスの採寸結果を”葬儀屋”に渡すことに忙殺されている。
レッドブルは今年初め、ペレスを落ち着かせるために契約延長に踏み切ったようだが、効果はなかった。つまり、チームはこの問題を根本から間違えており、少なくともシーズン末まで彼を見守る責任がある。
再びペレスの心に火を付けられず、パフォーマンスを引き出す方法を両者が見つけられなければ、決別の時が来るかもしれない……しかし現時点では、レッドブルがペレスの調子を取り戻すために全力を尽くしたとは思えない。つまり、解雇する理由はないのだ。レースでの取り組み方を見れば、それをやり遂げたとは思えない。(Jake Boxall-Legge)
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みんなのコメント
それ以外のは全部選択肢として絶対ありえないってのは無いと思う。
2025年の話ならリカルドやピアストリ(流石に相当の違約金が必要だしペレスやリカルドのスポンサーマネーでなかなか切れないレッドブルに資金の余裕があるとは思えない)の可能性はあるけど。ただ、いきなりローソンを押すのは一番ありえない。