FIAは、これまでの電気自動車(EV)のモータースポーツカテゴリーでは見られなかったような革新性、技術的自由度を備えた新たなシリーズ設立を目指し、マシンの技術的詳細を発表した。
シリーズ立ち上げの時期がまだ未発表のこの新しい電動GTカテゴリーでは、モータースポーツで初となるEVバッテリーの開発が可能となる。電動フォーミュラシリーズのフォーミュラEも含め、各カテゴリーでのバッテリーはサプライヤーが供給する標準部品だった。
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また、レース中のピットストップでの急速充電もマシンのコンセプトに盛り込まれている。各メーカーは2輪または4輪駆動のマシンを開発することができ、各駆動輪へのパワー配分を調整するトルクベクタリング機能も、性能向上を目的とした搭載が認められる。
4月21日の発表においてFIAは、新しい電動GTカテゴリーが「モータースポーツにおけるEVの性能と航続距離の新しい基準となる」と述べた。
新設される電動GTカテゴリーは、既存のGT3マシンと同等の性能を持つマシンを作るために考案された。だが、加速力や予選ペースなどの点では、GT3を上回るパフォーマンスを備えることになるだろう。レースには、常設サーキットのフルコースが使用される。
FIAのテクニカル・ディレクターであるグザビエ・メステラン・ピノンは、この新しい電動GTカテゴリーを自動車産業との関連が強いクラスにしたいと考えていると説明した。
「自動車産業にとって、EVの主な技術的課題はバッテリーの開発、車両へのバッテリー搭載、急速充電技術だ」
「市販車に適した技術を開発したいと考えているメーカーにとって、このエリアの部品を標準パーツに頼るのではなく、開発を許可することが非常に重要になる」
FIAのジャン・トッド会長は、FIAには「モータースポーツを持続可能なモビリティのための実験室にするというビジョンがある」と語った。
「電動GTカーの新カテゴリーを発表することは、この目標を達成するための重要なマイルストーンであり、新しいバッテリー技術や急速充電技術への道を開くものだ」
「我々の”Race-to-Road”アプローチを完璧に表している」
インディカーや世界耐久選手権(WEC)でリードレースエンジニアを務めた経験を持ち、現在はFIAでGT委員会のプレジデントであるリーナ・ゲイドは「メーカーが技術を開発し、その技術を示すプラットフォームが必要とされていました」と説明した。
彼女は、FIAの技術ワーキンググループでルール策定に加わったメーカーから、このカテゴリーに強い関心が寄せられていると明かした。
メーカーは、来年のWECにデビューするプジョーのハイパーカーにもバッテリーを供給している、石油会社トタルの子会社であるザフト社が開発したリチウムイオンセルを用いて、カスタムメイドのバッテリーレイアウトを構築することも可能だという。
ザフト社の技術を使えば700kWの急速充電が可能になり、FIAの声明によれば「数分」でバッテリーを60%まで充電することができるようだ。
さらに各メーカーには、新ルールに基づいて開発したEVモデルでこのカテゴリーに加わる以外に、既存のGT3マシンのパワートレインを載せ替えるという選択肢も用意されている。これにより、マシンの開発コストをかなり抑えることができるだろう。
新しい電動GTマシンの最大出力は430kW(約575bhp)で、車両重量は1490~1530kgとなる。FIAは発表の中で「高価な材料の使用を制限するため」にGT3よりも若干重量基準を重く設定したと説明している。
電気モーターは2基または4基搭載可能で、バッテリーの最大エネルギー容量は87kWhに設定されている。
新カテゴリーの詳細は昨年12月に最終決定されたが、これまで関心のあるメーカーにのみ公開されていたという。
FIAはこのルールに基づき新たなシリーズを開催する予定であり、先月の世界モータースポーツ評議会の後、プロモーターとの条件に合意し、その存在が明らかにされた形だ。
21日の発表では、プロモーターの身元は伏せられており、追って明らかにされるという。計画の詳細は、5月初旬に発表される。その中には導入時期、シリーズ名、レース形式、プロモーターの正体などが含まれる予定だ。
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