クルマのシート表皮に使われる素材にはどのような種類があるのか?
一口にシート地といってもクルマのシートにはさまざまなタイプのシート地が使われています。布であったり、革であったり、人工皮革であったり、それぞれのシート地にはそれぞれのメリットがあります。一概にどのシート地がいいのではなく、使われ方にあったシート地というものがあります。それらを整理しつつ紹介しましょう。
布系のシート地と人工皮革
クルマのシートに使われている生地でもっとも多いのが布系の物となるでしょう。布といっても、どんな布でも使えるわけではありません。まず第一にクルマの内装に使われるものは難燃性である必要があります。そのうえでさまざまな布地が選ばれています。
ジャージと呼ばれるものはスポーツウェアのジャージと似た布地で、織り目が細かいので表面がさらりとしています。トリコットも同じように織り目の細かい布地ですが、さらりとした印象というよりもつるりとした滑りのいい印象があります。逆にざっくりとした印象のものはジャガード織りと呼ばれるものです。
人工皮革にもいくつかの種類があります。もっともベーシックな人工皮革はビニールレザーです。今はあまり使われることはありませんが、パトカーはビニールレザーであるものが多いです。汚れを落としやすい、雨に濡れた状態でも乗り込めるなどの理由でビニールレザーが使われます。そのほかの人工皮革は、高級品である革シートの質感を持ちながらも製品が安定している、安価である、などが大きな理由で使われています。有名な人工皮革としてはスウェード調のアルカンターラなどがあります。
布系のシート地と人工皮革のメリットとデメリット
多くに使われているのはメリットが大きいからです。最大のメリットはやはりコストでしょう。革に比べて価格面でリーズナブルなことは間違いないといえます。それだけでなく、自然が生み出す製品である革とは違って製品が安定しているというのも大きな魅力です。最大のデメリットと言われているのが静電気の発生です。布系やビニールレザー以外の人工皮革は静電気が発生しやすいのがデメリットで、なかには通電性の糸を織り込んで静電気がたまらないようにしているものもあります。
革シートのメリットとデメリット
革シートは高級感あふれるインテリアを構成できるというメリットがあります。とくに日本人は革イコール高級品というイメージがあるため、革シートのプレミアム感は今も健在です。しかし、革は畜産品ですから製品を安定供給することも均一化することも難しいという現実もあります。
布系で大きな問題だった静電気は発生しづらい革シートですが、冬場はシートがかなり冷たくなる傾向にあります。また、夏も汗を吸いませんのでピッタリ接触すると暑いタイプのシートとなります。そこでシートヒーターやベンチレーターが装備されることが多いのも革シートの特徴です。布のシートはとくにこれといったメンテナンスをせずとも、長い期間使うことができますが、革シートの場合はワックスによるメンテナンスなどが必要となります。これもデメリットのひとつと言っていいでしょう。
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