現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > SKYACTIV-Xがすばらしい理由──安藤眞の『テクノロジーのすべて』第1弾

ここから本文です

SKYACTIV-Xがすばらしい理由──安藤眞の『テクノロジーのすべて』第1弾

掲載 更新
SKYACTIV-Xがすばらしい理由──安藤眞の『テクノロジーのすべて』第1弾

SKYACTIV-Xがいよいよ世に送り出される。しかしこれまでのエンジンに対して何が違うのか、どこに優れた点があるのか、それらによって何が得られているのか、いまいちよくわからないという方も少なくないだろう。『ニューモデル速報:すべてシリーズ』のメカニズム詳密解説の項で活躍する安藤 眞が、エンジンにおける燃焼とそれに対するSKYACTIV-Xの技術的優位性をわかりやすく解説する。TEXT:安藤 眞(Ando Makoto)

SKYACTIV-Xのキー技術「SPCCI」とは何か

次期ルノー・カングーはどうなる?  ルノー・日産自動車・三菱自動車、フランスでバンの生産を拡大

 かねてから開発が進んでいることが公表されてきたマツダのSKYACTIV-X エンジンの量産仕様が、11月30日から始まるロサンゼルスモーターショーでいよいよ公開される。新燃焼方式“SPCCI”を採用し、SKYACTIV-G比で約10%の燃費向上を謳うエンジンだ。

 SPCCIとは、Spark Controlled Compression Ignition の略で、マツダの造語。自動車工学的には、PCCI (Premixed Charge Compression Ignition)=予混合圧縮着火をベースに、SI (Spark Ignition) =火花点火を組み合わせたものだ。
 “予混合”はガソリンエンジンの燃焼方式。空気とガソリンを予め混ぜておき、火花を飛ばして着火する。“圧縮着火”はディーゼルエンジンの燃焼方式で、シリンダー内には空気だけ吸い込んでおき、それを圧縮して温度が高まった温度ところへ軽油を噴射して、自己着火によって燃焼させる。このPCCI自体は、ガソリンエンジンの排ガス対策の容易さと、ディーゼルエンジンの熱効率の高さを総取りできる技術として、20世紀から研究が行われてきた。



 ところが、安定して燃焼させられる負荷領域が非常に狭く、コントロールも難しいことから、今日まで実現することはできなかった。
 ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでも、熱効率や排ガス性能にとって重要なのは、燃焼を開始させるタイミング(正確には燃焼ピークのタイミング)。それをコントロールしているのが、スパークプラグによる点火時期であり、燃料噴射装置による噴射時期である。
 ところが“予混合”ということは、それを燃料噴射時期でコントロールすることはできず、“圧縮着火”ということは、火花点火でもコントロールできない。混合気はすでに用意されているから、圧縮されて自己着火温度に達した瞬間に燃焼が始まる。それは圧縮開始温度でほぼ決まってしまうため、外気温が変われば変動するし、燃料の性状(オクタン価)にも左右されてしまう。これでは安定した性能など出るはずがない。



 そこで、燃焼開始のタイミングをスパークプラグでコントロールすれば、というのが、マツダのSPCCIだ。火花点火でありながら、従来のような火炎伝播燃焼ではなく、火炎核が成長する際に生じる圧力を利用して筒内圧を高め、その温度上昇を利用して自己着火させる。これならPCCI燃焼は成立するし、点火時期を変えることで圧力ピークもコントロールできる。これがSPCCIのブレイクスルーその1である。

関連タグ

こんな記事も読まれています

MINI、「北京モーターショー2024」でMINIファミリー最新モデル「MINI エースマン」を発表
MINI、「北京モーターショー2024」でMINIファミリー最新モデル「MINI エースマン」を発表
LE VOLANT CARSMEET WEB
将来のスポーツカー開発を視野に入れた取り組みも。マツダが2024年スーパー耐久参戦体制を発表
将来のスポーツカー開発を視野に入れた取り組みも。マツダが2024年スーパー耐久参戦体制を発表
AUTOSPORT web
「海外生産の日本車って大丈夫?」なんて心配いまは無用! それでも国内販売で苦戦する理由とは
「海外生産の日本車って大丈夫?」なんて心配いまは無用! それでも国内販売で苦戦する理由とは
WEB CARTOP
雨の混乱の中、ノリスが驚異の走りでポール! ハミルトンが2番手、角田裕毅はSQ1敗退|F1中国GPスプリント予選
雨の混乱の中、ノリスが驚異の走りでポール! ハミルトンが2番手、角田裕毅はSQ1敗退|F1中国GPスプリント予選
motorsport.com 日本版
全部当てはまったら「クルマ好き老害」認定! ついついやりがちな「他人に煙たがられる」カーマニアの行動7つ
全部当てはまったら「クルマ好き老害」認定! ついついやりがちな「他人に煙たがられる」カーマニアの行動7つ
WEB CARTOP
質実剛健に原点回帰 トヨタ新型「ランドクルーザー250」ついに発売!“丸目”限定モデルも登場
質実剛健に原点回帰 トヨタ新型「ランドクルーザー250」ついに発売!“丸目”限定モデルも登場
乗りものニュース
4月20~21日開催の岩佐歩夢プロデュース「スーパーフォーミュラキャラバン」、Q&Aセッションなどキッズ向け新コンテンツが追加
4月20~21日開催の岩佐歩夢プロデュース「スーパーフォーミュラキャラバン」、Q&Aセッションなどキッズ向け新コンテンツが追加
motorsport.com 日本版
ホンダ、N-VANをマイナーチェンジ 一部仕様に急アクセル抑制機能を追加
ホンダ、N-VANをマイナーチェンジ 一部仕様に急アクセル抑制機能を追加
日刊自動車新聞
15年ぶりの全面刷新! トヨタ新型「ランクル250」発売! 限定“丸目”仕様が高人気か!? 待望の「人気車」に反響集まる!
15年ぶりの全面刷新! トヨタ新型「ランクル250」発売! 限定“丸目”仕様が高人気か!? 待望の「人気車」に反響集まる!
くるまのニュース
トヨタ新型「ランドクルーザー250」発売! 価格は520万円から 注目の“丸目ライト” ZX「ファーストエディション」は計8000台の限定販売
トヨタ新型「ランドクルーザー250」発売! 価格は520万円から 注目の“丸目ライト” ZX「ファーストエディション」は計8000台の限定販売
VAGUE
トヨタ『ランドクルーザー250』発売、520万円から…特別仕様車も
トヨタ『ランドクルーザー250』発売、520万円から…特別仕様車も
レスポンス
ピレリ、ポルシェ・タイカン用に2種の新しい承認タイヤを開発! P ZERO タイヤでEVの特性に適したELECTのレンジを拡大!
ピレリ、ポルシェ・タイカン用に2種の新しい承認タイヤを開発! P ZERO タイヤでEVの特性に適したELECTのレンジを拡大!
LE VOLANT CARSMEET WEB
人間の心の闇に踏み込んだ衝撃のアンチモラル・ロマンス『マンティコア 怪物』
人間の心の闇に踏み込んだ衝撃のアンチモラル・ロマンス『マンティコア 怪物』
バイクのニュース
NEDOと東京都、水素エネルギーで未来を紡ぐラッピングバス運行開始
NEDOと東京都、水素エネルギーで未来を紡ぐラッピングバス運行開始
レスポンス
ニヤケテールがいいじゃないか!スカイラインに対決を挑んだ「二代目コロナ・マークII」【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第45回
ニヤケテールがいいじゃないか!スカイラインに対決を挑んだ「二代目コロナ・マークII」【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第45回
LE VOLANT CARSMEET WEB
F1中国GPスプリント予選速報|雨の中ノリス最速! ハミルトン2番手で母国戦の周がSQ3進出。RB角田裕毅は19番手
F1中国GPスプリント予選速報|雨の中ノリス最速! ハミルトン2番手で母国戦の周がSQ3進出。RB角田裕毅は19番手
motorsport.com 日本版
ダイハツ、ムーヴキャンバスとロッキー/ライズHVの出荷停止が解除 現行モデルすべての試験完了
ダイハツ、ムーヴキャンバスとロッキー/ライズHVの出荷停止が解除 現行モデルすべての試験完了
日刊自動車新聞
アクティブの「ラウンド/ストレートオイルクーラーキット」がリニューアルして登場
アクティブの「ラウンド/ストレートオイルクーラーキット」がリニューアルして登場
バイクブロス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村