■「カローラクロス」よりちょっと大きい“絶妙サイズ”!
トヨタ「ランドクルーザー」は、日本車では最も長い伝統に支えられた車種です。「トヨタジープ」の名称で1951年に発売され、1954年にはランドクルーザーに改称されました。
【画像】超カッコいい! これが新型「ちいさいランクルFJ」です!
今のランドクルーザーには「70」「250」「300」の3種類があり、シリーズ化されていますが、そこに新しく、「ランドクルーザーFJ(以下、ランクルFJ)」が加わることになりました。
従来のランドクルーザーシリーズはボディが比較的大きく、最もコンパクトなランドクルーザー70でも、全長は4890mm、全幅は1870mmです。300の「ZX」になると、全長が4985mmで全幅は1980mmに達します。
その点でランクルFJはかなりコンパクト。全長4575mm×全幅1855mm×全高1960mmですから、トヨタのコンパクトSUVの「カローラクロス」(全長4455mm×全幅1825mm×全高1620mm)よりも少し大きい程度です。
ランクルFJのボディはコンパクトですが、その一方で外観の存在感は強く、水平基調のボディには塊感があり、ワイドに張り出したフェンダーも力強いデザインを採用しました。
しかも最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は240mmと高く、タイヤサイズも18インチ(265/60R18)の大径です。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2580mmですからホンダの軽自動車「N-BOX」並みに短く、これらの相乗効果により、SUVの中でも特に悪路のデコボコを乗り越えやすいでしょう。
その代わり注意点もあります。ランクルFJは、タイで生産されるピックアップトラックの「ハイラックスチャンプ」をベースとしており、梯形のラダーフレームに、エンジンやサスペンション、ボディなどを架装しています。
このフレーム構造の採用に加えて、最低地上高も前述の240mmですから、床の位置がSUVの中でもかなり高く設定。しかもホイールベースが短いため、後席はドアの開口幅も狭まっています。そのためにランクルFJの後席は、乗り降りがしにくく感じます。
また、外観から分かるように、ランクルFJでは、荷室の側面のウインドウが埋められています。スペアタイヤをリアゲートに装着して、リアウインドウの視界が狭まった影響もあり、後方視界は悪いです。購入時には事前に販売店などで車庫入れや縦列駐車を試してみるといいでしょう。
インパネなどの内装は、水平基調のシンプルなデザインです。ATレバーやエアコンのスイッチもオーソドックスで、デコボコの激しい悪路を走っている時でも操作しやすく、インパネの中央にはワイドなモニター画面も備わり、実用性に不満はありません。
居住性は、前席は快適です。座り心地は日本車の平均水準で注目すべき点はありませんが、フロントウインドウの角度を立てて頭上にも十分な余裕があります。そのためにリラックスできて、長身のドライバーが上下に大きく揺すられる悪路を運転しても、頭部が天井に干渉する心配はありません。
後席は少し狭いです。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の頭上と膝先の空間は、両方とも握りコブシ1つ分です。この広さはコンパクトカーの「ヤリス」と同等。ランクルFJを買う時は後席を確認することをお勧めします。
それでもランクルFJでは、床と座面の間隔が適度で、着座姿勢に無理がありません。後席に座る乗員の足は、前席の下にスッポリと収まります。従って足元空間が窮屈に見える割に、実際に座ると相応の余裕があります。
ランクルFJの全長は4575mmに留まるため、荷室面積は5ドアハッチバックと同程度です。それでもボディスタイルが水平基調で、リアゲートの角度も立てたので、角張った背の高い荷物も積みやすいです。
リアゲートは横開き式を採用。スペアタイヤが装着されるため、開閉時に重さを感じますが、少しだけ開いて荷物を出し入れすることも可能です。縦列駐車など、ボディの後ろ側のスペースが狭い場所でも開閉できるとあって、便利に使えるでしょう。
ちなみにスペアタイヤは重いので、ボディの後端の高い位置に装着すると、走行安定性に悪影響を与えます。そのために今はスペアタイヤをリアゲートに装着するSUVは減りましたが、荷室を広く確保する上では有利な方法だと言えます。
ランクルFJに搭載されるエンジンは2.7リッター直列4気筒ガソリンで、最高出力は163馬力(5200回転)、最大トルクは25.1kg-m(3900回転)を発揮。トランスミッションは6速ATで、ランクル250にも採用される組み合わせです。パワフルではありませんが、ランクルFJのコンパクトなボディなら、特にパワー不足は感じないでしょう。
サスペンションは、前輪がダブルウイッシュボーンの独立式、後輪は4リンクの車軸式です。これもSUVではオーソドックスなメカニズムですが、信頼性も高いです。
ランクルFJは、前述の通りハイラックスチャンプと共通のラダーフレームを使うため、後輪駆動をベースにした4WDシステムを備える悪路向けのSUVになります。ボディはコンパクトでも、乗用車系のプラットフォームを使うカローラクロスや「ヤリスクロス」とは、クルマの造りが根本的に異なります。
そしてランクルFJのメカニズムで注意すべきは、4WDがパートタイム式になることです。今の大半の4WDは、カーブを曲がる時に前後輪の回転数を調節できるセンターデフや多板クラッチを備えるため、乾燥した舗装路を含めて常に4輪を駆動できるフルタイム4WDになります。しかしランクルFJには、センターデフや多板クラッチが装着されていません。
従って乾燥した舗装路を4WDで走ると、急なカーブを曲がったり車庫入れをする時に、ブレーキが作動したような状態に陥ります。舗装路は後輪駆動の2WDで走り、4WDを使えるのはスリップが生じる雪道や悪路に限られるため、舗装路だけを走ると4WDのメリットも生かせません。
パートタイム式には、このような注意点があるため、搭載車種も少ないです。国産乗用SUVでは、ランドクルーザー70のほか、スズキの本格四駆「ジムニー/ジムニーシエラ/ジムニーノマド」だけです。
そしてセンターデフや多板クラッチを介さない直結式4WDは、悪路の走破では有利です。ランクルFJには、後輪側のデファレンシャルギアをロックする機能も採用され、一般的なSUVとは異なる悪路走行に特化した性格となっています。
ランクルFJの発売時期については販売店に問い合わせたところ「不明です」との回答でしたが、筆者(カーライフジャーナリスト 渡辺陽一郎)が調べたところでは、2026年の5月から7月頃になりそうです。
価格も未定ですが、370万円から420万円と予想されます。その理由は2つあります。
まずランクルFJは、SUVでは製造コストを安く抑えられることです。ランクルFJが搭載する2.7リッター直列4気筒エンジンは、約20年前から使われています。6速ATの設計も古く、開発費用の償却も進んでいます。
4WDもシンプルなパートタイム式ですから、コストを低減できる要素が多くそろっています。生産はタイの工場が行いますが、輸送コストはさほど高くありません。
2つ目の理由は、トヨタのSUVラインナップにおけるヒエラルキーです。ランドクルーザー70は、2.7リッター直列4気筒クリーンディーゼルターボを搭載して、価格が480万円ですから、ランクルFJは少なくとも60万円くらいは安く抑えなければバランスが取れません。そうなるとランクルFJの価格上限は、420万円と予想されます。
またランクルFJのボディサイズは、前述の通りカローラクロスよりも少し大きい程度です。今のカローラクロスは1.8リッター直列4気筒エンジンを使ったハイブリッドを中心に搭載しており、上級グレードの「Z・E-Four(4WD)」は価格が368万9000円です。そこでランクルFJでは、370万円~420万円という価格帯の可能性が高くなるのです。
さらに370万円~420万円の価格帯には、2リッター直列4気筒ガソリンエンジンを搭載したベーシックな「ハリアーG・2WD」(371万300円)や上級の「Z・2WD」(418万円)もあります。
この価格帯は、他社も含めてSUVが豊富に用意されており、ランクルFJもこの価格帯に合わせると、幅広い車種からの乗り替えが容易になるでしょう。
※ ※ ※
現在、ランドクルーザーシリーズは、多くの販売会社において、全車が受注を停止しています。一部は定額制カーリースのKINTOで利用できますが、契約期間が満了すれば車両を必ず返却するので購入とは異なります。
ランクルFJは、今までのランドクルーザーシリーズと違って需要予測を正確に行い、納期の大幅な遅延や受注の停止、それに伴う転売や中古車価格の高騰を生じさせないよう配慮すべきです。
ランクルFJは、トヨタのSUV市場に対する姿勢が問われる新型車でもあるのです。(渡辺陽一郎)
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みんなのコメント
受注できても何年待ちとかでしょ。