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中込健太郎が説くハイブリッドカー解説

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中込健太郎が説くハイブリッドカー解説

中込健太郎が説くハイブリッドカー解説

ハイブリッドカーもすっかり定着し、もはや、ハイブリッドカーではないクルマの方が少ないのではないか、と思うこともしばしばです。ハイブリッドカーはエンジンと電気のおいしいトコ取りなクルマ。燃費がいいイメージがありますね。しかし果たして本当に経済的なのでしょうか。これを買ったらだれもが自動車のランニングコストを低減させることができるのでしょうか。ハイブリッドカーはお得かどうか、考えてみたいと思います。

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「21世紀に間に合いました」プリウスが出たのはふた昔前

初代プリウスが登場した時はセンセーショナルでしたね。アイドリングストップが一般的になるより先に、しっかりとモーターを持ったハイブリッドカーとして登場し、燃料消費の多い停止からの発進時や、加速時などでモーターがアシストするというあの仕掛け「その手があったか!」と多くの人が思ったことでしょう。

けれども最初のプリウスはエアコンをかけているとアイドリング時にもエンジンが止まらないことがあったりして、何かと課題も多く抱えていたクルマでした。電池の耐久性も疑問視する声が多く、まだまだ高価なものでした。それでも日進月歩でバッテリーの性能も向上、そしてコストも低下して、ハイブリッドカーの性能は向上してきています。

あの初代プリウスからおよそ20年。今では国内車メーカーはもとより、世界中の多くのメーカーがハイブリッドカーをラインナップするまでになりました。ハイブリッドカーの登場は私たち自動車ユーザーにとっても新しい自動車観をもたらしてくれたと言えるでしょう。


意地悪な言い方をすれば、一台のクルマに二台分のパワープラントを持っている?

内燃機関(エンジン)自動車のいいところと、電気(モーター)自動車のいいところを併せ持ったハイブリッドカーですが、逆の言い方をすると、一台のクルマを動かすのにと「内燃機関自動車の仕組み」と「電気自動車の仕組み」の二台分の仕掛けを盛り込んだクルマだという見方もできるのではないでしょうか。

もちろん結果的に限られた化石燃料という資源を低燃費というかたちで大切に使うことができるようになった、ハイブリッドカーがもたらしてくれた低燃費性能、そして、ともすると一リットルあたり、なんとなく二ケタキロメートル走ればよしとしていた、私たちの燃費に対する考え方をも一段高い目線へともたらしてくれた功績は大きいと言わねばなりません。しかし、この仕組み自体は決して簡素でシンプルにして「無駄を省いた」種類の低燃費技術ではないのです。意地悪く言うと、低燃費を実現するために手段を選らばず複雑に仰々しくしたクルマ、そんな風に表現することもできると思います。


ハイブリッドカーはもはや特別な存在ではなくなった!!

プリウスを中心にお話をしていますが、最近ではハイブリッド専門モデル以外にも幅広く設定されるようになりました。トヨタでもアルファード、ヴェルファイア、ノア、ヴォクシー、エスクァイアから、シエンタなどサイズの大小を問わずミニバン、クラウンやハリアーなど、以前からあるモデルにも設定。他メーカーでも、フィットばかりか、ヴェゼルといった手ごろなSUVにも設定。逆に国内のアコードやカムリはすべてハイブリッドカーになりましたね。

最早特別な存在ではなくなったと言ってもいいハイブリッドカーですが、それでも、さまざまな優遇があるのも事実。税金をはじめ、メリットは少なくないのがハイブリッドカーと言えるかもしれません。もちろんその理由としては、それなりに無視できない価格差があるから、という部分はもちろんあるのでしょうが。迷ったらハイブリッド、そんな雰囲気になるのも無理はないかもしれませんね。


ハイブリッドカー「価格差」とユーザーの「使い方」

実は「燃費がいいからハイブリッドカーにしようと思って」という相談、をしばしば受けるようになりました。果たして経済的な選択肢ハイブリッドカーは万人に進めることのできるクルマなのでしょうか。

これは筆者自身がかなり悩んだことがあります。もちろん「燃料代がぐっと下がるのはうれしい。これなら維持できそうな気がする!」とクルマを買うことを躊躇していた人が、クルマを買う後押しになっているのだとすれば「大いに買うべきです!」と申し上げるでしょう。昨今、あたかもクルマを持つことが、大いなる無駄であるかのように言われることもありますが、全くとんでもない話。

ですから、事の真偽はともかく、ハイブリッドカーが、クルマを持つことのハードルを下げ、それであれば購入できると思うなら、大いに進めたいと思います。 しかし、事の真偽はともかく、と申し上げたのはこの考え方が間違っているわけではなく、ある意味正しく、ある意味でそうとも限らないと思うからです。

プリウスだけで見るとわかりにくいですが、他の装備が同じレベルで、ハイブリッドカーとガソリンエンジンを両方擁ししているクルマを見ていただきたいのです。例えば今ですとカローラなどその例かもしれません。そうすると、完全に同じ装備でという比較はできないでしょうが、最初の金額が数十万円違うのです。これが高級輸入車のように500万円以上するクルマではなく、せいぜい200万円ほどの価格帯での数十万円です。これは小さくないでしょう。

ハイブリッドカーの方が数十万円高いのです。それでも燃費がいいから元は取れるでしょう、と考える人は少なくないようですが、これが実はかなり至難の業です。なぜなら、安い方の普通のガソリンエンジンのカローラも、なかなか燃費は悪くないのです。もちろん、モーターアシストのパワフルさ、エンジンが止まっているときの静寂さ。こうした価値をしっかり評価して「高価でも選ぶ価値あり!」でハイブリッドカーを選ぶなら全く問題はありません。しかしランニングコストだけで比較しだした時点で、元を取ろうと思ったらおおよそ10万キロ以上を走らないとその価格差は埋まらないことは、ぜひ覚えておいていただきたいところです。

「私は10万キロ以上走るつもりだから」という人でさえ、注意しなければならないことがこの後にもあります。カローラは世界戦略車。実は中古車として手放した後、海外でも日本で走っていた中古車を楽しみに待ってくださっている次のユーザーが多いのもこのクルマの特徴です。ようやく元を取ったと思って売却した時に、新車時には数十万円安かった普通のカローラの方が高いことがあるのです。

これは、海外の中古車流通に関する法律や、関税、為替レートなども影響するため断言もできないのですが、普通のカローラは海外での需要も高いのに対し、過走行のカローラハイブリッドは相対的に需要が少ない傾向になりやすいということは覚えておいた方がよいでしょう。なぜなら、仕組みがシンプルなガソリンエンジンのカローラの方が、修理等もしやすく、海外市場で人気があるからなのです。海外では10万キロ程度では距離薄という認識の市場も少なくありませんが、海外での人気がそれほどでもないハイブリッドカーは、日本国内で流通させようとしたときに、10万キロの距離はあまり好感をもって受け入れられないので、相場的にもかなり控えめなものになってしまいがちです。


ハイブリッドカーと言ってもセッティング次第

トヨタのハイブリッドカーはどちらかというと街乗りの際にストップアンドゴーを繰り返しても燃費が比較的良くなるセッティングになっています。ホンダのハイブリッドの場合には、高速時に燃料を余分に使うのではなくその代わりにモーターでアシストする、といった具合に、モーターの活かし方が違います。それぞれのクルマに合った運転をすることが大切です。そのセッティングに遭わない走り方をすると、エンジンの仕事が前面に出るため、普通にガソリン車のアクセルを強く踏んでいるのと変わらないような燃費になることもあり得るのです。

ハイブリッドカーこそ、丁寧なアクセルワークが大事。モーター走行のままどこまで加速できるか、また減速時もブレーキを踏むと回生してバッテリーに充電できるのですが、あまり強く踏みすぎてもキャパオーバーになります。無駄なく効率的な運転をしようと思うと、ガソリン車以上に「マイルドなペダルワークによる愉しみ」が多いのがハイブリッドカーだと言えるでしょう。

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