F1オーストリアGP、トラックリミット違反でペナルティ多数追加。サインツJr.やハミルトン、角田の順位が変更される

　F1第10戦オーストリアGPはマックス・フェルスタッペン（レッドブル）の優勝で幕を下ろしたが、レース終了後にFIAがペナルティを多数追加で科したことで、リザルトが大きく変更されることになった。

　FIAはオーストリアGP終了後にペナルティを新たに12件通達した。これは、レース中のトラックリミット違反が正しく処理されていなかったという、アストンマーチンの抗議がきっかけだった。

　アストンマーチンはターン9とターン10のトラックリミット違反が正しく処理されておらず、さらにペナルティが科されるべきケースがあるとレース後に抗議。その後FIAは71周の決勝レース中に4輪全てが白線外に逸脱したドライバーの、多数の違反を調査できていなかったことを明らかにした。

　そしてペナルティに反映されていなかった削除されたラップタイムのリストが示され、スチュワードによる検討が進められた。そして以下の基準に基づいて、さらに12件のペナルティが与えられることになった。

・3回の違反に対しては白黒旗を示すべきだった。
・4回の違反には5秒のペナルティが与えられる。
・5回の違反には10秒のペナルティが与えられる。
・“違反が多すぎる”ということから“リセット”が許可され、さらなる4回の違反でさらに5秒のペナルティが与えられることになる。

　これらの基準からの見直した結果、以下のとおり12件のペナルティが新たに科されることになり、リザルトも大きく変更されることになった。

カルロス・サインツJr.（フェラーリ）：10秒
ルイス・ハミルトン（メルセデス）：10秒
ピエール・ガスリー（アルピーヌ）：10秒
アレクサンダー・アルボン（ウイリアムズ）：10秒
エステバン・オコン（アルピーヌ）：5秒
エステバン・オコン（アルピーヌ）：10秒
エステバン・オコン（アルピーヌ）：5秒
エステバン・オコン（アルピーヌ）：10秒
ローガン・サージェント（ウイリアムズ）：10秒
ニック・デ・フリース（アルファタウリ）：10秒
ニック・デ・フリース（アルファタウリ）：5秒
角田裕毅（アルファタウリ）：5秒

　大きな影響を受けたのはカルロス・サインツJr.（フェラーリ）だろう。サインツJr.は4番手でフィニッシュしていたが、10秒ペナルティによって6位に降着。ランド・ノリス（マクラーレン）とフェルナンド・アロンソ（アストンマーチン）が繰り上がった。

　ルイス・ハミルトン（メルセデス）も追加でペナルティを受け、7位から8位に降着している。

　エステバン・オコン（アルピーヌ）は4つのペナルティを追加で受け、合計で30秒加算となり、12位から14位へと降着した。

　それ以外のドライバーではピエール・ガスリー（アルピーヌ）が9位から10位、ウイリアムズのアレクサンダー・アルボン（11位変動なし）、ローガン・サージェント（13位変動なし）、アルファタウリのニック・デ・フリーズ（15→17位）、角田裕毅（18→19位）が追加のペナルティを受けた。

　なおチーム側はレース中のトラックリミット違反の取り締まりが遅れた事に対し不満を感じている様子だ。レース中に白黒旗が示されていれば、ドライバーにその旨を警告し、ペナルティを受けることを未然に防ぐことができたかもしれないからだ。

　またスチュワードは今回の件を受け、「トラックリミットに対する解決策が見つけることを強く推奨する」と付け加えている。