現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 100万ドルの輝き アストン マーティンDB5 メルセデス・ベンツ300SL フェラーリ275GTB 3台を乗り比べ 中編

ここから本文です

100万ドルの輝き アストン マーティンDB5 メルセデス・ベンツ300SL フェラーリ275GTB 3台を乗り比べ 中編

掲載
100万ドルの輝き アストン マーティンDB5 メルセデス・ベンツ300SL フェラーリ275GTB 3台を乗り比べ 中編

慎重に運転する必要性が直感的にわかる

メルセデス・ベンツ300SLには、今回の3台では唯一、アルミニウム製ドラムブレーキが前後に組まれている。サーボで踏力が増強されるものの、速度を充分に熱へ変換するには、足へかなりの力を込める必要がある。

【画像】100万ドルの輝き アストンDB5 メルセデス300SL フェラーリ275 今の相当モデルも 全98枚

サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式だが、リアはスイングアクスル式。リジットアクスルと比較すれば左右の独立性は高められているが、垂直方向の動きに対してトレッドが変化し、タイヤの角度も変わるため接地面が一定しない。

限界領域へ攻め込むと、過度なオーバーステアへ転じやすい。当時の技術者は、コイルスプリングとダンパーの設定を煮詰め、フロントへアンチロールバーを追加することで特性の改善に努めているが。

満タンの燃料と荷物を積み、大人2名で乗れば、リアの落ち着きは増すという。しかし、ザントフォールト・サーキットを1人で周回していると、アクセルペダルを軽く緩めるだけで、リアが流れだそうとするのがわかる。

直感で、300SLは慎重に運転する必要があると理解できる。ステアリングホイールは重く、カウンターステアを即座に当てることも難しい。

そんな足まわりへ反するように、直列6気筒エンジンはお構いなしにパワーを放つ。アリー・ルイエンダイクと呼ばれる最終コーナーを抜け、右足を押し込むと、メインストレートの終わり目掛けて一気呵成に勢いが増す。全開のサウンドも爽快だ。

予測的に運転し、急なステアリング操作や荷重移動を控えれば良い。サーキットでも存分に楽しむことができた。

典型的な英国製グランドツアラー

笑みを浮かべたまま、アストン マーティンDB5へ近づく。典型的な英国製グランドツアラーといえ、非常に美しい。ジェームズ・ボンド氏によるスパイ活動のおかげで、不朽の名車といえる評価を得ている。通常のクラシックカー以上の注目度といっていい。

イタリアのカロッツェリア・トゥーリング社が開発した、小径のパイプで骨格を組むスーパーレッジェーラ構造をボディに採用するが、車重は軽くない。それを補うべく、3基のSUキャブレターが組まれた4.0L直列6気筒は、300SLより2割ほどパワフルだ。

実用性を考慮して3台から選ぶなら、DB5は当然のチョイスといえるだろう。友人や荷物を載せられるリアシートが備わり、スペアタイヤが収まっているものの、大きな荷室もボディ後方にある。

燃料タンクは86Lと大きく、長距離ドライブも安心。給油口が左右にあるから、ガソリンスタンドで停める向きを気にする必要もない。

今回ご登場願ったDB5は1965年式。ドアを開いて運転席へ腰を下ろすと、300SLに負けない特別感で出迎えられる。握り心地の良いウッドリム・ステアリングホイールの奥には、スミス社とルーカス社のメーターが並んだシックなダッシュボードが広がる。

ドアの開口部が大きく、乗り降りはしやすい。車内には沢山の外光が入り明るい。DB4よりフロントノーズがスリムだから、前方の視界にも優れる。狭い道でも、幅が1676mmあるボディを導きやすい。

驚くような変化を味わえるツインカム直6

発進させると、1468kgの車重から想像する以上に軽快。アクセルペダルを、少ない気使いで倒していける。

クラッチペダルは重いものの、ZF社製の5速MTは滑らかに動き、正確に次のギアを選べる。それ以前に採用されていた、デイビット・ブラウン社のユニットから大きな進化といえた。

DB5のシャシーは、今の状況をドライバーへ鮮明に伝える。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン式、リアがリジットアクスル式で、従来的な組み合わせといえるが、すぐに打ち解けあえる。

技術者のタデック・マレック氏が設計を手掛けた、ツインカム・ストレート6も喜び。滑らかで洗練された低回転域から、3000rpmを超えた豪快な力強さまで、驚くような変化を味わえる。フェラーリのV型12気筒ユニットにも負けていない。

ステアリングの正確な反応で、充足感に浸れる。急な入力に対しても過剰には反応しないから、安心感も伴う。サーボアシストされるディスクブレーキが、300SLでは得られない、即時的な制動力を生み出してくれる。

アストン マーティンらしく、DB5は理想的なグランドツアラーといえる。それでいて、300SL以上にサーキットでは快活。より高度な技術を搭載した10年前のドイツ製スポーツカーより、機敏で繊細に感じられた。

少々均整の取れていないスタイリング

一方のフェラーリ275GTBは、筆者の印象としては、今回の3台では視覚的な魅力度が最も低い。イタリアン・カロッツェリアのピニンファリーナ社による傑作の1台と称されるが、250GTOや250GTルッソといったモデルの影響を断ち切れていない。

ボディサイドのラインは、シルエットに対して高すぎるように見える。その影響でルーフは低く、タイヤが小さく感じられてしまう。ラインは美しいのだけれど。

実際、エンツォ・フェラーリ氏も、275GTBはそこまで気に入っていなかったのかもしれない。比較的短命といえた4年で生産を終了している。

後継モデルに当たる365GTB/4は、スタイリングが仕上がると直ぐに量産化へ移されたという。描き出したのは、ピニンファリーナ社に在籍していたレオナルド・フィオラヴァンティ氏。275GTBへ不満を抱いた彼による回答だった。

もっとも、均整が取り切れていないボディだとしても、ザントフォールト・サーキットで佇む姿は印象的。眺めているうちに、しっかり心は奪われていた。

長いドアをそっと開くと、インテリアの雰囲気には300SLやDB5ほどの高揚感がない。全体的に造形はシンプルで、機能性が重視されているのだろう。豪華絢爛な高性能グランドツアラーというより、量産車の豪華版といった様相だ。

ダッシュボードに並ぶ、べグリア社の計器類が実力を静かに物語る。スピードメーターは300km/hまで振られ、レブカウンターのレッドラインは7600rpmに設定されている。

この続きは後編にて。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
ベストカーWeb
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
AUTOSPORT web
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
AUTOSPORT web
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村