フォルクスワーゲン・カルマンギアは、あのビートルの基本コンポーネンツを流用して、美しいボディを架装した2ドア・クーペである。そのネーミングの通り、カロッツェリア・ギアによるデザインを元に、コーチビルダーのカルマンが製造を担当する形で、1955年にデビューした。ビートルと言えば「第二の故郷はアメリカ」というような言い方があるが、このカルマンギアもアメリカとは縁が深いモデルである。当時のギアはクライスラーとのコラボレーションで知られており、数々のショーカーを製作していたのだが、その中に、このカルマンギアとスタイリング的にとても類似したものがあり(1953年のクライスラー・デレガンス)、カルマンギアの形はその発展形あるいは縮小版と考えられるのである。
控え目なディテールが美しい初期モデル
カルマンギアはその手軽さと美しいデザインで親しまれ、1970年代まで生産・販売され続けたのだが、中でも1958年までのモデルが、特に初期モデルとして珍重されている。外観上では、フロントの開口部が小さく、テールレンズも小さく四角いものが装着されているのが特徴で、日本では「角テール」の名称で通じるようだ。インテリアにおいても、後のものよりはすこし小ぶりでシンプルな形状のシートや、縦にヒダ状のモールドの入ったステアリングホイール(これは「バットマン・ハンドル」などと通称されているらしい)といった、固有のディテールが見られる。ここでご覧頂いているのは、この角テールの初期型カルマンギアを1/24スケールのプラモデルで再現したものである。
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グンゼ製キットをベースに各部を改修!
1/24スケールのプラモデルはタミヤとグンゼ(現GSIクレオス)のキットがあり、いずれも中期型(1959~70年、ただしこれは外観上での大まかな分類)を再現しており、そしていずれも現在は少々入手困難である。幸いにもグンゼのキットが入手できたので、作例はこれをベースとした。前述の通り、フロントの小さな開口部や角テールといったディテールに改修したほか、グンゼのキットは丸みが足りない印象なので、そこにも手を加えている。フロントフェンダーは上部にプラ材をガイドとして貼り、その周囲にパテを盛って成形。リアはエンジンフードを一旦切り離し上にずらして再接合、できた段差ををパテで埋めて均している。また、前後ともボディ裾の回り込みが不足しているので削り込んで印象を改めた。
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ボディカラーは当時の純正色”トラウトブルー”を再現。トラウト(マス)の名の通り、青みのあるグレーメタリックだが、作例ではMr.カラーのガンクロームをベースに、ブルーとブラックを加えて調色した。ステアリングホイールは、キットに不要部品として付属しているパーツをベースにプラ材などでディテールを加えて自作している。実車同様このキットはビートルをベースに製品化されているので、ランナーの中にビートル用ステアリングが残っているのである。
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こうした改修と仕上げのテクニックによって、カルマンギアのオリジナル・スタイルとその美しさを、改めて捉え直すことができたのではないだろうか。キットの方もそろそろ再販されれば言うことはないのだが……。
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