元祖オシャレSUV! 走れてオシャレなワガママSUVを振り返る
いまどきのクロスオーバーSUVは、基本的に乗用車ベース。その多くがモノコックボディで横置きエンジンレイアウトのプラットフォームを利用して生み出されている。そんな乗用車ベースでありながら、サスペンションの設定や駆動システム、四輪制御技術によって本格的なクロカン4WD顔負けの性能を発揮していることも珍しくない。
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一方、そうしたクロスオーバーSUVブームの前には、本格的なクロカン4WDのメカニズムを使いつつ、アーバンテイストのオシャレ系RVが生まれていたことがある。今回は、そんなクロスオーバーSUV前夜といえる時期に誕生した、本気なメカニズムを持つモデルを振り返ってみよう。
1)スズキ・エスクード(2代目)
そもそもオシャレ系なアーバンSUVの元祖といえるのがスズキ・エスクード。1988年に生まれた初代モデルはジムニーの兄貴分といったメカニズムで、縦置きの1.6リッターエンジンにパートタイム4WDを組み合わせるといったパワートレインだった。
1997年にフルモデルチェンジした2代目エスクードでは、よりラウンドしたフォルムとなり、いかにもアーバンSUVといった雰囲気を強めたが、ラダーフレームのシャシーに縦置きエンジン、パートタイム4WDというクロカン的メカニズムはしっかり踏襲していた。はっきり言って、中身はハードコアな4WDだったのだ。しかも上級グレードでは2.5リッターV6エンジンを積むなどパワーも十分。マツダ製の2リッターディーゼルを積んだグレードもあり、その関係からプロシードレバンテの名前でマツダからも販売されていた。
アーバンSUVはいつの時代も一定の人気があった
2)ダイハツ・テリオスキッド
軽自動車のクロカン4WDといえばスズキ・ジムニーのイメージが強いが、そのカテゴリーにダイハツがチャレンジしたことがある。それが1998年に生まれたテリオスキッドだ。
5ドアのハッチバックボディだが、その中身はじつに本格的。ビルトインフレーム構造のモノコックボディに3気筒ターボエンジンを縦置きとして、駆動系はセンターデフ付きフルタイム4WD(FR仕様もあった)となっている。特筆すべきは、電子式センターデフロック機構を装備していたことで、その見た目とは裏腹にオフロードコースに持ち込めば、条件次第ではジムニーに勝る走破性を見せることもあった。
また、テリオスキッドの登録車版として1.3リッター4気筒エンジンを積むダイハツ・テリオス、OEMとしてトヨタ・キャミも存在。いずれもセンターデフロック機構を持つフルタイム4WDを用意していたことは共通だ。
3)トヨタ・FJクルーザー
つづいて紹介するのはトヨタFJクルーザー。
日本では2011年から発売された同車は、名前にFJと入っていることが示すようにFJ40型ランドクルーザーのルックスを彷彿とさせるレトロタイプのヘリテージモデルだ。ドアは観音開きとなっているのもレジャーユースを意識させるもので、スタイリッシュなSUVというイメージで受け止められていることも多いが、その中身は本格的なクロカン4WD。
シャシーはラダーフレームであり、4リッターV6エンジンはフロントに縦置きされる。そして、日本仕様は5速ATのパートタイム4WDが基本で、リヤデフロック機構も備えるという本格派だった。
ところで、クロカン4WDはエンジン縦置きが基本というのは、エンジンを縦置きにすると変速機に当てるスペースが横置きより広くなり、トランスミッションの容量を稼ぎやすのに加えて、悪路走破性を上げる副変速機を置くスペースも確保できるため。また、縦置きレイアウトの4WDではフロントデフをエンジン下に置く関係からエンジンの搭載位置が高くなる。
これは結果的にクロカン4WDのパッケージと親和性が高かったゆえに、縦置きレイアウトが本格的なクロカン4WDのお約束となっていったといえる。
なお、マイナーチェンジしたフォレスターや、フルモデルチェンジ直前のレガシィアウトバックといったスバルのSUVはエンジン縦置きではあるが、素性としてはエンジン縦置きのFFをベースとしているため、いわゆるクロカン4WDのエンジン縦置きとはアプローチが異なっている。
それでもスバル独自のシンメトリカルAWDの好バランスはSUVとしての性能につながり、FFベースとは思えないほどの走破性を誇ることでは知られている。
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