使い方や頻度、維持費で必要性は変わる
車中泊ブーム。以前はクルマの中で寝るなんて、奇異な目で見られていましたが、いまや日本全国(特に観光地に近い道の駅やSA・PAの駐車場)では、ごく普通な光景となっています。これらの場所では車中泊を禁止しているところが多いので注意(過去記事【車中泊のマナー違反が増えている! 実際にあったトホホな事例】)が必要です。2009年~2011年に高速道路料金が一律1000円になった時に、愛車で出かけてクルマの中で睡眠を取れば、そこそこ快適な旅行ができてしまうことに気付いてしまったことも要因のひとつ。
増加する車中泊トラブル! 「道の駅」が二極分化する迷惑行為への対策とは
そして日本は、主要諸外国と比べても国土に対する道路の長さはトップクラス。つまり、狭い国土に道路が毛細血管の様に張り巡らされているので、大概のところにはクルマで行けてしまうのです。さらには、第二次アウトドアブームで、老若男女を問わずアウトドアや旅行へ出かけるようになり、キャンピングカーの人気も急上昇。「いつかはキャンピングカー」という人も増えているのです。
実際に、キャンピングカーショーを訪れた方にお聞きしても「キャンピングカー欲しい」という意見が大半。その一方で、意外と多いのが「でもね・・・・・・」と、購入にはつながらない悩みが多いのも事実です。二の足を踏んでしまう理由はなんなのでしょうか? そこで今回は「車中泊のオススメは普通車なのかキャンピングカーなのか?」という点について、幅広い視点から検証してみたいと思います。
普通車のメリット・デメリット
【メリット】1)価格が安い 確かに、総じてキャンピングカーよりも普通車の方が価格的にリーズナブル。でも、輸入車や高級ワンボックスカーの方が、軽キャンなどの安いキャンピングカーよりも遥かに高かったりします。
2)ふだん乗り街乗りにストレスなし ”家“を背負っているキャンピングカーに比べると、普通車の方が街中での取り回しがラクで、高さ制限のある立体駐車場(自走式なら約2m、パレット式は1.55mが一般的)も普通に使えるのでストレスがありません。
3)見た目が普通で目立たない キャンピングカーでドヤ顔する人もいますが、なかには目立つことが苦手、遊び車に乗っていると思われるのが嫌う人も多いです。出かける度に、ご近所の目が気になるという人はデメリットになってしまいます。
【デメリット】1)狭い 普通車のサイズでは、何人乗るか?寝るか?によっても違いますが、大人が車内で数人過ごすにはやはり狭いです。適度なプライベート空間を求める人には、より余裕のあるスペースが必要です。
2)寝心地が悪い シートを倒してフルフラットにすると言っても、ベッドではないので、ある程度の凹凸があり、寝心地があまり宜しくありません。専用のマットを敷いて、なんとか凌ぐしかありません。
3)冷暖房の為にアイドリング? 春夏秋冬、暑かったり寒かったりします。走っている時はエンジンをかけて冷暖房する事が可能ですが、夜間の駐車となれば一晩中、エンジンをかけっぱなしにする事になります。特に積雪の多い地域では一酸化炭素中毒になりかねないのでオススメできません。
キャンピングカーのメリット・デメリット
【メリット】1)広い キャンピングカーといっても様々なクラスがあり、定員や就寝数によっても異なりますが、小部屋の様な作りなので、車内で過ごすにも快適なスペースがあります。車内で調理したり、お湯を沸かしてコーヒータイムなんて余裕もあります。
2)寝心地がいい フルフラットで柔らかベッドが備わるキャンピングカーは快適で、エコノミークラス症候群とは無縁。ダブルベッドやお子様が喜ぶ2段ベッドなどもあり、ある程度の長期旅でも疲れが溜まりにくいのも特徴です。
3)冷暖房完備で快適 大半のキャンピングカーがメインバッテリー以外に、居住区用のサブバッテリーを備えるので、エンジンをかけなくても照明・暖房などの機器が使用可能。消費電力の大きいエアコンもインバーターで昇圧して使えますが、長時間の使用は厳しいかもしれません(電源のある車中泊パークなら安心)。
4)”寝る”以外の装備も充実 渋滞や悪天候でも用が足せる車内トイレ、料理や洗い物ができるシンク、お手軽にチン料理できる電子レンジ、飲み物やお土産の保存ができる冷蔵庫を装備できるのも魅力。鍋パーティやトランプができる対座テーブルも普通車にはないポイントでしょう。
【デメリット】1)価格が高い これもピンキリです。キャンピングカーでも軽バンタイプなら100万円台からあり、程度のよい中古キャンピングカーもあり、一概に高いとは言えません。もちろん1000万円オーバーもザラにあります。キャンピングカーは、スポーツ・観光・コンサートや祭りとキャンプ以外にも使い道があるので、高いと判断するかは利用頻度にもよるでしょう。
2)街乗りにストレスがある 大きなキャンピングカーで近所に買物となると、気軽にとはいかなかったり、高さ制限のある場合は駐車場探しで苦労することがあります。そのため、行きたい場所にも行けない可能性もあり。軽自動車をベースとした”軽キャン”や折り畳み可能なポップアップルーフ、ミニバンベースのバンコンならば、使い勝手は普通車並になると言えるでしょう。
3)存在が目立つ「凄いですね」と言われるのも悪い気分ではありませんが、「中を見せて下さい」「いくらだったんですか?」なども聞かれることがあります。日本では珍しい存在なので仕方ありませんが、少々面倒臭いと感じることがあるかもしれません。
4)メンテンス費用が高い 普通車にはない装備が多く備わる特殊なクルマのため、部品が壊れると以外と高価だったり、パーツの納期がかかってしまうケースが稀にあります。特に中古車を購入する人は、修理費が高額になりそうな装備をしっかりとチェックするといいでしょう。
このように、普通車もキャンピングカーも一長一短、どちらが良いかは、その人のライフスタイルや拘りで変わってきます。ただ、言える事は「でもね」とキャンピングカーを躊躇(ちゅうちょ)していては勿体ないということ。食わず嫌いは止めて、買う前にレンタルして試してみるといいでしょう。
服の試着と同じで、実際に試してみれば、自分に合うかどうかが分かります。それで欲しくなって納得すればいいのです。よく考えて「でもね族」から脱却してはいかがでしょうか。
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