2025年シーズンの開幕が迫っているMotoGP。2月12~13日にはタイで開幕前最後のテストが行なわれたが、その内容を読み解いていく。
まず注目すべきはドゥカティだ。2024年も圧倒的な強さを示した彼らにとっては、両手を上げて喜べるプレシーズンにはなっていない。
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というのも、ドゥカティはテストの結果、新型エンジンを諦めることになり、2024年型を継続使用することを決めたからだ。ドゥカティ上層部は昨年のバイクが“完璧”と言える仕上がりだったと認識しており、ライバルにとってはドゥカティに追いつくための貴重な停滞がもたらされたことになる。
ヤマハはセパンテストでは好調なパフォーマンスを示したものの、ブリーラムテストでは改善具合にクエスチョンマークがつく仕上がりだ。同じく日本メーカーのホンダは昨年からは改善傾向を示している。
アプリリアはプレシーズンの段階は堅実に終えており、新加入のマルコ・ベッツェッキが、ホルヘ・マルティンが負傷欠場する中、マシン開発を主導し順調な適応を見せた。
KTMはテストではまだ未知数なところが大きく、さらに会社本体の経営危機に対する対応が2月末にも定まってくるという状況のため、まずは会社が安定した状態となることも必要になるだろう。
■ベストマルケスの帰還
今シーズン注目のトピックスのひとつが、ドゥカティファクトリーチームでのマルク・マルケスの走りだ。
彼は今年やる気マックスの状態でシーズンをスタートさせると確信されていたが、セパンテスト、ブリーラムテストの両方で速さを示してきた。
特にブリーラムテストでは、2日間どちらともトップタイムを記録……レコードよりもわずか0.1秒しか差の無いタイムだった。さらに23周のフルレースシミュレーションも行なっており、そこで記録されたアベレージも驚異的な速さであり、2025年タイトル争い大本命であることを感じさせた。
なおチームメイトでタイトル奪還を目指すフランチェスコ・バニャイヤは、メカニカルトラブルに見舞われたことなどもあり、そのポテンシャルをテストでは真に示すことはなかった。そうした中、マルケスはバニャイヤが開幕戦優勝候補だと指摘している。
「僕は先週のマレーシアでのテスト後の方が、ここよりも落ち着いていたよ」
「僕はここでの優勝候補じゃない。ペッコ(バニャイヤの愛称)がそうなんだ。僕は2番手だ」
■ベッツェッキ、良い仕事ぶりでアプリリア安堵
アプリリアは昨年のMotoGP王者ホルヘ・マルティンが加入したことで注目を集めたが、セパンテスト初日にそのマルティンが負傷してしまうという、最悪のスタートを切った。
しかし『どんな困難なときでも、良い面はある』ということわざの通りで、チームメイトとなるマルコ・ベッツェッキが、光る働きぶりを見せた。
マルティン不在の中、ベッツェッキはファクトリーチームでのマシン開発経験も無かった状況でも、その責任をしっかりと果たした。
ベッツェッキの成熟度やその決意とスピード(特にブリーラムではトップから0.2秒ほどしか遅れていなかった)は、アプリリアの2025年型RS-GPが、昨年よりも全ての面で改善していることを明らかに示していた。
そしてベッツェッキ自身も、3勝を挙げた2023年のように、ライダーとして良い状態にあると考えられるだろう。彼自身、ここまでのプレシーズンの進捗には、満足している様子だった。
「まだ全てをコントロール下に置けているわけではないけど、適応具合やこれまでの取り組み方には満足している。このバイク、そしてエンジンにはとても満足だ」
■ホンダ、ヤマハに挑めるか
ホンダはブリーラムテストを経て、改善具合に顔を綻ばせている。ファクトリーチームのジョアン・ミルはここ何年も見たことの無かった笑顔でセパンを去っていたが、ブリーラムでのテストでは更に状況が好転した。
依然としてトップスピード不足が弱点として残っているが、バイクがそれ以上のパフォーマンス改善を見せている。
ミルはファステストラップこそトップのマルケスから約0.9秒差だったが、レースシミュレーションではヤマハのファビオ・クアルタラロと同等の位置にあった。
こうしたテストで見せた改善が、開幕戦タイGPで実際に示されれば、ホンダにとってはまさに目覚ましい進歩となるだろう。ミルは「僕がこれまで乗った中で最高のホンダだ」と語っている。
■ヤマハ、目標のトップ5現実的?
ホンダと同じく優遇措置を受けて改善を目指しているヤマハは、セパンテスト終了後よりは楽観的な見方は減ったと言える。
彼らはプラマックを陣営に加え変化を遂げようとしていて、セパンでは明らかに好調な走りを見せた。しかし路面のグリップが低いコースなど、より不利な状況で同じようなスピードを発揮できるまでは、改善具合をしっかりとチェックしていく必要がある。
それがタイ・ブリーラムではよく現れていた。トップ5という今年のヤマハの目標は、夢物語ではないと言えるだろうが、開幕戦タイGPではまだそういった結果は望めないだろう。
今ヤマハに足りていないのは、1周アタックでのペースだ。スプリントのシミュレーションではクアルタラロがトップ5に近いペースを見せていただけに、予選ペースの改善は優先事項となってくるはずだ。
なおクアルタラロはテスト後に、こう語っている。
「僕達は少し前進することができているけど、このテストでは特にフロントエンドのフィーリングが悪かったことで、少し複雑なモノになってしまった」
「(タイヤの)ふたつのコンパウンドではどちらも良い感触が得られなかった。これは今までに経験したことのないものだよ」
■混乱KTM、レースではどうなる
2024年終盤に経営危機が明らかになったKTM。2月末には同社の再編へ向けた債権者の話し合いが行なわれる予定で、現在はその沙汰が下りるのを待っている状況だ。
レース部門はこの件について特に問題は起こっていないように振る舞っているが、メディアに対しての露出も抑えている。
一方でコース上での走りも、決して順風満帆ではない。ペドロ・アコスタはかなりアップダウンのあるテストを過ごしていて、1周アタックではトップから0.2秒差の4番手という位置につけたものの、ロングランではタイヤのパフォーマンスに左右されてしまった。
またチームメイトであるビンダーこそアコスタに迫ろうとしていたものの、移籍組のマーベリック・ビニャーレスとエネア・バスティアニーニ(共にテック3)は、まだマシンと格闘している状況で、適応にはまだ時間が必要だろう。
テスト後、アコスタはタイヤによって変わる調子について“宝くじ”と表現している。
「なぜ、あるタイヤでは上手くいって他のタイヤでは上手く行かないのか、それを理解するのが難しい。宝くじのようなものだよ」
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