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【両角岳彦の自動車再評論】フォルクスワーゲンID.7を皮切りに導入「マッサージシート」の揉まれ心地

掲載 更新 1
【両角岳彦の自動車再評論】フォルクスワーゲンID.7を皮切りに導入「マッサージシート」の揉まれ心地

 クルマで走り続けると、何時間か、およそ同じ姿勢で座っている……と考えがちだが、じつは道を走るクルマのキャビンはつねに揺れ続けているので「静止空間のなかで座っている」のとは基本的に異なる。

 つまり、揺れ動きに対して身体を保持するために全身の、とくに腰・太もも、脊柱まわりの筋肉を細かく使い続けているわけで、その状況での「心地よい座り方」についても、単なる姿勢保持とは異なる発想が必要。

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 ちなみに最近の私は、東京から九州まで一気に走るのも(短い休憩を挟みつつ12時間を超える)、苦にはならなくなっている。なぜか。簡単に言うと、骨格・関節とそれを支える筋肉系を“意識”するようになったから。日常から競技運転まで、「ドライビング・ポジション」の基本はここに尽きるのだけれど、長くなるのでこの件、また改めて。

 で、今回のテーマは「マッサージ機能を組み込んだシート」。同じ姿勢で座り続けている“だけ”だとどうしても筋肉が固まる。それをほぐしたほうがいいのでは、とは誰しも考える(が、そう簡単ではないのです)。これまでもいくつかの「マッサージ機能」が試みられてきた。例えばバイブレーターであったり、ランバーサポート(と称しつつじつはランバー=腰椎支持になっていないものが大多数)のブラダー、つまり空気袋を膨らませて押すものだったり。でもそれでは筋肉の緊張をほぐすマッサージにはならない。


●左右2列の「揉み玉」が交互に押し出してくる

 そこに現れたのがフォルクスワーゲンの「エルゴアクティブシート」。欧州市場では1年ほど前からID.7を皮切りに導入されているが、日本へは昨年終わり頃からティグアン、パサートのオプション装備として体験可能になった。

 助手席シートの構造と機能を運転席に対してグレードダウンするのが“定石”になってしまっている日本車と違って、運転席・助手席ともに同じ機能を組み込んだシートが装着される。

 センターディスプレイのファンクション設定の中にこのマッサージ機能を見つけて、動かしてみてちょっと驚いた。シートバックだけだが左右2列・上下5個ずつの「揉み玉」が交互に押し出してくる感触なのだ。もちろんメカニカルな往復機構を組み込むのは難しい場所なので、空圧で膨らます機構なのは、作動音がほとんどしないことからも明らかだが、押す・抜ける、の反応が速く、しかも膨らみが適度に小さな球状の感触で押し切る瞬間はかなり硬い。そこからスッと抜ける。ほぼ揉み玉の感触なのだ。


●背中と腰回りのリフレッシュ効果を実感

 この10点の押し出し方の組み合わせが何パターンか、そしてその強さ、継続時間も設定できるのだが、左右が同時に押し出してくるパターンだと、それを受ける身体の側も構えて押し返そうとしてしまい、また腰まわりの部位ではシートに自然体で密着させておきたい骨盤が前にズレる。いろいろ試してみた結果、作り手側の設定としては「活性化」となっている、背中を主に腰まわりにかけて、左右交互の動きを主にリズミカルな押し・抜きが動くパターンが、骨盤から腰椎を支える左右の背筋をほぐす効果がありそう。

 一応、使用前後で筋硬度を測ってみた結果でも、多少の違いが認められた。何時間か走り続ける中で、背中や腰まわりの筋肉が固まってきたかな、と感じた時に、このパターンを、あまり強度を上げずに15分間ぐらい使ってみると、筋肉が少し緩み、血流も少し良くなる感覚で、それリフレッシュ効果につながるのが体験できた。

 この「エルゴアクティブシート」、まず全体の造形と身体支持点の仕込み方が基本どおりで、大切な骨盤支持とそこからの仙骨の収まり、脊柱の支持がちゃんと作り込まれていて、さらに肩関節の後面下部で上体の横方向のサポートが出る造形になっている。そのシート本来の造形と面が身体を受け止め変形する機能を損なうことなく、このマッサージ用の小型エアバッグ列と加圧機構を組み込んである。マッサージチェアなどの健康機器は日本が得意とするところのはずなのだが、この小型でレスポンスの良い小型のエアバッグを組み込むアイデアで先を越された。

 とはいえその「揉み」「叩き」のリズム、力の変化はメカニカルなマッサージ機器の「円カム」回転で作るサイクリックな(サイン波)振動パターンそのまま。人間の腕利きマッサージ師の方々は一定周期で単調に押し・抜く動きはしない。そこでどんな「振動形態」を作ると「良い感じ」になるのか、については、走るクルマのキャビンの中に座った身体が受ける振動として、どんなパターンが良いのか、という某大学研究室との共同研究の中でいろいろ見えてきたことがあります。

[オートスポーツweb 2025年07月10日]

文:AUTOSPORT web
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みんなのコメント

1件
  • fxnhe501
    オペルの新型グランドランドもマッサージ機能付きシートを売りにしている。日本に導入されるプジョーやシトロエンの新型車にも採用されているかもしれない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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