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全車電動化!ルノー新型キャプチャーは見た目とパワートレインを刷新

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全車電動化!ルノー新型キャプチャーは見た目とパワートレインを刷新

個性が異なる2タイプのハイブリッドユニットを設定

2025年6月にマイナーチェンジを受けて登場した新型ルノー「キャプチャー」の最大の特徴は、洗練されたフェイスリフトです。しかし見た目の変化だけでなく、パワートレインが全てハイブリッド化されるなど、走りの質も大幅に向上しています。今回はフルハイブリッドとマイルドハイブリッドの両タイプをじっくり試乗し、それぞれの魅力を探りました。

人生最後の愛車ルノー「カングー2」に施した創意工夫

フェイスリフトで大人のクールさを獲得

新型キャプチャーの一番のハイライトはフェイスリフトである。従来型はおなじみのロサンジュ(菱形のルノーのロゴマーク)とそれを左右から囲むコの字型(Cシェイプともいう)のランプを特徴にした、いわば個性主張型だった。が、今回のフェイスリフトでは表情がガラリと一変し、グッとクールな方向に変わった。

さらにエンジンフードも新しく、サイドビューで従来モデルが前に向かってなだらかに下降していくシルエットだったのに対し、前方までより高くフラットになった(運転席からフードの隅まで見渡せるように)。そのことと相まって

「おや、1クラス上のクルマになった!?」

と思わせる佇まいとなっている。

それにしてもフロントまわり以外はスタイルをほぼ踏襲しつつ、新しいマスクがまったく違和感なく溶け込んでいる点は、実車を見て感心したポイントだ。なおリアまわりではコンビネーションランプの輪郭は変わらず、内部の意匠のみ変更された。よく見ると、アンダープロテクターから見えていた排気管が新型では出口が下向きとなり、しゃがんで覗き込まない限り通常の立ち位置からの目線では見えなくなっている。

プジョーのニオイが漂うのはデザイン責任者の経歴

そういえば今回の“新しいルノー顔”は日本では今回のキャプチャーが初採用だが、本国では共通のデザインテーマの車種がすでに存在する(SYMBIOZ、EVのSENIC E-TECH ELECTRICなど)。これらのデザイン責任者だったのがジル・ヴィダル氏で、じつは2020年に直前のPSAからルノーに移籍した経歴を持つ。なので今回のマイナーチェンジ版キャプチャーの顔の“作風”が、どことなく近年のプジョーのニオイを感じさせるのもそのためだ。ただし、7月の情報で同氏が5年間籍を置いたルノーを離れ、ステランティスに移籍(復帰!?)することが発表されている。

スポーティでエレガントな装備満載の「エスプリ アルピーヌ」

新型キャプチャーに話を戻すと、アルカナに続き新グレードの“エスプリ アルピーヌ”が設定された点もトピックだ。取材の場で

「“ローレルスピリット”を思い出しますね」

と発言し、一瞬その場にいた関係者を固まらせてしまったことは深く反省しているが、アルピーヌの名を冠したこの新グレードは、専用の19インチアルミホイール&タイヤが装着されるほか、インテリアも専用仕様となる。アルピーヌのロゴ入りシート表皮、トリコロールのオーナメントやサイドパイピング、シートベルトのブルーのトップステッチなどの“演出”が施される。

アルミペダルやドアシルに装着されたALPINEのロゴ入りキッキングプレート、ソフトな素材で裏打ちされたファブリック地のインパネ表皮も見逃せない。インテリアのひとつひとつのアイテムが決して主張し過ぎず、ルノーらしいスポーティさと上質かつエレガントなセンスが味わえるのが、エスプリ アルピーヌの魅力である。

マイルドHVとフルHVの2タイプをラインアップ

ちなみに今回のマイナーチェンジを機に、設定されるパワートレインはすべてハイブリッドとなった。2タイプの用意があり、フルハイブリッドE-TECHは自然吸気の4気筒1.6Lエンジン(69kW/148N・m)+モーター(メイン=36kW/205N・m、サブ=15kW/50N・m)に電子制御ドッグクラッチ・マルチモードATを組み合わせている。もう1タイプのマイルドハイブリッド(下の写真)は、1.3Lターボ(116kW/270N・m)+補助モーター(3.6kW/19.2N・m)という布陣だ。

では実際の走りはどうか。試乗はフルハイブリッドとマイルドハイブリッドの両車に乗ることができた。しかも今回は6月の発表時点で山中湖周辺で開催されたプレス向け試乗会(=(1))に加え、8月には1台につき1泊2日で個別借り出し(=(2))も経験している。日時と場所を変えた2度の試乗が叶い、しかも2台とも最初の試乗と同一個体を再度試せた。

キレのあるパワー感のフルハイブリッドと軽快さが際立つマイルドハイブリッド

するとこれらの試乗機会を通して見えてきたのは、「フルハイブリッドもマイルドハイブリッドも、それぞれに良さがある」ということだ。とくに感心したのは、フルハイブリッドが十二分な動力性能を発揮しながら、洗練されたドライブフィールを味わわせてくれる点である。

個別の試乗は首都圏近郊、筆者の生活圏で試したが、高速走行の安定感、静粛性だけでなく、街中のストップ&ゴーの多い場面でも、以前よりも“メカ感”の少ないスムースで自然、時にはキレ味のあるパワーフィールを発揮した。車重はマイルドハイブリッドより約+90kgだが、このことを味方につけて乗り味もしっとりしている。

プレス向け試乗会のときより試乗車の走行距離が延びたことで、全体的に程よい“なじみ具合”がクルマの動きをしなやかにしており、日常使いでの心地よさも確認できた。エンジンとモーターの使い分けも、まったく意識させない自然さが秀逸だ。

一方のマイルドハイブリッドも、山中湖周辺のワインディングで自然で気持ちいい身のこなしを確認済みだったが、“軽快”と言われる持ち味が日常でも十分に発揮されていることを改めて確認できた。とくにターボとモーターアシストによる俊敏な加速は街中での運転を快適にし、ステアリング操作に対して素直な身のこなしでストレスがない点が良い。

ワンコも納得する乗り心地

試乗車は2台とも“エスプリ アルピーヌ”で、タイヤは19インチだった。低速ではタイヤのサイズと質量を感じる場面も一瞬あったが、ボディ剛性がしっかり確保されているため不快感はない。なので我が家の乗り心地・NVH評価担当の柴犬シュンも「いいんじゃない」と評価していた。シュンには試乗中、助手席を最後端、後席は16cmスライドを最前端に寄せた状態でできた“おあつらい向き”の空間を乗車位置としていた。

トランクスペースについては、2段の床のさらに下の空間(パンクリペアキットが収まる周囲にスペアタイヤ分の空間がある)が活用できるマイルドハイブリッドのほうが何かと便利かもしれない。

文:Auto Messe Web 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
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