3月8日、全日本スーパーフォーミュラ選手権は三重県の鈴鹿サーキットで2025年の開幕戦を終えた。セーフティカーが3度出場する荒れた展開となったレースでは太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が勝利を挙げたが、その後方では数々の接触やコースアウト、トラブルが起きていた。
レース後に全ドライバーが参加して行われる“メディアミックスゾーン”でのコメントから、第1戦で発生した“事件”の数々に、2回に分けて迫る。
■イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING):レコノサンスラップでコースオフ
ルーキー勢では小出峻(San-Ei Gen with B-Max)に次ぐ速さを予選で見せ、8番グリッドからレースをスタートさせる予定だったイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)。しかし、レコノサンスラップの途中、NISSINブレーキヘアピンでコースアウトしバリアにヒットしてしまう。
「GTレースではタイヤ交換の経験がありますが、フォーミュラのレースで決勝中にタイヤを交換するのはこれが初めて。だから、レースでのピット作業後のアウトラップではどんなフィーリングになるのだろう、という練習のような感じでトライしていました」とフラガは振り返る。
「フルにプッシュしていたわけではく、どこにグリップがあるのか感じようとしながら走っていたのですが、(ヘアピン進入で)ブレーキをかけた瞬間にタイヤがロックアップし、直進してしまいました。(バリアに当たるまでに)マシンを止められませんでした」
マシンはその後オフィシャルの手によりピットへ戻され、フラガはピットレーンスタートからレースに加わると、1周おくれの18位でほろ苦いデビュー戦を終えた。
■野尻智紀(TEAM MUGEN):スタート失敗で首位失う
最多記録に並ぶ20回目の国内トップフォーミュラでのポールポジションを獲得した野尻。決勝でも先頭で優位にレースを進めるかと思いきや、スタートで出遅れ、チームメイトである岩佐歩夢の後塵を拝する展開となった。
じつはフォーメーションラップ直後、昨年までとは異なる事態が生じていたという。
「まずはプロシージャー(手順)に、改善すべきところがあったかなと思います。これまでは『全車がグリッドについた』とか『グリーンフラッグ』というインフォメーションを(無線で)入れてもらっていたのですが、今日に関してはそれが遅れてしまい、赤(シグナル)が点いている段階で、自分の準備ができていなかった。それでリアクションが遅れてしまったところはあったかな、と。ただ、そのなかでも加速自体はそんなに悪くなかったかなと思います」
野尻陣営では今季、エンジニアリング体制の変更もあったが、「もうちょっとそのあたりもチームとしっかり話をして、今年に向けていろいろと環境が変わったなかでも、避けられるミスはどんどん避けられるチームを作っていかなければならないと思います」と野尻は冷静に課題を分析していた。
これにより岩佐の先行を許したことで、10周目の全車同時ピットではチームメイトの作業を待つ形となり、大きく後退。
「長くレースやっていると、こういう日もやっぱりあります。ダブルピットに関しては、今回は本当に(車間距離がほとんどない)ビタビタな状況で入ってきて、メカさん的には課題もあるようなのですが、大きく何十秒もロスすることなく送り出してくれたので、個人的にそこはすごく感謝ですね」
ピット後にはオーバーテイクも見せ、“ダメージ・リミテーション”とも言える7位でフィニッシュを果たしている。
■三宅淳詞(ThreeBond Racing):1周目のNIPPOコーナーでコースオフ
「身体は全然大丈夫です」とミックスゾーンに姿を現した三宅。1周目のNIPPOコーナー立ち上がりでアウト側にコースオフし、リヤからクラッシュしたときの状況を振り返る。
「スタートはまわりとトントンくらいだったのですが、1周目の場所取りも良くて結構追い上げていける感覚でした。NIPPOコーナーでは僕の蹴り出しがいいというか、ボトム(スピード)が高くて、(前のクルマを)抜けるとは思っていなかったですが、プレッシャーはかけられるなと思って外側に行ったときに、ちょっと脱輪してしまって。相手(前のクルマ)が悪いとかでは、全然ないです。むしろスペースは空いていたので」
1周目のNIPPOコーナーまでで速さを見せられた要因のひとつとして、16番手というスタートポジションの“悪さ”を三宅は挙げた。フォーメーションラップで温めたタイヤをグリッド上で冷やさずに、レッドシグナル消灯を迎えられた、ということである。
なお、予選では大きなセット変更を施したことが裏目に出ていたという。「大幅に変えてみたところ、思っていたよりも『こんなに変わってしまうんだ』みたいな感覚になってしまい、ドライバーとしてもちょっと正直変わりすぎてうまく合わせ込めませんでした。ちょっと曲がりにくい方向でしたね」と三宅。
そのコメントからは、今季加入した元TEAM MUGENの一瀬俊浩エンジニアとの共同作業が発展途上であることも窺える。まずは第2戦の予選で結果を残し、チームが目指す“Q2の常連”に近づきたいところだろう。
■小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC):バトル中にS字で大湯と接触
新チーム、KDDI TGMGP TGR-DCに加入した初戦、小高は僅差でQ2への進出を逃した。決勝は14番手スタートとなったが、11番手までポジションを上げ、前を走る大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)とオーバーテイクシステム(OT)を使いながらの抜きつ・抜かれつのバトルを展開。小高はターン1のアウト側から並びかけ、そのまま併走状態でS字へ向かうも、右のターン4でスピン状態に陥りフロントを大湯のマシンにヒット、2台ともにリタイアとなった。
「あの場面、『負けたくない』という気持ちが強く出過ぎてしまって……実際、S字ひとつ目の時点で『無理かな』と思ったので引いたのですが、S字ふたつ目のアウト側の路面がかなり汚い状態になっていてグリップせず、滑ってしまいました」と意気消沈の小高は振り返る。
「コントロールを失ってしまい、そのままスピンするという最悪なシチュエーションで、大湯選手も巻き込んでしまいました。完全に自分のミスかなと思います」
テストから予選までの流れとしては入賞は難しいと感じていた小高だが、第1戦のレースでは好スタートを決めたことで欲が生じてしまったという。
「ポイント(獲得)が見えるというところで、自分がちょっと熱くなってしまった。一瞬欲が出てしまいました。あれが最終ラップだったら話は変わってきますが、まだ半分以上レースが残っている状態だったので、もう少し全体を見てレースできるようにしなければならないなと思いました」と反省しきりだった。
■大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING):小高との接触でリタイア
その小高からのヒットを受けてリタイアとなった大湯だが、意外や穏やかな表情でミックスゾーンに現れ、「あそこまで前にいかれちゃったら、一斗はもう諦めなきゃいけないとこだったと思うんですけど」とフラットなテンションで接触について振り返った。
「とはいえそこまでは非常にクリーンでギリギリなバトルで、そこはやっぱり一斗は上手だったなと。そこへのリスペクトはあるので……結果は残念なのですが、良いバトルだったなとは思います」
S字のふたつ目で小高がスピン状態に陥った瞬間は目視してはいなかったが、ヒットされた瞬間、「何か予期していない動きを一斗がしちゃったんだろうな」と大湯は事態を想像できていたという。
「決勝のクルマはボチボチでしたね。(チームメイトの阪口)晴南より気持ち速いかな、くらいの感覚だったので、ちょっと晴南に詰まりつつ、ダウンフォース抜けている間に先に一斗がOT使って抜いてきて、僕も抜き返して、またOT使えなくなったタイミングで仕掛けてきて……というところでの接触でしたね」
大湯としては決勝よりも予選でのショートランに課題を感じているようで、この日は「なんでQ2に行けたんだろう」と感じるレベルだったという。とくに高速コーナーが課題とのことで、第2戦での復活に向けた、大湯車のひとつのキーポイントとなりそうだ。
[オートスポーツweb 2025年03月08日]
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