現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「六本木のカローラ」「小ベンツ」がすっかり死語となった令和3年末に思うこと

ここから本文です

「六本木のカローラ」「小ベンツ」がすっかり死語となった令和3年末に思うこと

掲載 75
「六本木のカローラ」「小ベンツ」がすっかり死語となった令和3年末に思うこと

今から30年以上昔のあのバブルの頃のクルマ事情を振り返ってみた。

平成最後の桜を愛でながら、古いクルマのオーナーの1人として感じたこと

言わずもがな、その頃から変わったことがたくさんある。例えば最近高くなったガソリンも、同時はレギュラーであれば1リッターあたり100円以下、軽油にいたっては70円前後、出始めだったハイオクでも110円しなかったように思う。



今と比べると随分安かった。それだけは確かだ。



そして、自動車に関連する法律も税制も大きく変わった。ドアミラー、ハイマウントストップランプが正式に認可されたり、1年車検がなくなったり、逆に車齢によって重課税されるようにもなった。



それにしても、あの頃、お年寄りによる踏み間違いの事故って聞いたことない気がするのだが、最近急に増えたのはなぜなんだろう?などと思うが、今回そのことには敢えて触れないでおく。



そう、こうして振り返ってみると変わったものはたくさんあったが、変わっていないこともあると思う。



男の子たちの「カッコいいクルマに乗りたい」「(女の子に)モテたい」という気持ちは、若干の強弱の違いはあるにしても、脈々と流れる「偽らざる本心なんでないか」と思う。



筆者をはじめ、クルマは好きだったが貧乏で、バブルの波に乗りきれず・・・。当時憧れの存在だった輸入車には乗れなかったが、モテたい一心でいろいろなことをしていた気がする。令和3年のカレンダーが残り1枚になろうとしているタイミングで、そんなことを思い出してみた。



■ナンパに行くときはできだけ大きなクルマで行く

バブルの頃に輸入車がもてていたのは都会だけで、田舎は「バブルだから」という理由だけで輸入車や(当時の)3ナンバー車が急に増えたという印象はない。



とはいえ、ナンパに行くときは国産の5ナンバー車でも、できるだけ大きなサイズのクルマを持っている友人のクルマで行ったように思う。例えばマークIIやチェイサー、ローレルやセドリック・グロリアといったクルマを選んだものだ。友人本人のクルマではなく、お父さんのクルマだったこともあった。



しかし、当時の女の子たちはクルマのサイズでナンパOKかNGかを判定していた様子はなかったような気がする。



ナンパしている本人のスペック(問題?)をいったん除外すると、多分、女の子たちはまずナンバーでふるいにかけていたように思う。



当時は湘南ナンバーがなかったので、やはり品川・横浜あたりのナンバーは戦果良好で、大宮・習志野などのナンバーでは、よほど条件が揃わないとナンパは成功しなかった。



しかし、大きなクルマで行く意味は別のところで発揮された。海の近くでナンパをしていると、地元のヤンチャな人に叱責されるケースがあった。



「君たち、私たちの居住エリア内で風紀を乱すような行動は謹んでいただけませんか?」をそれぞれの土地の方言で比較的大きな声で注意されるのだ(諸般の事情により原文の掲載を控えています)。



そういえば、極端に車高が下げられていたり、派手なスポイラーが装着されたクルマから叫ばれるケースが多かった気がする。しかし、大きなクルマの場合には、その手の注意を受ける確率がかなり下がることを経験的に学んでいたように思う。これは今の時代も変わらない気がする。



リアガラスに「ドライブレコーダー作動中」のステッカーを貼るよりも、2世代前あたりのメルセデス・ベンツSクラスに乗っていた方が「魔除け(煽り対策)」としてよほど効果的、という認識はあながち間違っていない気がする。



■パワーウインドウがトレンディ?

今となってはサイドウインドウがモーターで上下するのが当たり前だし、若い人はウインドレギュレーターのハンドルの使い方がわからない人もいるらしい。ダイヤル式の黒電話の使い方がわからないことと同じことなのかもしれない(ちょっと違うか・笑)。



バブルの頃、特に輸入車の豪華装備のなかでもパワーウインドウはダントツに羨ましいものだった。



当時は国産車向けのアフターパーツでレギュレーターハンドルのところにモーターボックスを後付してパワーウインドウへ改造するものもあったが、貧乏な我々にはそれすらも高嶺の花だった。



そこで、肩を動かさずにハンドルを回す練習をした。大真面目に、だ。今で言えば、エスカレーターを降りていくパントマイムのようなもので、瞬間芸かと思われるかもしれないが、割と本気で自然な笑顔でスイッチをカチっと押すかのようにハンドルを回すようになれば、モテるかもしれないと本気で考えていたものだ。



しかし、当時のハンドルはどのクルマも重く、なんなら両手を使わないとハンドルが回らないクルマも多かった。その練習はそうそうに諦め、最初からウインドウは開けておく作戦へと切り替わっていったわけだ。



時代が一周したのか、いまでは手動のウィンドウが「当時モノっぽくてスパルタンでカッコいい」と思う若い世代のクルマ好きもいると聞く。カッコいいかどうかはさておき、古いクルマであればあるほど、故障要因となる装備が減るのはいいことだ(笑)。



■せめて、タバコだけでも輸入モノ

輸入車を愛車にすることは果てしなく遠い道のりだと思っていたあの頃、せめて小道具としてのタバコだけでも輸入モノにしていた人も多かったと思う。



今ではタバコの健康被害に配慮して、国内外のタバコメーカーがモータースポーツのスポンサーになることはなくなってしまったが、当時の四輪・二輪のレースではタバコメーカーがたくさんスポンサードしていたことを記憶している人も多いと思う。クルマ好きな人たちは、応援するクルマをスポンサードしていたブランドのタバコを選んで吸ったりしていたものだ。



当時、国産タバコは一箱200円前後だったはずだが、輸入タバコはそれよりも50円から100円は高かったように思う。マールボロ、ラーク、ラッキーストライク、キャメル、ロスマンズ、555という名前を聞くと、そのロゴとともにそのロゴが大きくボディに貼られたクルマを思い出すに違いない。



クルマで言えばF1やパリダカ(ラリー)、バイクでいえば鈴鹿8耐などを駆け抜けていたクルマやバイクのボディには、タバコブランドのロゴが光っていた時代だった。国産タバコよりもちょっと高い輸入タバコを吸って、ちょっとだけそんなクルマやバイクを応援した気になっていたものだ。



当然、国産タバコよりもかっこいいと思ってたし、カッコつけるにはちょうどいいアイテムだった。ちょっと脱線すると、海外タバコに詳しくなかった筆者は黒いボディにゴールドのアクセントが入ったロータスに描かれていたJPSがタバコのブランドということを後から知ったなんてこともあった。



そのスポンサーがタバコメーカーかどうかというよりも、なによりその頃のクルマやバイクに貼られていたロゴマークはそれぞれがカッコいいものだった。



そして、ところかまわずモクモクとそんな輸入タバコを吸っていた人たちも、なぜか自分のクルマの中だけは禁煙にしていたし、潔癖症が進むと土足厳禁というルールを課していたというなんともアンバランスなことになっていた人も多かったように思う。



■「六本木のカローラ」「小ベンツ」がすっかり死語となった令和3年末に思うこと

「バブル当時に現役だったBMW3シリーズ(E30型)や、メルセデス・ベンツ190シリーズ(W201型)は、それぞれ「六本木のカローラ」、「小ベンツ」などと揶揄されたものだ。



ただそれは、BMWもメルセデスも「高級車」というある意味「レッテル」を貼られてのことだ。



おじさんのアイドル・森高千里さんの「私がおばさんになっても」の中では、当時オープンカーでブイブイいわせていた彼氏もおじさんになったらお腹が出るものと決められていた。



これもおじさんはお腹が出ているものという「レッテル」というか、当時の常識だったのかもしれない。



しかし令和の今、BMWもメルセデスもトヨタやニッサンと比較してもべらぼうに高いわけではないし、無駄にコスパが悪いわけでもない。



そういう意味では、令和の時代は「XXXはこういうもの」という既成概念的なステレオタイプな決めつけはもう、通用しない時代になったと強く感じている。



森高千里姫に今でも胸踊らせるおっさんたちは、そんなにお腹が出てない可能性もある(笑)。



バブルの時代は、何だかものすごく決めつけの時代ではないかと思い返すことが多かったように思う。



あれから30年経った今、そういう決めつけに縛られる必要もなくなったように感じていて、拡大解釈かもしれないけれども、お金持ちではない、普通の人もBMWやメルセデスを自分で買うクルマの選択肢に入れるようになったんではないかもしれない、と思ったりもしたことも事実だ。



「六本木のカローラ」「小ベンツ」がすっかり死語となった令和3年末に思うこと。



今から思い返してみると、なんとも漫画のようなというか、笑い話なようなアンバランスなことを、一生懸命やっていたように思う。



当時のおじさんたちは若者たちがやっていたおかしな行動を咎めるでもなく、バカにするでもなく、時にはサポートしてくたりもしていた気がする。ありがたかったなあ。



筆者自身がおじさんになった今、イマドキの若者たちが今回書いたようなバカなことなどするはずがないことを知ってはいる。



若い人にはもう少しバカバカしいと思うようなことにエネルギーを使ってみて、いい思い出を作って欲しいと思うところから老害が始まっていることも理解しているので、今回はこのあたりで止めておくことにする。



それにしても、あの頃、貧乏だったけど楽しかったなあ(しみじみ)。



[ライター・ryoshr/画像・Mercedes-Benz、BMW、AdobeStock]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
【旧車高騰の背景を見たり?】足を運んだファンは過去最大の1万2500人! 全米最大のJDMイベント
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
アルピーヌ、東京オートサロン2025に『A110 Rチュリニ』など出展へ。山野哲也のトークショーも実施
AUTOSPORT web
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
12月1日は岡山国際でドラテク磨き! 初心者向け「カルガモクラス」もある「TOYO TIRES PROXES DRIVING PLEASURE」は要チェックです
Auto Messe Web
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
F1第22戦水曜会見:レースディレクター交代は「知らなかった」と驚くラッセル。一方で対話を続ける意思も明かす
AUTOSPORT web
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
大人気の輸入車コンパクトSUVが進化! VW改良新型「Tクロス」はどう変わった? 乗って思った「これでいいんだよ」感とは
VAGUE
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
いすゞ新型「FRマシン」発表! 斬新「スポーティ顔」採用&四駆設定あり! “新開発エンジン”と8速AT搭載の「D-MAX」「MU-X」タイで発売!
くるまのニュース
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
WEB CARTOP
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
いよいよラリージャパン最終日。勝田貴元の“全開プッシュ”は見られるか?「難しい1年を支えてくれたチームのために仕事をしたい」
motorsport.com 日本版
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
伝説のジャガーXJSが現代に蘇る、660馬力V12スーパーチャージャー搭載『スーパーキャット』誕生
レスポンス
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
motorsport.com 日本版
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
AUTOSPORT web
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
くるまのニュース
フェルスタッペン、特化仕様のリヤウイングがなく「2戦を棒に振っている」予算の影響で2022年から”割り切り”
フェルスタッペン、特化仕様のリヤウイングがなく「2戦を棒に振っている」予算の影響で2022年から”割り切り”
motorsport.com 日本版
高性能Aクラスの集大成、メルセデスAMG『A45 S ファイナルエディション』が限定発売
高性能Aクラスの集大成、メルセデスAMG『A45 S ファイナルエディション』が限定発売
レスポンス
「いきなりステージから現れたんだ」エバンス、WRCラリージャパン“一般車両乱入事件”を語る。当該SSは安全確保のため中止に
「いきなりステージから現れたんだ」エバンス、WRCラリージャパン“一般車両乱入事件”を語る。当該SSは安全確保のため中止に
motorsport.com 日本版
ラスベガス予選で50G超大クラッシュのコラピント、決勝前に再度メディカルチェックへ。「彼の体調が何より重要」とウイリアムズ
ラスベガス予選で50G超大クラッシュのコラピント、決勝前に再度メディカルチェックへ。「彼の体調が何より重要」とウイリアムズ
motorsport.com 日本版
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
くるまのニュース

みんなのコメント

75件
  • 書いてること分かる分かるで
    読んだ。昭和のオッチャンです。
  • オレもいつかビーエム買うんだ。
    と、夢も希望もあった時代。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

202.9251.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.9450.0万円

中古車を検索
カローラの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

202.9251.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.9450.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村