■EVレースでもロータスがサーキットに戻ってくる!
ロータスが、2030年シーズンからEVレースの世界に参入することが明らかになった。彼らは同時に、その先行プロトタイプである、ロータス「E-R9(Endurance-Racer 9)」を初公開した。
【画像】クルマなのに飛行感覚が味わえる!? ロータスのEVレース用マシン「E-R9」を見る(15枚)
チーフエアロダイアミストのリチャード・ヒルは、E-R9のパッケージングには、モーフィング(異形化した)ボディパネルとエアロダイナミクス・コントロール翼面が採用されているという。
現段階ではその詳細に関しては明らかにされていないが、それがエアロダイナミクスの最先端にある技術であることは確かだ。
EVパワートレインは、「エヴァイヤ」のトルクベクタリングを備えたものが用いられ、さらに制御能力が高められている。
E-R9というネーミングから、1950年代のロータス「マークMk.IX(マーク9)」をイメージするファンも多いはずだ。1955年に発表されたマーク9もまた、その前身である「マーク8」のエアロダイナミクスを大幅に改善し、コヴェントリー・クライマックス製の1098cc、あるいはフォード製の1172ccやMG製の1497ccエンジンを搭載し、多くのレースに参戦した経緯がある。
社長であるコーリン・チャップマン自身も、そのステアリングを握っている。さらに1955年には、ル・マン24時間にも参戦した。E-R9が予定通りに2030年に登場するとすれば、マーク9の誕生から、75周年を祝う記念モデルともなる。
公開された写真のE-R9のカラーリングは、ゴールドの占める割合が多いが、1970年代にブラック&ゴールドのカラーリングで活躍したF1マシンがモチーフとなっている。
■まるで戦闘機のような旋回性能!?
E-R9の開発は、ロータスのみならず、世界中のクライアントに技術を提供する、ロータス・エンジニアリング社によっておこなわれた。
開発コンセプトは、「高度な電動パワートレインとエアロダイナミクスの分野における哲学、能力、革新的な精神のテクノロジー・ショーケースとなること」
その独特なボディデザインは、ロータスのチーフ・エアロダイナミストであるリチャード・ヒルと、ロータスのデザインディレクターであるラッセル・カーによって実現された。
リチャード・ヒルは、E-R9の開発について次のようにコメントしている。
「私たちがやろうとしたことは、現在の技術的な位置の限界を押し広げ、未来を想定することです。E-R9には開発と実用性が十分に期待できるテクノロジーが組み込まれています。
ロータスには独自のソリューションを開発してきた驚くべき歴史があり、モータースポーツやロードカーで、これまでそれを何度も証明してきました。
E-R9のエアロイノベーションのおもなものは、そのモーフィング・ボディパネルです。
デルタウイング全体に配置されたこのメカニズムは、アクティブな表面をドライバーがスイッチを押すか、パフォーマンスセンサーからの入力によって自動的に空気の流れを変化させることで、ストレートやコーナーでのダウンフォースを最適化します。
また、後部の垂直尾翼はタイヤのグリップに関係なく、クルマの方向を変える役割を担っています。その結果、E-R9はクルマのようなドライビング感覚と、またある意味においては戦闘機のような飛行感覚が味わえるマシンとなるのです」
バッテリーのエネルギー密度と電力密度は年々向上し、2030年には両方の長所を備えた混合セル化学電池と、ピットストップ中に、電池を「ホットスワップ」する機能が搭載されるだろうとロータスは予想している。
ロータス、そしてロータス・エンジニアリングの未来は、これからさらに大きな話題を提供してくれそうだ。
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