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スカニア、ボルボ…地方の運送会社が「海外製トラック」をわざわざ選ぶ理由!性能だけじゃないその深い意味とは?

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スカニア、ボルボ…地方の運送会社が「海外製トラック」をわざわざ選ぶ理由!性能だけじゃないその深い意味とは?

日本の物流を支えるトラック

 街でトラックを見かけない日はほとんどない。国土交通省の「令和5年度の交通の動向」によると、2022年度の分担率はトラックが91.4%を占めると報告されており、日本の物流は実質的に9割がトラックによって支えられている。

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 国内には7社のトラックメーカーがあり、軽自動車から大型車両に至るまで、それぞれのメーカーが特色を活かしたトラックを提供している。そのなかでも、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそう、UDトラックスの大手4社は国内のトラックシェアの大半を占めており、いずれも高性能でアフターサービスも充実している。

 一方で、海外にも多くのトラックメーカーが存在している。特に大型車両においては、ボルボやダイムラー、スカニアといった海外製トラックが根強い人気を誇る。国内メーカーが十分に市場を満たしているように見えるが、それでもなぜ海外製のトラックが人気を集めているのだろうか。

海外製トラックが人気の理由

 日本国内で海外製トラックが人気を集める大きな理由のひとつは、ブランドイメージである。海外のトラックメーカーは、グローバル市場で信頼とブランド価値を築き上げてきた。

 例えば、スウェーデンのスカニアは、トラックやバス、産業用ディーゼルエンジンなどを取り扱い、130年以上にわたって輸送ソリューションを提供してきた会社だ。親会社であるトレイトンは、2023年度の世界シェア第2位を誇る。スカニアのブランド力は確固たるものとなっている。

 また、同じくスウェーデンのボルボ・トラックは、1928年に最初のトラックを製造して以来、欧州最大の大型トラックメーカーへと成長を遂げ、世界シェア第3位を占める。そして、世界シェア1位を誇るのは、ダイムラー・トラックであり、全世界に35以上の主要拠点を持っている。日本のいすゞや日野は、それぞれ世界シェア第5位と第8位であり、海外製トラックのブランド力の高さが伺える。

 もちろん、ブランドイメージは単なる宣伝材料ではない。市場でのシェアを拡大し、世界中で販売されているという事実は、その車両が高い実力を備えている証拠でもある。

 実際、スカニアのトラックは高い耐久性と運転の快適性を誇り、ボルボのトラックは先進的な安全技術やドライバー支援技術に定評がある。これらの品質や企業イメージは、日本の運送業にも大きな影響を与えている。

採用強化に貢献する海外製トラック

 スカニアの公式ウェブサイトには、実際にスカニアのトラックを導入している企業の声が紹介されている。

 例えば、静岡県浜松市に本社を構える浜名梱包輸送は、2017年にスカニアのトラックを導入し、現在では14台を運用している。同社がスカニアを導入した理由のひとつは、

「採用面での効果」

だ。スカニアを所有していることが自社のブランド向上に貢献し、運送業界での人材確保が難しい中、海外製トラックを導入することで働き手に対する魅力が高まり、採用活動において有利な点が多いという。

 さらに、スカニアのメリットはイメージ面にとどまらない。スカニアの燃費のよさやドライバーの疲労感の少なさは、コスト面での効果を生んでいる。浜名梱包輸送のドライバーは、スカニアの高い居住性を評価し、長距離運転でも疲れにくいと実感していることがわかっている。特にシートのクッション性や運転目線、ミラーの視認性の良さなどが「ストレスを感じさせない」と高評価を得ている。

 一方、ボルボ・トラックについても注目すべき事例がある。岡山のヤマスイグループでは、約20台のボルボ・トラックを稼働させており、導入の目的のひとつはドライバーの

「離職率」

を下げることだった。その結果、ボルボ担当のドライバーは導入以来ひとりも辞めておらず、さらに「ボルボに乗りたい」と多くのドライバーが応募してくるようになったという。

グローバル化で進化する業界

 海外製トラックの人気の理由は、基本性能の高さを土台にしつつ、ドライバーや企業にとっての「イメージ」や「憧れ」が大きな要因となっていることがわかる。国内メーカーは、アフターサービスや部品調達面で強みを持ち、多くの拠点を展開しているため、信頼性の面では優位性がある。

 しかし、海外製トラックには快適性や機能面以外にも独自の魅力が存在する。一般の車と同様に、海外製トラックに乗ることがドライバーの「乗ってみたい」という気持ちを引き起こし、その憧れがモチベーションを向上させる。また、業界全体で深刻化している人手不足の問題に対しても、こうした魅力が解決策の一助となる。

 トラックメーカーのグローバル化は進んでおり、日本のメーカーも例外ではない。世界シェア1位のダイムラー・トラックは三菱ふそうを傘下に持ち、トヨタ自動車との提携により日野と三菱ふそうの再編を進めている。さらに、ボルボの傘下にあったUDトラックスは、いすゞ自動車に買収された。

 業界の再編が進むなかで、海外製トラックの「魅力」が失われないことを願うばかりである。

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みんなのコメント

14件
  • 黒猫
    キャブがデカ過ぎて荷台の全長が短くなって使い勝手が悪いそうですが
  • ste********
    スカニアはミラー見づらいし、特に夜はガラスに光が反射して見づらい。国産の方がそういう所はいいけど、高速走れば楽だし、ブレーキ踏んでも安定してるし首都高速のカーブも結構攻められる。
    友達とたまたまスライドしたら、良い車乗ってるなーと言われた。ステータスは良いね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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