James Chen
ジェームズ・チェン
マクラーレン正規ディーラーで世界一に輝いた永三汽車に、その秘訣を訊く
永三汽車 マクラーレン福岡
ゼネラルマネージャー
マクラーレン福岡も運営する永三汽車
2009年の設立以来、矢継ぎ早に魅力的かつ高性能なスーパースポーツカーをリリースしてきたマクラーレン・オートモーティブ。プロダクトラインナップの拡充を進めると同時に、年を追うごとにディーラーの数も増やし続けているが、これまで6回に渡り、全世界32以上の地域、85拠点に及ぶ正規ディーラーの中から最高のディーラーを選び表彰している。
これは、広範囲に及ぶ審査プロセスを通じて、販売、顧客サービス、マーケティングといった主要分野ごとにランク付けされ、その年もっとも優秀なディーラーを選出するという内容だが、その中でも台湾を拠点に展開するマクラーレン・タイペイは、2014年、2015年、2018年と3度もリージョナル・ディーラー・オブ・ザ・イヤーを獲得、全世界でナンバーワンのグローバル・ディーラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。このマクラーレン・タイペイとは、永三汽車(Yun San Motors)が経営するグループで、台湾のほか、日本の福岡と中国という3ヵ国でディーラーを展開する優秀な企業だ。
プロダクトの勢いもあるのかもしれないが、1度ならまだしも3度も受賞するとは、何か秘訣があるのだろうか? 今回、GTを試乗するためにマクラーレン福岡に訪れた際、永三汽車のゼネラル・マネージャーを務めるジェームズ・チェン(James Chen)氏にインタビューする機会を得たので、その実情を訊くことにした。
購入後も寄り添うことが重要
「バトラー=執事になることを重要だと考えています」
そう、ジェームズ氏は紳士的な対応で語り始めた。
「我々の哲学はユニークかもしれません。こうしてバトラーに徹することで、お客様の質問や疑問に対して誠実に応えていくことにより、自然と距離が近くなっていきます」
しかも驚くことにマクラーレン・タイペイでは、車両を販売する以外にカスタマーと多くのコミュニケーションをとる機会をつくっているという。
「毎年2回はサーキットイベントを行うほか、3泊4日のツーリングも頻繁に企画しています。台湾では毎回35台くらいは集まります。また、半日程度のモーニングドライブは毎週開催しています。弊社CEOのエリックが自ら出向いて積極的にお客様とコミュニケーションを取り続けています」
マクラーレン・タイペイは、リテール販売が23%増加したほか、認定中古車の分野でも43%の成長を成し遂げている。プロダクトに惹かれてカスタマーは購入に至るのが普通とはいえ、実は購入後のケアこそ重要だということだろう。
「我々は、敢えて英国のブランドで選んでおります。弊社の経営陣が、イギリスのクラフツマンシップとテクノロジーに対して絶大なる信頼をおいているのは、英国ブランドの考え方や趣味趣向性に強いシンパシーを感じているからです。英国人も我々も派手なことは好みません。アンダーステイトメントであることが大事だと考えています」
アンダーステイトメント=控えめの美学・・・。カスタマーに寄り添い、執事に徹する姿勢があるからこそ、彼らから離れないということである。購入した後に、さらなる楽しみが待っているとなれば、リピート率が高くなるのも頷ける。
マクラーレンの今に思うこと
「最新モデルのマクラーレンGTをはじめて見た時、すごく印象に残りました。これまでとは違う特徴をもっています。スーパースポーツカーの性能をもちながらも、見た目はエレガント。ラゲッジスペースも確保され、地上高を意識した造りは日常性に耐えられるように仕上がっています。これならマクラーレンに乗ったことのない人も惹かれると思いました」
特に720S以降のマクラーレンのラインナップは以前にも増してキャラクターが明確になったとジェームズ氏は言葉を重ねる。
「それぞれのキャラクターが鮮明に分かるようになりました。アルティメット、スーパー、スポーツシリーズのいずれかが、デザインを見ただけでも伝わるようになりました。ブランドとしてはまだまだ若いですが、今は特に勢いがあって頼もしさを感じます」
ところで台湾と日本とでは、やはり国民性の違いがあるはず。その点について訊くと・・・。
「日本のお客様は、自動車に関する歴史が長いこともあって知識が高いのが印象的です。それに日本には素晴らしいサーキットがいくつもあります。台湾には2つしかありませんから・・・。日本のお客様はサーキットに行かれる方も多いです」
2名の個性派セールスマン
マクラーレン福岡には個性的な2名のセールスが在籍し、ジェームズ氏は、その2名に対して絶大な信頼をおいている。
実際、セールス エグゼクティブの田中和幸氏は、自らサーキットに足を運ぶ“走り屋”で、クルマのもつパフォーマンスを存分に活かすことでスーパースポーツカーの楽しみ方をカスタマーに伝えることができる貴重な人物。一方、セールスマネージャーを務める佐藤裕一氏は、以前、福岡のフェラーリ・ディーラーでメカニックとして働いていただけに、メカニズムや性能からマクラーレンの魅力を伝えることができる。
これも永三汽車の強みだろう。台湾と同じようにマクラーレン福岡もカスタマーに寄り添うディーラーとして、これからも期待できそうだ。モーニングドライブも実施しているというし、いずれは独自のサーキットイベントやツーリングも行いたいと意欲的である。今度は日本のマクラーレン福岡が表彰されることを祈りたい。
TEXT/野口 優(Masaru NOGUCHI)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
【概要】
マクラーレン 福岡
住所:福岡県福岡市東区原田4-30-8
営業時間:10:00~19:00(日・祝 10:00~18:00)
定休日:水曜
電話:092-611-8899
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