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売れることは考えずに、まずは作ってみた! 試行錯誤していた頃の電気自動車3選

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売れることは考えずに、まずは作ってみた! 試行錯誤していた頃の電気自動車3選

■普及前夜に登場した電気自動車を振り返る

 マツダは2021年1月28日に、同社初の量産電気自動車(以下、EV)である「MX-30 EVモデル」を発売しました。世界的に二酸化炭素排出削減に向け自動車の燃費規制が強まるなか、EVはその切り札として注目されています。

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 各メーカーとも最新技術を余すことなく投入しているEVですが、その歴史は古く、19世紀にガソリンエンジン車よりも前に誕生しています。

 日本でも第二次世界大戦直後の燃料不足だった時代に、「プリンス自動車」の前身である「たま電気自動車」から、鉛バッテリーを搭載したEVが販売されるなど、中小のメーカーも含めて実用化していました。

 しかし、燃料が安く潤沢に使えるようになるとEVは消え、その後、1974年の第一次オイルショック以降に再び脚光を浴びることになりますが、本格的な量産化には至りませんでした。

 そして、1980年代に環境問題に対する意識の高まりから、EVの実用化に向けた研究開発が飛躍的すすみ、2009年に三菱「i-MiEV」、2010年に日産「リーフ」という量産EVが発売され、今日に至ります。

 現在、日本、欧州、アメリカ、中国などさまざまな国のさまざまなメーカーからEVが発売され、さらなる性能向上に向けた開発も進んでいます。

 そこで、まだ本格的に販売される以前に登場した黎明期のEVを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「ハイパーミニ」

 日産はリーフを発売したことで、一躍EVの生産におけるトップランナーとなりましたが、1970年代から本格的に研究と開始しており、1996年にミニバンの「プレーリージョイ」をベースにした「プレーリージョイEV」、1997年には「ルネッサEV」を発表し、リース販売を開始しました。

 そして、さらなるEV普及を目指して2000年に「ハイパーミニ」を発売。都市コミューターとして開発された専用ボディをもつ、ふたり乗りの超小型EVでした。

 ハイパーミニは1997年の東京モーターショーで展示され、2000年2月に生産型が発売されました。

 ボディサイズは全長2665mm×全幅1475mm×全高1550mmと、軽自動車としてナンバー取得が可能で、当時、すでにカーシェアリングを視野に入れ、ICカードタイプのキーレスエントリーシステムを採用するなど、実際に神奈川県横浜市と海老名市で、EVカーシェアリング社会実験も実施しました。

 モーターはレアアースを使った高効率のネオジム同期モーターを搭載。特筆すべきは高価なリチウムイオン電池を使っていたことで、一充電の走行可能距離は115km(10・15モード)、最高速度は100km/hを達成しています。

 外観はショーカーそのものといったデザインで、未来感のあるポップな印象です。

 また、先進的なバッテリー以外にも、軽量かつ高剛性のアルミ製スペースフレームの採用や、ランフラットタイヤが装着されるなど、EV関連以外の技術もかなり先進的だったといえます。

 官公庁、自治体、法人等を中心に400万円(消費税含まず)からの価格で販売され、実証実験を繰り返し、リーフにつながっていきました。

●ホンダ「HONDA EV Plus」

 2020年10月、ホンダはコンパクトカーにカテゴライズされるEV、「ホンダe」を発売しました。同社初の本格量産フルEVで、初代「シビック」をオマージュしたような内外装が話題となりました。

 ホンダはEVの研究を1988年から開始しており、「CR-X」やシビックをベースとした試作車を製作し、1994年からはアメリカで2年間、述べ13万kmにもおよぶ走行テストをおこなってきたといいます。

 そして、1997年9月に、実用的なEVとして「HONDA EV Plus」をリース販売しました。

 外観は当時、ホンダがラインナップしていたコンパクトカーの「ロゴ」に近いデザインの3ドアハッチバックで、室内は4人乗りとなっています。

 専用設計されたボディは全長4045mm×全幅1750mm×1639mmと、ロゴよりもひとまわり大きいサイズで、日米の安全基準に適合。

 バッテリーは信頼性を重視してニッケル水素バッテリーを搭載し、回生ブレーキを採用。一充電の走行可能距離は210km(10・15モード)で、最高速度は130km/hを実現するなど、普段使いに耐えうる設計となっています。

 また、プロジェクター式HIDヘッドライトや、ヒートポンプ式フルオートエアコンを装備するなど、省電力設計の電装品を搭載することで、後続距離を伸ばす工夫も図られていました。

 当時のリース料金は、登録諸費用、メンテナンス料などを含み月額26万5千円に設定され、一般的なユーザーではなく法人へのリース販売が中心でした。

■あまり知られていないスバル製EVとは!?

●スバル「サンバーEV」

 現在、スバルはハイブリッド車を中心とした電動化を進めていますが、2019年にはトヨタと共同開発したミドルサイズSUVタイプのEVを欧州で発売すると発表しています。

 このスバルはすでに自社開発したEVを販売した実績があり、それが2000年12月に発売された「サンバーEV」です。

 軽1BOXバンのサンバーをベースに、直結式減速機と組み合わせたモーターを搭載。クリープ現象をもたせることにより、ガソリンエンジンのAT車と同じ感覚での運転が可能となっています。

 バッテリーは室内スペースを確保するために後席下に搭載して、ベース車と同等の荷室容量を実現。荷物の積み下ろしのしやすさや、スムーズな乗降性も考慮した設計です。

 なお、当時の価格は300万円(消費税含まず)と、標準的なサンバーの3倍以上と非常に高価だったため、本気で販売するというよりも、スタディモデルという位置づけだったようです。

※ ※ ※

 前述のとおり、マツダからMX-30 EVモデルが登場し、2020年にはホンダe、直近ではハイパーミニのようなコミューターのトヨタ「C+pod(シーポッド)」が発売され、2021年中頃にはSUVタイプのEVである日産「アリア」の発売が予定されているなど、国内外のメーカーから次々と新型EVが登場しています。

 ところが、日本でのEVの普及はまだまだ過渡期といえ、ガソリン車やハイブリッド車と肩を並べるには程遠い状況です。

 現状は、充電ステーションなどインフラ、一充電にかかる時間、航続可能距離など、クリアすべき問題は山積みといえます。

 今後、全固体電池など革新的な技術が実用化されれば、さまざまな問題の多くは解決されると目されているので、一気に普及する可能性がありますが、もう少し時間がかかりそうです。

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みんなのコメント

5件
  • 昔の電気自動車は自動車会社と電力会社の共同開発が多かった。ダイハツも当時、関西電力とセロー(というスクーターみたいな乗り物を昔出していた。ヤマハのセローとはたぶん無関係)やハイゼットの電気自動車を作っていたので、いまだに電気自動車というとダイハツのイメージが強い。

    また、関西電力からダム開発の現場に向かうための車を依頼されて開発したのが、去年名跡が復活したタフトである。レオーネの4WDといい、日本の四駆の開発は電源開発と深く関わっていたことがわかる。裏を返せば、この種の車がいかに特殊な存在だったかということでもある。
  • 97年頃でしたか、RAV4 EVもありましたね。
    500万くらいだったかな?
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