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JARI 一般財団法人 日本自動車研究所とは? 中立な立場で公正な研究、試験の聖地

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JARI 一般財団法人 日本自動車研究所とは? 中立な立場で公正な研究、試験の聖地

読者のみなさんは「一般財団法人日本自動車研究所」というのをご存知だろうか?年配の方だと「谷田部(やたべ)」の通称で知られていたところだ。その谷田部から、ジャーナリスト向けにB to B情報として、研究施設の紹介と現状について知る機会があったのでお伝えしていこう。

この日本自動車研究所は1969年に誕生し、われわれ自動車メディアにとっては「クルマの性能を計測する聖地」として認知されてきた場所だ。カーメーカーや部品メーカーはもちろん、行政、産業界、学術界に対し、中立の立場で計測し、公正な研究・試験の実施をしている機関である。そのため、利用者はOEMをはじめ、サプライヤーや諸大学、そして経産省、国交相、環境省、警察庁、電気・電力業界、通信業界が利用している機関なのだ。

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そして2030年に向けては「社会と協力して未来を創造する研究所」という立ち位置、目標を立てている。非営利型一般財団法人は国からの補助はなく独立した機関として稼働しているというのが概要だ。

さて、現在の谷田部は2ヶ所に別れている。かつての谷田部は茨城県の学園都市近くの谷田部に所在していたが、2005年につくばエクスプレスが敷地内を通る計画があり、移転することとなった。そのため、現在は「つくば研究所」と「城里テストセンター」の2ヶ所に分かれている。

年配の方が谷田部を知っているというのは、高速周回路があり、かつて自動車雑誌はそこで最高速テストを行なったり、車両のダイナミック性能計測など雑誌社が独自の計測方法によって試験する企画をやっていたからだ。読者は、その記事を読み谷田部の名前が記憶に残っているというわけだ。

筆者高橋アキラも雑誌オプションに在籍し、当時は目指せ300km/hという時代で、チューニングカーで何キロ出るのかというテスト企画を経験している。実際、故・高橋国光さんによってデ・トマソ パンテーラが300km/hの壁を破り、その瞬間に立ち会っていたことが記憶に残っている。

谷田部のかつてのバンクが残されている。現在は同サイズの高速周回路が城里テストセンターに設置されているさて、その日本自動車研究所の現在は大きくわけて、環境性能、安全性能、そして新モビリティの3分野の試験が近年の大きな流れだという。そこで「つくば研究所」にある施設をいくつか見学させてもらったが、ひとつは電気モーターの試験棟でエンジンで言うところのシャシーダイナモだ。いわゆるベンチテストができる場所だ。

このつくば研究所は乗用車だけでなく商用トラック等にも対応しているため、かなり大きな出力テストが可能になっている。最近では、低回転高トルク、あるいは高回転低トルクといった出力と回転の関係でのテストが多いという。そしてテストは2万回転、700Nmまでテストが可能なベンチを見せてもらい、1000V、1000A、130度Cの高温でテストできるという。

そしてインバータはあってもなくても対応できる設備であり、基本的には三相交流の位相を変えたりするテストも行なっているという。また大型トラック向けには4000Nmまでのテストベンチが4機あるそうで、おおむね大型トラックは2000Nm級が多いため、対応できているという。

もう一ヶ所見学したのは室内設備で道路環境を再現する建屋だ。ここでは濃霧や豪雨での信号機の視認性の確認や、日射、夕方と昼での信号機の干渉、雨量30mm、50mm、80mmが再現でき、視認性のテストができるそうだ。見学では霧の発生を体験し、信号機の確認視程を計測するのを見学した。

このつくば研究所は他に、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジンのシャシーダイナモはもちろん、FCEV研究棟や電動システム研究棟、V2X市街地の再現、衝突試験場などの設備がそろっている。

そして、城里(しろさと)テストセンターは、かつての谷田部にあった高速周回路と同じ規模の高速周回路を持っているのだ。全長5.5km、幅12mで365日稼働しているという。

この城里テストセンターでは、自動運転系の試験が近年増えているという。日本自動車研究所自体が2015年から稼働率が従来より1.5倍に増えているといい、EV系の試験、AD/ADASの試験が急速に多くなっているためという。

この城里テストセンターの視察・見学はなかったが、テストセンターは24時間利用可能で、夜間のヘッドライト系のテストや合わせてADAS系の暗がりでの試験などが行われているという。そのため、ビジネスホテル以上の環境の整った宿泊施設ももっているという。

4社の協力で全世界のAD/ADASのシナリオをカバーすることができているちなみにAD/ADAS系では白線の太さが世界中で異なっているため、自動でGPSを使って白線を引くロボットの導入もしている。また対象物検知では4社の機材メーカーでカバーすることができ、結果、全世界のシナリオがカバーされているというのだ。つまり、OEM等が試験したいニーズの全てに応えられるように設備を整え、環境を整えているというわけだ。

したがって、OEやサプライヤーで試験したくても環境がない、難しいといったケースではこの日本自動車研究所が非常に役立っているということなのだ。

以上のように、完全なB to B情報で一般ユーザーに役立つ情報ではないかもしれないが、どのような試験が行われているのかといった片鱗を感じることができたのではないだろうか。

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