現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【グループCの時代】ランチアLC1/LC2はグループC導入時、唯一ポルシェに対抗できる存在だった【その2】

ここから本文です

【グループCの時代】ランチアLC1/LC2はグループC導入時、唯一ポルシェに対抗できる存在だった【その2】

掲載 更新 2
【グループCの時代】ランチアLC1/LC2はグループC導入時、唯一ポルシェに対抗できる存在だった【その2】

1980年-90年代、超ド級のレーシングカーが壮絶なバトルを繰り広げていた。最高出力1000ps、最高速400km/h、決められた燃料使用量でレースをいかに速く走り切るか、メーカーが知恵を絞ったことで様々なマシンが誕生したこともレースを面白くした。この短期集中連載では、そんなグループCカーの時代を振り返ってみよう。第2回はグループC規定初期の名車、「ランチアLC1/LC2」だ。(タイトル写真はランチアLC1)

何度もポールポジションを獲得、ポルシェを焦らせた
グループC黎明期に、ポルシェのライバルとなったのがランチアだった。ただし、規定初年度の1982年のWEC及びル・マンに出場したLC1はグループCではなく、旧規定のグループ6マシン。新設のグループCだけでは多くの参戦台数が見込めないと考えたFISAは、1982年に限ってグループ6の参加を認めており(ただしポイントが獲得できるのはドライバーズ選手権のみ)、参戦決定が遅れて開発期間が短く、予算も潤沢ではなかったランチアはあえてグループ6規定でニューマシンを製造するという奇策でドライバーズ選手権を狙ったのだった。

2019年もっとも読まれた記事ランキング発表、2位は運転免許証の謎、さて1位は?

同時期のランチアのラリー037によるWRCのマシン開発をアバルトが担当したのに対し、LC1開発の主導はランチア・コルセ本体が行なっていた。

エンジンは前年1981年まで使用していたグループ5のチャンピオンマシン、ベータ・モンテカルロの1.4L、直列4気筒ターボ。アルミモノコックのシャシ設計はダラーラが担当した。

グループ6にはグループCより軽量(LC1は956に比べて約200kg軽かった)で、しかもオープンプロトタイプというボディ構造に加えて、燃費制限もなく、若手F1ドライバーたちの積極的起用もあって、LC1のパフォーマンスは956と拮抗していた。惜しくも敗れたものの、全8戦中3勝を挙げ、最終戦までタイトルを争う健闘を見せたのだった。

そして翌1983年、ランチアはいよいよ本格的なグループCマシン、LC2を投入する。LC1と同様の体制で開発されたLC2のエンジンはフェラーリ308系の2.6L V8ユニットを参考にした専用設計で、ツインターボとしていた(1984年から排気量は3Lに)。

車体は規定一杯の全幅2000mmではなく1800mmのナローボディが特徴だった。これは前面投影面積を減らすことで燃費向上=エンジンパワーの効率的な活用を狙ってのことで、ナロートレッドの弱点であるコーナリングの不安定さは、レーキ(前傾角度)を利用してのダウンフォース増大などの先進のエアロダイナミクスで補った(1985年仕様から全幅2000mmに)。

空力重視のコンセプトは的中し、LC2は3年あまりのワークス活動期間で、予選ではポールポジションを何度も獲得するなど、ポルシェに拮抗するパフォーマンスを披露。

しかしレースでは耐久性不足や適切なワークスタイヤが見つからなかったこと(ピレリ→ダンロップ→ミシュランと変遷)もあって、ポルシェにトラブルが起きたときしか勝つことはできなかった。

結局1986年のシーズン開幕戦終了後に親会社フィアットが撤退を決め、ランチアはWRCに集中することとなったが、グループC活動で培った電子制御技術や空力理論はラリーで活かされたという。

ランチアLC1(1982年)主要諸元
●全長:4700mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:640kg
●エンジン型式:14.81T
●エンジン:直列4気筒DOHCターボ
●排気量:1425cc
●最高出力:450ps/8500rpm
●最大トルク:400Nm/7300rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:MR

ランチアLC2(1983年)主要諸元
●全長:4800mm
●全幅:1800mm
●全高:1065mm
●ホイールベース:2665mm
●車両重量:640kg
●エンジン型式:308C(フェラーリ)
●エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
●排気量:3015cc
●最高出力:720ps/8800rpm
●駆動方式:MR

[ アルバム : ランチアLC1/LC2 はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

衝撃! ”空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイがレッドブル離脱か
衝撃! ”空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイがレッドブル離脱か
motorsport.com 日本版
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表
AUTOSPORT web
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
ベストカーWeb
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
AUTOSPORT web
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
AUTOSPORT web
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
ベストカーWeb
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
Auto Messe Web
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
カー・アンド・ドライバー
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
グーネット
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
グーネット
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
グーネット
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
グーネット
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
月刊自家用車WEB
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
AUTOSPORT web
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
AUTOCAR JAPAN
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
Auto Messe Web
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
グーネット
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
くるまのニュース

みんなのコメント

2件
  • LC2といえば、タムテック。
    いい感じに実車の雰囲気を再現していました。

    それに対し同じタムテックの962Cは、ラジコンの臓物を避けるため仕方ないとはいえ、
    ラジエターの開口部が浅い残念なフォルムでした。
    (その残念なボディをプラモに流用したのはびっくり!)
  • 富士でレースで見ましたが速かったですね。
    個人的には監督が友人だったオートビューレックのM1が好きでした。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村