1980年-90年代、超ド級のレーシングカーが壮絶なバトルを繰り広げていた。最高出力1000ps、最高速400km/h、決められた燃料使用量でレースをいかに速く走り切るか、メーカーが知恵を絞ったことで様々なマシンが誕生したこともレースを面白くした。この短期集中連載では、そんなグループCカーの時代を振り返ってみよう。第2回はグループC規定初期の名車、「ランチアLC1/LC2」だ。(タイトル写真はランチアLC1)
何度もポールポジションを獲得、ポルシェを焦らせた
グループC黎明期に、ポルシェのライバルとなったのがランチアだった。ただし、規定初年度の1982年のWEC及びル・マンに出場したLC1はグループCではなく、旧規定のグループ6マシン。新設のグループCだけでは多くの参戦台数が見込めないと考えたFISAは、1982年に限ってグループ6の参加を認めており(ただしポイントが獲得できるのはドライバーズ選手権のみ)、参戦決定が遅れて開発期間が短く、予算も潤沢ではなかったランチアはあえてグループ6規定でニューマシンを製造するという奇策でドライバーズ選手権を狙ったのだった。
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同時期のランチアのラリー037によるWRCのマシン開発をアバルトが担当したのに対し、LC1開発の主導はランチア・コルセ本体が行なっていた。
エンジンは前年1981年まで使用していたグループ5のチャンピオンマシン、ベータ・モンテカルロの1.4L、直列4気筒ターボ。アルミモノコックのシャシ設計はダラーラが担当した。
グループ6にはグループCより軽量(LC1は956に比べて約200kg軽かった)で、しかもオープンプロトタイプというボディ構造に加えて、燃費制限もなく、若手F1ドライバーたちの積極的起用もあって、LC1のパフォーマンスは956と拮抗していた。惜しくも敗れたものの、全8戦中3勝を挙げ、最終戦までタイトルを争う健闘を見せたのだった。
そして翌1983年、ランチアはいよいよ本格的なグループCマシン、LC2を投入する。LC1と同様の体制で開発されたLC2のエンジンはフェラーリ308系の2.6L V8ユニットを参考にした専用設計で、ツインターボとしていた(1984年から排気量は3Lに)。
車体は規定一杯の全幅2000mmではなく1800mmのナローボディが特徴だった。これは前面投影面積を減らすことで燃費向上=エンジンパワーの効率的な活用を狙ってのことで、ナロートレッドの弱点であるコーナリングの不安定さは、レーキ(前傾角度)を利用してのダウンフォース増大などの先進のエアロダイナミクスで補った(1985年仕様から全幅2000mmに)。
空力重視のコンセプトは的中し、LC2は3年あまりのワークス活動期間で、予選ではポールポジションを何度も獲得するなど、ポルシェに拮抗するパフォーマンスを披露。
しかしレースでは耐久性不足や適切なワークスタイヤが見つからなかったこと(ピレリ→ダンロップ→ミシュランと変遷)もあって、ポルシェにトラブルが起きたときしか勝つことはできなかった。
結局1986年のシーズン開幕戦終了後に親会社フィアットが撤退を決め、ランチアはWRCに集中することとなったが、グループC活動で培った電子制御技術や空力理論はラリーで活かされたという。
ランチアLC1(1982年)主要諸元
●全長:4700mm
●ホイールベース:2500mm
●車両重量:640kg
●エンジン型式:14.81T
●エンジン:直列4気筒DOHCターボ
●排気量:1425cc
●最高出力:450ps/8500rpm
●最大トルク:400Nm/7300rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:MR
ランチアLC2(1983年)主要諸元
●全長:4800mm
●全幅:1800mm
●全高:1065mm
●ホイールベース:2665mm
●車両重量:640kg
●エンジン型式:308C(フェラーリ)
●エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
●排気量:3015cc
●最高出力:720ps/8800rpm
●駆動方式:MR
[ アルバム : ランチアLC1/LC2 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
いい感じに実車の雰囲気を再現していました。
それに対し同じタムテックの962Cは、ラジコンの臓物を避けるため仕方ないとはいえ、
ラジエターの開口部が浅い残念なフォルムでした。
(その残念なボディをプラモに流用したのはびっくり!)
個人的には監督が友人だったオートビューレックのM1が好きでした。