増加傾向にある低価格帯EV
電気自動車(EV)にはさまざまな形やサイズがあり、注目度もかつてないほど高まっている。しかし、世界的に需要が伸び悩む中で、メーカーもユーザーも特に気にしているのが価格だ。
【画像】英国の代表的なコンパクトカーも新世代へ【ミニ・クーパー・エレクトリックを写真で見る】 全41枚
EVは「高価なもの」というイメージがあるかもしれないが、これはバッテリーなどの生産コストもさることながら、一部のメーカーが新しいもの好きの裕福なアーリーアダプターを狙った高額商品を数多く展開しているためだ。
興味をそそられたアーリーアダプターたちは、デジタル技術が駆使された最新EVを体感するために喜んでお金を支払い、自動車メーカーにいくばくかの利益をもたらすことになった。
現在、EVはより一般的になりつつあり、価格も徐々に下がっている。メーカーも比較的安価な新型車を相次いで発表しており、今後ますます身近なものになっていくと予想される。
今回は、バリエーションが豊かな英国市場から最も安価なEVを10台紹介したい。日産、マツダ、シトロエン、フィアット、ダチア、MG、BYDなど、EVの選択肢はかつてないほど幅広い。
数年前には3万ポンド(約600万円)を下回ると安いと言われたが(それでもかなり高価だが)、現在はさらに下がり、中には2万ポンド(約400万円)以下のものもある。
ただし、購入する前にはよく調べることが重要だ。これまでEVに対するネガティブな評価の多くは航続距離に集中しており、実際、内燃エンジン車の代替となるようなスタミナを持つものはほとんどなかった。
とはいえ、充電インフラは徐々に改善されており、ユーザーの期待も変化している。市場需要は踊り場を迎え、新たな局面に入っている。
1. シトロエン・アミ
長所:コンパクトなサイズ、小回りが利く、ミニマルなデザインと構造
短所:ひどい乗り心地、悪天候下では視界が悪い、エリアによっては危険を感じる
価格:8495ポンド(約175万円)
英国で最も安いEVはシトロエン・アミだが、厳密には「L6e」という小型の電動四輪車の規格に当てはまる。
混雑した都市部における安価な移動手段として設計され、最高出力8ps、最高速度45km、航続距離は約70kmと、性能面では他の乗用車に比べて絶望的に不利だ。
とはいえ、コンパクトゆえに小回りが利くため、街中での運転は簡単だ。また、オートバイにはない窓やルーフがあるため、天候が悪い日でも快適に走ることができる。
2. ダチア・スプリング
長所:短距離移動に最適、ミニの半額で買える、洗練されたパワートレイン
短所:インテリアはライバル車に劣る、品質は完璧ではない、ロードノイズがうるさい
価格:1万4999ポンド (約310万円)
一般的な乗用車クラスで最も安いのはルーマニアのダチアが販売するスプリングだ。EVに限らず、フィアット・パンダ、キア・ピカント、そしてダチア・サンデロなどの安価な内燃エンジン車とも肩を並べる価格帯だ。
親会社ルノーのシティK-ZEをベースとしており、最近の改良で内外装が大きく変更され、新しいフロントマスクを獲得し、インテリアの品質とコネクティビティ機能も大幅に改善された。
26.8kWhのバッテリーを搭載し、重量はわずか984kg、1回の充電での航続距離は約220kmだ。
3. シトロエンe-C3
長所:快適な乗り心地、充実装備
短所:ロードノイズ、充電速度が遅い、無味乾燥したハンドリング
価格:2万1990ポンド(約450万円)
シトロエンの最新作e-C3は、実用性とファッション性の両方を併せ持つ。全車にアップル・カープレイとアンドロイド・オートが標準装備され、快適なシートや運転支援システムも付いている。
航続距離は約320kmで、最大100kWの急速充電に対応し、26分で20~80%の充電ができる。
油圧式クッションが路面の凹凸をうまく吸収し、大きな段差からも隔離されているように感じられる。つまり、快適かつ気楽に走れるのだ。
2025年には、さらに廉価な1万7250ポンド(約350万円)のバージョンが欧州市場に導入される予定だ。
4. フィアット500e
特長:アイコニックなデザイン、楽しいハンドリング、優れたパフォーマンス
短所:航続可能距離が公称値より短い、腰高なドライビングポジション、急速充電速度が遅い
価格:2万1995ポンド(約450万円)
欧州Aセグメント車のスタイルを確立しているのがフィアットだ。象徴的な500の最新EVバージョンである500eは、内外装ともに魅力的で、小回りが利き、街中での運転も楽々だ。
ひどく物足りなさを感じることはないが、24kWhのバッテリーを搭載するエントリーグレードの航続距離が約190kmであるため、使い勝手はかなり制限される。
約3000ポンド(約60万円)高い42kWhのモデルもあり、航続距離は約320km、最高出力は120psだ。全車に10.25インチのインフォテインメント・タッチスクリーンが装備され、スマートフォンのミラーリング機能も備えている。
5. BYDドルフィン
長所:大容量バッテリーによる長い航続距離、優れたパフォーマンス、快適な乗り心地
短所:フィードバックに乏しいステアリングフィール、小回りが利かない、強力な回生ブレーキがない
価格:2万5490ポンド(約520万円)
まだBYDの名前に聞き馴染みのない人も多いかもしれないが、グローバルに急拡大して大きな話題を呼んでいる。
先に投入されたアット3は3万7695ポンド(約770万円)と高価だが、続くドルフィンはCセグメントの電動ハッチバックの中で最も安い。幅広く受け入れられる可能性を秘めているのだ。
とはいえ、エントリーグレードではいくつかの妥協すべき点もある。サスペンションにはまだ洗練されていないトレーリングアームが使われており、最高出力95psのモーターも著しく力不足に感じられる。欧州のユーザーにとって、これらの妥協が受け入れられるかどうかはまだわからない。
6. オペル/ヴォグゾール・コルサ・エレクトリック
長所:劇的に変わった新しいフロントマスク、大型バッテリーによる長い航続距離
短所:ライバル車と比べてパワー不足、前輪駆動の走りは後輪駆動車に劣るかもしれない
価格:2万6895ポンド(約550万円)
英国ではヴォグゾール、ドイツなど他の地域ではオペルから販売されているコルサ・エレクトリック。最近の改良でデザインが大きく変わったが、新しいエントリーグレードが追加されたことで、スタート価格は5550ポンド(約110万円)引き下げられた。
「YES」と名付けられたエントリーグレードは、航続距離約350kmの50kWhバッテリーを搭載し、フロントの電気モーターから最高出力136ps、最大トルク26.4kg-mを発生する。
装備もまずまずだ。コルサYESには、16インチのアルミホイール、10インチのデジタル・タッチスクリーン、ワイヤレスのスマートフォン接続機能、自動LEDヘッドライトおよびオートワイパー、クライメートコントロール、キーレスエントリー、リアパーキングセンサーが標準装備されている。悪くない。
7. MG 4
長所:コスパ優秀、広い居住空間、運転が楽しい
短所:運転支援システムに改良が必要、内装材の質感が低い、インテリアの使い勝手に難あり
価格:2万6995ポンド(約555万円)
Cセグメント・ハッチバックの最安価の座はBYDドルフィンに奪われてしまったが、それでもMG 4は注目する価値がある。
後輪駆動のパワートレインと快適なサスペンション設定のおかげで、純粋に運転が楽しい。さらに、エントリーグレードの公称航続距離は約350kmで、もっと高価なEVとも肩を並べる。
電動ホットハッチとも呼べる高性能の「XPower」というモデルもある。3万6495ポンド(約750万円)とかなり高価だが、デュアルモーターから最高出力435psという驚異的なパワーを発揮し、発進や低速からの加速性能はスーパーカーを上回る。
8. 日産リーフ
特長:充実した標準装備、大きなトランク、快適な乗り心地
短所:ライバル車より航続距離が短い、CHAdeMO急速充電器、ドライビングポジションが理想的ではない
価格:2万8495ポンド(約585万円)
初代日産リーフは、量産型EVの先駆者だった。第2世代はそれほど革命的なものではないが、CセグメントのEVとしては比較的安価で、重要な役割を担っている。
エントリーグレードの「シロ(Shiro)」は39kWhのバッテリーを搭載し、公称航続距離は約270kmだが、これは同価格帯のライバル車より短い。発売から年数が経過し、旧式化していることによるものだ。
また、英国ではCHAdeMO充電器がもはやめずらしい存在となっている。
9. マツダMX-30
長所:スタイリング、高級感のあるキャビン、快適
短所:重量面でのアドバンテージがない、ハンドリングに「マツダらしさ」がない、航続距離が非常に短い
価格:2万8995ポンド(約595万円)
欧米のメーカーとは異なるアプローチをとっているマツダ。ロータリーエンジンで有名な同社は、初のEVの航続距離が200kmと比較的短いことをアピールしている。平均的な通勤には十分だと考えているのだ。
MX-30は、この価格帯のEVとしては驚くほど高級感がある。マツダ独特の奇抜なスタイルが印象的だ。
純粋なBEVではないが、ロータリーエンジンのレンジエクステンダーを搭載したR-EVも投入された。バッテリーだけで85km、エンジンを発電機として使用640km以上を走ることができる。
10. ミニ・クーパー・エレクトリック
特長:時代を超越したデザイン、上質なインテリア、新技術
短所:航続距離、乗り心地、実用的ではない
価格:2万9945ポンド(約615万円)
新世代のミニ・クーパーのEVバージョン、クーパー・エレクトリックは最も安い仕様で2万9945ポンド(約615万円)からとなる。
41kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は約300km(先代モデルより大幅アップ)と謳われている。
ガソリン車のバージョンもあるが、見た目は同じでもプラットフォームがまったく異なる。クーパー・エレクトリックを筆頭に、ミニはEV専用ブランドとなるべくラインナップの刷新と拡張を開始する。
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みんなのコメント
現実を見ないEV推しはメディアとしての信用なくすぞ?ってか既に皆無だけどな。