ホンダ・レーシングの渡辺康治社長は、角田裕毅との現在の関係性について明かした。
今季F1での5シーズン目を迎える角田。昨年末にはセルジオ・ペレスの後任としてレッドブル昇格の可能性も取り沙汰された。しかし結局はレーシングブルズに残留することとなり、ペレスの後任には角田のチームメイトだったリアム・ローソンが選ばれた。
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そんな角田は最近、マネジメント体制を変更。元レーシングドライバーのディエゴ・メンチャカを個人マネージャーとして迎えるなど、将来に向けた動きを加速させている。
ただ角田は、ホンダの育成ルートを辿ってF1デビューを果たしたドライバーである。過去の事例から言えば、トップクラスのモータースポーツを戦う日本人レーシングドライバーは、いずれかの日本メーカーに所属していることが多い。そういう意味で角田は、ホンダのドライバーであると思われがちだ。
現在の角田のホンダとの関係はどんなモノなのか? そう尋ねられた渡辺社長は、次のように語った。
「彼はもうF1で5年目のシーズンです。経験も十分に積んだドライバーですし、独り立ちしています。彼にとって一番いい選択ができればいいと思います」
そう渡辺社長は語った。
「そういう意味で言うと、今年は非常に大事なシーズンだと思いますし、おそらく来年のシートはすごく早く決まると思うので、タイミングとチャンスを掴んで、次のステップに行ってほしいと思っています。彼ならばそれができると、私は信じています」
角田は”ホンダのドライバー”ではなく、あくまで本田技研とのスポンサー契約を、結んでいるドライバーだと、渡辺社長は説明する。
「角田選手は、我々とスポンサー契約を結んで繋がっています。基本的には独立したドライバーですが、本田技研としてスポンサー契約をしているということです」
会見終了後、motorsport.comの取材に応じた渡辺社長は角田について、ここからは自分でこの先の道を掴んでいってほしいと改めて語った。
「自分で動くことが必要だと思います。とにかくもう5年目だし、能力もあってF1の世界もよく知っている。我々にできることはもうそんなにないです。マネージャーも含めて周りをしっかり固めて、必要なシートを取りにいってほしい。プロですからね」
前述のとおり、日本のモータースポーツではこれまで、育成したドライバーのキャリアをそのメーカーがサポートし続けるというのが常識であった。それを変えるべき時が来ているのかもしれない。渡辺社長は続ける。
「メーカーによるお膳立てがあって、そこに乗るというスタイルが、日本では主流すぎたんだと思います。もちろん、一部そういう形ではないドライバーもいますけどね。交渉能力だとかコミュニケーション能力だとか、そういう世界を知る必要性はやっぱりあると思います」
「いつまでもホンダにだけおんぶに抱っこというわけにはいかないです。角田選手くらいのキャリアになれば、自分で考える必要もあると思います」
確かに他のF1ドライバーを見れば、F1デビュー時はいずれかのチームやメーカーの育成ドライバーだったかもしれないが、その後は他のメーカー系チームに移籍するのも普通のことだ。より大きく羽ばたくためには、それは避けられない。角田がさらに活躍するためには、必要なステップともいえよう。
■佐藤琢磨の言葉
HRCのエクゼクティブ・アドバイザーを務める佐藤琢磨も、今月はじめに次のように語っていた。
「裕毅はもう、ホンダのドライバーである……とか関係なく、次のステップに進むために、レッドブルでもメルセデスでも、フェラーリでも次のシートを自分で掴んできて欲しいと思っています」
「彼にはその能力も十分にあると信じています。次の若手ドライバーも育ってきているし、彼らも常にチャンスを狙って頑張ってますからね」
佐藤もF1に挑戦していた時、ホンダのドライバーとして戦いながらも、アンドリュー・ギルバート・スコットという個人マネージャーがついてサポートしていた。
さて、角田の後を追うように、ホンダ育成からF1を目指す途上にいる岩佐歩夢も、今はホンダ育成としてレーシングブルズのリザーブドライバーを務めている。しかしその岩佐でも、ホンダと別れる道を選んでも構わないと、渡辺社長は言う。
「我々がやっていることは、F2まで行って良い成績を残して、自分たちのワークスチームもしくは供給チームに対してそのドライバーを推薦する……大体はそういうパターンです。岩佐もそういうルートで来ています」
「ここから先は、我々はレッドブルと離れます。もしレッドブルに残ろうと思ったら、あとは自分でやっていくしかありません。
「今までのパターンで言えば、アストンマーティンで何らかのチャンスがあるかもしれません。でも岩佐が自分自身で、将来のことを考えて、別の道を進んで行ってもいいわけです。その選択の足を引っ張るようなことは、私たちは絶対にしません」
「もちろん、できるだけ我々のチームで走って欲しいと思います。でも、どんどん出ていってくれていいと思います。ひとりやふたりのために育成をやっているわけではありませんから」
HRCの四輪モータースポーツ室の桒田哲宏室長も、次のように語っている。
「我々にはHRS(ホンダ・レーシングスクール)があります。このスクールに参加する生徒には、将来F1ドライバーになって欲しい、日本のトップドライバーになって欲しい、世界のトップドライバーになってもらいたいという思いがあります」
「もちろんホンダのマシンでそうなって欲しいという思いはありますが、そのためだけにやっているわけではないんです。卒業生全てが、ホンダ系のドライバーになっているわけでは全然ないんです。どのメーカーだろうが、どの国だろうが、活躍してくれればそれでいいと思います」
「ホンダとは違う道を行きたいとなれば、それはもう頑張ってこいよと背中を押してあげなければいけません。そしてその時にやってあげられることがあればやってあげればいいんです。金銭的なモノだけではなくて、レースのキャリアの後の人生だったり、自分の夢を達成するために必要なことで、我々が提供できるものは、提供していきたいです」
「角田選手に関しても、お互いのいろんなことが噛み合えば、当然一緒にやっていくと思います。でもそれは我々だけで決められるモノではなく、色々なケースがあります。でも、そこで足を引っ張るようなことはするわけがありません。プロのドライバーとしてやっているわけですから。そこはお互いにリスペクトを持っていくというのが、大事なことだと思います」
■MotoGPの小椋藍はホンダを離れ成功掴む
二輪では、小椋藍が今季MotoGP最高峰クラスにデビューした。小椋はホンダの育成ライダーとしてMoto3に参戦し、Moto2に昇格。しかし、MotoGPへのデビューは、アプリリアのサテライトチームであるトラックハウスからだった。そして開幕戦で大活躍したのが記憶に新しい。
「彼の事例も、色々な言われ方をしていると思います。もちろんホンダのマシンに乗って欲しかったけど、乗ってもらえなかったんだとすると、我々の力が足りなかったんだと思います。でも、他のところに来てくれと言われるくらいのライダーを育てられたんだとすると、それはいいことだと思うんですよね。色々なところから声がかかるライダーやドライバーを育てられたら、それは素晴らしいことだと思います。そしてホンダとして欲しいと思えば、今度は取りにいけばいいわけです」
「小椋選手は、ホンダに行くのが規定路線と言われていました。本人も色々な声を聞いています。でも、そういう声を黙らせるなら、自分の力を見せるしかないわけです。それを実際にやれてるのは、すごいと思います」
ずっとメーカーが支えてくれないのは厳しいことだと思うかもしれない。しかしその段階なくして、本当の意味で世界に羽ばたくことはできないかもしれない。
桒田室長は続ける。
「ある意味厳しいと思われるかもしれないけど、厳しいのには理由がちゃんとあるんだよということを、スクールの若い子たちに話していきたいです。そして我々も勉強していかなければいけません」
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お金持ちおじさんが乗りこなせもしない数億円のスポーツカーを買うくらいなら、あと5年、年間1億円角田選手に提供するほうがよほど格好良いと評価されるだろうに。