■スライドドアを装着しないスズキ「ハスラー」なぜ販売好調?
2025年1月から8月の軽自動車販売ランキングを見ると、1位は国内販売の総合1位でもあるホンダ「N-BOX」です。
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2位はスズキ「スペーシア」、3位はダイハツ「タント」、4位はダイハツ「ムーヴ・ムーヴキャンバス」、5位はスズキ「ハスラー」、6位はスズキ「ワゴンR・ワゴンRスマイル」と続きます。
このランキングの内、1~3位は、すべて全高が1700mmを超えるボディにスライドドアを装着したスーパーハイトワゴンです。4位のダイハツムーヴ・ムーヴキャンバスは、全高は1700mm以下ですが、スライドドアを装着しています。
ところが5位のハスラーは、全高が1700mm以下で、スライドドアを装着していません。
同期間におけるハスラーの1か月平均届け出台数は7506台でした。ムーヴ・ムーヴキャンバスの9126台に比べて、1か月当たり1620台少ないですが、ムーヴ・ムーヴキャンバスは2種類のボディを合計した台数です。
そこでボディタイプ別に台数を算出すると、ハスラーはムーヴ・ムーヴキャンバスを抜いて、N-BOX、スペーシア、タントに続く4位に浮上します。
今の軽自動車では、背の高いスライドドアを装着した車種が圧倒的な売れ筋です。そこでムーヴも現行型(7代目)ではスライドドアを装着しましたが、ハスラーだけは横開きのドアで好調に売れています。その理由は何でしょうか。
一番の理由は、ハスラーが背の高い軽自動車でありながら、SUVの特徴を兼ね備えることです。
フロントマスクには丸型ヘッドランプが備わり、悪路向けのSUVとして人気の高い「ジムニー」を連想させます。
最低地上高は180mmと余裕があり、悪路のデコボコも乗り越えやすいです。カッコ良さと優れた実用性を両立させました。
この特徴は内装にも反映されています。荷室や後席の背面には、汚れを防止する素材が貼られ、後席の格納時も含めてアウトドアグッズを気兼ねなく積めます。
後席の背もたれを前側に倒すと、座面も連動して下がり、床の低い平らな空間に変更することが可能。ハスラーは全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンではありませんが、大きな荷物も積みやすいです。
後席の前後スライドや座面の昇降機能は、すべて左右独立式ですから、シートアレンジはN-BOXやスペーシアなどのスーパーハイトワゴンと同様です。全高が1700mm以下の軽自動車ではシートアレンジは充実しています。
そしてハスラーは、関心が高まっている車中泊にも重点を置いています。
後席の背もたれを前側に倒して、車内の後部を平らな荷室にします。次に前席の背もたれを後方へフルにリクライニングさせると、平らになった荷室と連結します。
この状態で、ディーラーオプションとして用意されるリラックスクッション(価格は2万5800円)などを使うと、車内全体が柔らかいベッドスペースになるのです。
またフロントプライバシーシェード(2万6620円)、リヤプライバシーシェード(2万7830円)も併用すると、車内が外側から見えなくなります。
ボディサイドに装着して日陰を作るカータープ(4万5100円)など、ハスラーには車中泊に役立つさまざまな用品がそろっています。
ハスラーを購入するか迷っている時に、これらのディーラーオプションを見ると、購入した後の想像が膨らみます。それが実際の販売に結び付くというわけです。
■軽の王者「N-BOX」よりも優れているところは?
豊富なボディカラーも、ハスラーを選択する理由のひとつでしょう。特別仕様車の「タフワイルド」も含めると、外装色はモノトーンが6色、2トーンは9種類の組み合わせがあります。
色彩にも工夫を凝らしました。例えばベーシックなグレードに装着される鉄製のホイールも、ペイントしてオシャレに仕上げています。
スチールホイールは、通常はホイールキャップを装着して鉄製であることを隠しますが、ハスラーはあえて素材を生かしており、ボディカラーがブルーとベージュの2トーンカラーなどでは、鉄製のホイールがホワイトになり、カジュアルな外観を実現しました。
基本的な性能では、WLTCモード燃費も注目されます。ターボを装着しない自然吸気エンジンの2WDなら、WLTCモード燃費は25km/Lに達します。
国内販売1位のN-BOXは、最も優れたグレードでも21.6km/Lとなっており、仮にN-BOXからハスラーに乗り替えると、数値上は燃料代を14%節約できます。
ハスラーは価格も割安です。マイルドハイブリッドを搭載するベーシックな「G」は、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能を充実させて、2WDが151万8000円です。
前述のN-BOXは、天井が高く電動スライドドアなども備えるため、最も安価な標準ボディでも173万9100円に達するのですが、ハスラーなら、SUVの内外装を採用した上で、N-BOXの標準ボディよりも約22万円安く購入することができます。
このようにハスラーは、スライドドアを備えたスーパーハイトワゴンが全盛の時代に、SUVが備えるカッコ良さと実用性、優れた燃費、アウトドアで快適に使える豊富なディーラーオプション、割安な価格などによって販売が好調です。
この状況を販売店ではどのように見ているでしょうか。
「今はスライドドアを備えたスペーシアやワゴンRスマイルの人気が高いですが、スライドドアが不要なお客様もおられます。スライドドアが付く軽自動車は、価格が高いと指摘されることもあります。ハスラーはこのようなお客様に選ばれることが多いです。
スライドドアがなくても外観がカッコ良く、収納設備は豊富で荷室も使いやすい。スライドドアのない軽自動車では一番魅力的でしょう」
それならスライドドアを装着していないほかの軽自動車はどうなのでしょうか。
「ワゴンRは登場して8年を経過して魅力が下がりました。アルトは法人のお客様が多く、ラパンは独身女性が中心です。ジムニーは全然違うクルマです。そうなると車内が広く実用的で、スライドドアの付かないクルマは、実質的にハスラーだけです」
新型になったムーヴも含めて、スライドドア装着車が増えた代わりに、横開きドアの車種は大幅に減りました。しかも他社の商品は、販売が低迷しています。
ダイハツ「タフト」はハスラーのライバル車ですが、2025年1月~8月の1か月平均は4203台で、ハスラーの50%少々、ホンダ「N-WGN」の1か月平均が2429台で、ハスラーの約30%に留まります。
このような事情で、全高が1600mmを超える横開きドアの軽自動車に対する需要がハスラーに集中しています。
販売店からは「ルーフレールなどを装着するタフワイルドなど、魅力のある特別仕様車を定期的に投入していることも人気の秘訣です」という話が聞かれました。
ハスラーはさまざまな理由により、スライドドアが不要なユーザーを含めて幅広い人達から支持されています。その背景にあるのは、日本のユーザーを見つめる綿密な商品開発なのでしょう。(渡辺陽一郎)
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みんなのコメント
子供、老人を乗せないならばヒンジドアで十分ですよ。
スライドドア、特にパワースライドドアは車重を重くするし、価格も高くなってしまうから、この手の車を遊び倒そうという人には向いてないと思いますよ。
不要の人がハスラーを選ぶだけで、ハスラーにスライドドアは望まない