この記事をまとめると
■コロナ禍以前と比較してタクシー運転士はやや不足気味だ
外国人がビックリする日本のタクシーの「自動ドア」 ただし自動ドア由来の事故が無視できないほど多い現状
■外国人留学生を特定技能タクシー運転士として迎え入れようという動きがある
■日本のタクシードライバーも英語力が求められる時代になってきている
タクシー運転士に外国人実習生を使うことへの是非
一般社団法人・全国ハイヤー・タクシー協会の統計によると、2024年7月31日時点でのタクシー運転士の充足率(新型コロナウイルス感染拡大直前となる2020年3月31日とのタクシー運転士数の比較)は84.9%となっている。
スマホアプリによるタクシー配車サービスという、まさに業界に革命をもたらしたデジタルツールの本格普及、インバウンド(訪日外国人観光客)の増加など、タクシー運転士という仕事には追い風が吹いている状況に見えるなか、よりインバウンドやデジタルツールの恩恵を受けやすい都市部を中心に、「タクシーは稼げる仕事」ともいわれるようになった。女性運転士の増加や、運転士の入れ替えによって全体では若干であるものの、運転士の若年化も目立ってきた。とはいえ、それでも思うように各事業者は新規運転士を確保できないままでいる。
普通一種のみをもつ異業種からの転職希望者が多いなか、養成乗務員として事業者負担で二種免許取得のために教習所に通うことになるのだが、教習所が混雑しており、タイミングによっては入所まで長期間待たなければならないこともあるようで、「受け入れ体制の再整備も必要ではないか(半ば形骸化している二種免許の存在自体を疑問視する声もある)」との声も業界内では出ている。
そんななかで注目されているのが、外国人運転士の導入である。
2024年3月に特定技能制度の対象分野に特定技能ドライバーが追加された。当初、特定技能タクシー運転士としての資格要件は以下のようになっていた。 (1):第二種運転免許をもつこと
(2):自動車運送業分野特定技能1号評価試験合格
(3):日本語能力試験(JLPT)N3以上 しかし、ここへきて日本語能力試験については、N3よりひとつ下となるN4、いわば資格要件の緩和を検討しているとの報道が流れている。さらには、そもそも働き手不足の解消といった狙いで外国人運転士の導入が進んできたのに、日本語能力についての資格要件を下げ、日本語サポーターを同乗させて営業運行を行いながらN3資格取得をめざし、取得後の独り立ち(ひとりでタクシーを運行する)を促すという、どこか本末転倒的な話にもなってきて、議論を呼んでいる。
すでに路線バスではインドネシア人運転士がデビューして話題となり、そしてタクシーではベトナムの自動車教習所と日本の教習所が協定を結び、積極的にベトナム人運転士を日本のタクシー業界に送り込もうとの動きも出てきている。
そもそも、日本以外の多くの先進国では、移民となった直後に手っ取り早く、しかも歩合給なので金額も稼げるとのことで、「タクシー運転士は移民の多い仕事」ともいわれている。移民国家アメリカのニューヨークでは、母国でも英語が公用語となっているインド系移民が多いとされていた。
ちなみに余談だが、筆者はニューヨークで、インドではなくパキスタン系移民が運転するタクシーに乗ったときに、筆者が日本人と知ると「日本で中古車ビジネスをしていた友だちがいる」と、わざわざ車内からハンズフリー電話でその友人に電話し、その友人と日本語で話をして盛り上がったことがある。
その昔はイラン系運転士が多いとされていたロサンゼルスでも、最近は東ヨーロッパ系移民の運転士が目立つようだ。見た目は白人のオジさんだったので、片言の英語で話しかけたら、「英語はほぼわからない」といわれ、よく聞くと最近になって東ヨーロッパから移民したばかりとのことであった。ドイツだと、タクシー運転士はトルコ系移民の多い仕事として有名である。
どこまで行くかなど、最低限のやりとりができればあとは安心・安全に目的地までお客を乗せるのがタクシーにおける最大のサービスなので、海外におけるタクシーの在り方としては、筆者としてはこれで十分とも考えている。
また、最近の海外では、カーナビゲーションに忠実に走らないと、料金や所要時間でトラブルになることもあり、ルート検索してその案内どおりに走るのが半ば当たり前となっているので、「どこへ行きますか?」と聞いて、乗客のいうことさえ理解できれば、言葉の問題はそれほどハードルとはならないはずだ。
また、海外の完全ライドシェアでは利用者が事前に目的地を入力してマッチングし、料金も事前確定するので会話すら必要としないほど。こうなれば、ますます移民の仕事となっていきそうである。
これからのタクシードライバーに英語力はマストか
ところが日本は、ほかの先進国ほど都市設計が行き届いていないので、番地などで伝えるよりも、「●●郵便局の近く」など、ざっくりしたランドマークを告げてとりあえず目的地に向かってもらうという乗り方も多く、海外のライドシェアのようなデジタルツールの普及もいまひとつなので、やはり日本語能力の有無というものは気になってしまうのかもしれない。
若い世代の運転士ではカーナビを積極活用しているが、タクシー運転士が目的地までの経路を乗客に確認しなければならない。カーナビで最短ルート検索しても、「そのルートでは不吉だ」と客から自分のお好みルートを通るよう要求されることなども多いからだ。
日本語もさることながら、日本は英語教育に問題があるのか、Z世代などとも呼ばれる若い世代であっても、誰でもスラスラと英会話ができるという状況ではない。いまどき中国の都市部の若者ならば、ネイティブ英会話ができて当たり前だし、東南アジア各国でも、ホテルなどではなくとも、英語でコミュニケーションが取りやすいのだが、日本はその点において、インバウンドはコミュニケーションに困っているようにも見える。タクシー運転士の世界も状況は同じだ。
それでも異業種からの比較的若い世代の転職者も増えてきており、そのようななかで、語学力のある運転士は富裕インバウンドが多く宿泊する東京都内の五つ星外資系ホテル専属だったり、たまたま乗り合わせた富裕インバウンドからの貸切乗車予約などを得やすく、おいしい仕事にありつくことができていると聞いている。
縁あって海外からタクシー運転士を呼び込むことになったのだから、英語が母国でも公用語としてよく使われる国から労働者を呼ぶというのも、そう考えるといいのかもしれない。
たとえばフィリピンやインドでは国内で英語がよく使われている。事実、筆者はインドへ行くと英語でコミュニケーションをはかっている(デリーではヒンディー語がもっと地元には根付いているようであり、ヒンディー語を覚えろと地元のひとにいわれたこともある)。
ただ、インドやフィリピンは、すでにアメリカ企業のアメリカ国内のコールセンター業務を担っていたりもする(アメリカ国内で電話をするとインドやフィリピンにコールセンターが置かれていてそこに繋がり対応する形)ので、日本がいまさら入り込む余地はないのかもしれない。フィリピンからアメリカへ看護師として出稼ぎにいくフィリピンのひともいると聞く。アメリカの富裕層向けの介護施設などで働くと稼ぎがよく、出稼ぎでありながら、マイカーとして現地でレクサスに乗っている……ということもあるそうだ。
それならば、インドネシア人やベトナム人であっても、英語による基本的な会話力を身につけたひとを採用するというのもありかもしれない。新興国では外国語が話せることは好条件の職に就きやすくなり、即収入アップにつながる。観光業だけではなく英語やフランス語、ドイツ語、そして日本語が話せれば、それら外資系企業の現地法人に勤務することができるからだ。そしてもちろん、「外国語を覚えよう」という向上心のあるひとのほうが、採用する側目線で見ても好印象なのは間違いない。
すでにほかの先進各国でも、タクシー運転士というのは働き手不足となって久しいと考えていいだろう。そして移民がその不足の穴を埋めているのが実情だ。日本もいまの流れを見るに、本格的な移民社会へ舵を切ってきているように見える。
とはいえ、自動運転タクシーというものがいよいよ本格化しようとしているなかでは、外国人運転士はその過渡期の対策となるともいえる。技能実習生は滞在期間が決められているからだ。
一方で、日本で得られる収入自体が、他国に比べると際立って魅力的なわけではないが、タクシー運転士は歩合給が高いことに外国人も注目している。そのなかで日本を目指す外国人は、諸外国と比較して際立って安い医療費などといった、高い社会保障制度に魅力を感じているという。
より優秀な人材を海外から得ようとするならば、やはり国内定住を前提とした移民という形のほうが望ましいのかもしれない。
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