かつてのアストンマーティンといえば、4000万円超のモデルが複数ラインナップされていた。今以上に手の届きにくかった当時のアストンマーティンを武田公実が振り返る。
フェラーリF40に匹敵した新車価格
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今年7月31日から8月2日まで、千葉・幕張メッセで開催された「オートモビル・カウンシル(Automobile Coucil)2020」では、日本国内のクラシックカー・スペシャルショップが、自慢の商品車両を並べていた。
中でも、異彩を放っていたのが「アトランティック・カーズ」のブース。かなり広めのスペースに置かれていたのは、同社が日本総代理権を保有している当代最新のハードコア・スーパースポーツ、ダラーラ「ストラダーレ」と、かつて正規インポーターとして輸入・販売していたアストンマーティン「ヴァンテージV550」の2台だけだった。
ダラーラが興味深いのはもちろんのことながら、英国製の大排気量スーパースポーツに目のない筆者が強烈に惹かれてしまったのは、デビュー時には「V8ヴァンテージ」と呼ばれていた、後者のアストンマーティンである。
アストンマーティン・ヴァンテージV550というクルマについて述べるなら、まずはその前身である元祖「ヴィラージュ」についても、少しだけ触れる必要がある。
1989年に発表されたアストンマーティン・ヴィラージュは、1960年代から綿々と生産されてきた「DBS」あるいは「V8」の後継モデルである。DBS時代からの基本設計が踏襲されたV8・4カムシャフトのエンジンは、当時のトレンドに従って気筒あたり4バルブとされたほか、ボディスタイルも1990年代風にモダナイズされていたものの、シャシーは最終期のV8シリーズ5と大きくは変わらないものだった。
つまり、1990年代のクルマとしては相当に前時代的、あるいはゴシック的ともいえるモデルだったが、その荘重さこそが旧来のアストン・ファンには唯一無二の魅力として映っていたようだ。
そして1993年、ヴィラージュの高性能版に位置づけられたニューカマーが「V8ヴァンテージ」という名称で登場した。
5.3リッターV8エンジンには、機械式スーパーチャージャーが与えられて550psにパワーアップ。最高速は320km/hを標榜した。またボディはドアとルーフ以外、ヴィラージュとはまったくの別モノ。前後のフェンダーをワイド化したほか、フロントマスクもディラン(悪役)感を増し、リアもテールランプを丸型4灯にするなど、そのアピアランスは迫力たっぷりに変貌した。
1998年にパワーアップ版である「ヴァンテージV600」が登場したのちは、さかのぼって「ヴァンテージV550」の名で呼ばれることになるものの、「V550」と「V600」を合わせても、製作台数はわずか244台という非常に少ないものだった。
Dirk de Jager ©2020 Courtesy of RM Sotheby'sDirk de Jager ©2020 Courtesy of RM Sotheby'sアトランティック・カーズの前身である「アトランティック商事」は、ちょうどこのヴァンテージが導入された1993年から、アストンマーティン・ラゴンダ社の日本総代理権を取得。2003年までその座にあった。
同社では、「V550」には6速MT版で4170万円、AT版では4550万円。V8ヴァンテージとボディを共用しつつも、スーパーチャージャーを廃した大人しい「V8クーペ(ATのみ)」でも、3320万円という価格を設定した。
また1990年ごろから輸入がスタートしたヴィラージュについては、詳細な価格を失念してしまったが、たしか同時代のベントレー「コンチネンタルR」とほぼ肩を並べる、3900万円くらいだったとおぼろげに記憶している。
つまり同時代でいえば、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドが4500万円で販売していた「F40」にも比肩しうる超高価格車。それが、この時代までのアストンマーティンだったのだ。
Patrick Ernzen ©2019 Courtesy of RM Sotheby's高価だったのには、然るべき理由があった
ヴィラージュとその係累のアストンマーティンは、なぜそれほどまでに高価だったのか?
今世紀に入ったのちにデビューした「DB9」以降のアストンマーティンは、ウォリックシャー州ゲイドンの空軍基地跡地に新設された、近代的なファクトリーで量産されている。一方、ヴァンテージV550を含むヴィラージュ系までのアストンマーティンは、バッキンガムシャー州ニューポート・パグネルに設けられていた旧工場で、長らく少量生産がおこなわれていた。
Nick Dimblebyニューポート・パグネル工場を記録した古い写真や文献を見ると、1990年代にあっても第2次世界大戦前のごとく、文字どおりの手づくり。ボディワークやインテリアの設えはもちろん、エンジンの組み立てに至るまで生産ラインのたぐいは無く、熟練工たちによる手作りだった。
また、アストンマーティンを一気に近代化したモデルといわれる「DB7」が1994年に登場するまで、その生産規模はフェラーリよりもさらに小さなものだった。ちなみに、1990年から2000年までにヴィラージュ系すべてを合算しても、生産台数は1150台に過ぎなかったといわれている。
すなわちニューポート・パグネル工場で作られていた時代のアストンマーティンは、旧き良き伝統を体現したモデルであるがゆえに、必然的に高価な値付けとなった。それが、かつて4000万円オーバーの価格を標榜した、唯一にして最大の理由なのである。
ちなみにオートモビル・カウンシル2020において、アトランティック・カーズがヴァンテージV550に設定したプライスは2380万円!
このモデルの現市況を、インターネットで調べてみると、イギリスの専門業者がV550ないしはV600を売りに出すときの相場価格が、おおむね18~23万ポンド(約2500~3200万円)くらいだったから、なかなかお買い得にも感じられてしまうが、いかがであろうか?
文・武田公実
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