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〈アジアから“世界”へ〉小椋藍とIDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦:アラゴンで見えた経験不足。「結果はダメだったが、理解できたことは他より多かった」

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〈アジアから“世界”へ〉小椋藍とIDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦:アラゴンで見えた経験不足。「結果はダメだったが、理解できたことは他より多かった」

 第13戦アラゴンGPで8位のチェッカーフラッグを受けた小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)は、21周の決勝レースを終えて、「経験不足、ということがまずひとつ。そして、ライダーとしてそれに対処できる幅がまだまだ足りない、ということがさらにもうひとつ。そんなレースでした」そう述べて、自身のパフォーマンスを総括した。

 戦いの舞台モーターランド・アラゴンは、前半区間が上り、後半は下り、とメリハリのはっきりした全長5,077メートルのコースで、右7・左10からなる計17個のコーナーは、低速から高速まで多彩にレイアウトされている。

■〈アジアから“世界”へ〉小椋藍とIDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦:表彰台後には別の試練。小椋と上位勢の“実力差”が結果に反映

 後半区間に配置された、右左の切り返しから続くバックストレートは968メートル、と非常に長い。このようにバランスの良いデザインとも相俟って、選手たちからの人気は高いサーキットだ。小椋は、「どちらかといえば好きなコース」と話すとおり、Moto3初年度の2019年にはここで世界選手権初表彰台となる2位に入っている。

 とはいえ、排気量が765ccもあるMoto2の場合は、バイクの走らせかたやレースの戦いかたなど、多くの面で250ccのMoto3とは違いがある。中排気量初年度の小椋の場合、今シーズンは新たな学びの連続だが、日曜午後、現地時間12時20分に始まった今回の決勝レースでは、今まで経験したことのなかった事象が発生したという。

 2列目5番グリッドからスタートした1周目はポジションをひとつあげて4番手とし、3周目には3番手に浮上した。その後、チャンピオンシップポイントで首位をゆくレミー・ガードナー(Red Bull KTM Ajo)の背後でしばらく走行したが、5周目に小椋のラップタイムがいきなり大きく下がった。


 ガードナーが1分53秒台半ばで周回していたのに対し、小椋は54秒2。直後を走る選手たちもことごとく53秒台を維持していたのに対し、小椋のみがその後も54秒台中盤から後半のラップタイムに低迷したため、後方の選手たちにも次々とオーバーテイクされて順位を落としていった。

「レース中に初めて抱える問題……というか、いままで経験しなかったことが起こって、それがかなり大きく影響しました」

 と、このときの様子を振り返る。

 発生したのは、フロントのグリップ感がいきなり一気に下がってしまう、という事象だ。

「いろんなライダーたちのコメントから、大きいバイクではそういうことが起こると聞いてはいたんですけれども、自分自身で経験したのはこれが初めてでした」

 前の選手のスリップストリームなどについて走行していると、自分自身は前面から風を受けることがないために、フロントタイヤが蓄熱して温度と内圧が上昇し、このような現象が発生することがある。

「しかも、一瞬のうちにかなりそれを強く感じてしまったので、びっくりして(感触を)探っているうちにタイムを落として、そこから少しずつ自信をふたたび作り上げていっても、挽回するには全然足りなくて、ダメでした」

 5周目にはガードナーの直後にいたはずの小椋は、後方から次々とオーバーテイクされ、全周回の半ばを過ぎた12周目には8番手にまで下がっていた。

「アラゴンにはいろんなタイプのコーナーがあって、低速コーナーでは上位の選手たちに対して差を詰めることができていたんですよ。でも、ブレーキをしてフロントを使っていくのは、むしろ小さいコーナーじゃないですか。大きいコーナーは今回はダメで、速い選手たちと比べるとアドバンテージはなかったので、高速コーナーで遅れる分だけ低速コーナーで取り返さなきゃいけないんですが、フロントの問題が出るのは小さいコーナーだから、差はどんどん広がって悪化する一方でした。初めてのことだから、過剰に反応しすぎちゃったんですね。『エッ!?』と思ったあと、そこから走りをうまく切り替える余力もなくて、限界のような状態でした」

 その後、周回を重ねてゆくにつれ、前後を走る選手たちのラップタイムも少しずつ落ちてきたことで、苦戦をしていた小椋のタイムと相対的にバランスが取れることになった。最後の数周は、全員が厳しい状況のなかで4台ほどのバトルになった。

 結果は、冒頭にも記したとおり8位。このポジションも、優勝者から17秒というタイム差も、けっして満足できるようなものではないだろう。だが、今回のレース中に初めて直面したことは、今後に向けて貴重な経験になった、とも小椋はいう。

「ただスピードで負けて何かが足りなかった、とかそういうことじゃなくて、今回はいろんなことを経験したので、結果はダメでしたけど、わかったことは他のレースのときよりも多いですね。だからその分、次の週末では決勝レースに向けた見極めなども、今回よりさらに濃いものにできると思います。だってそうじゃないと、今日のレースでダメだったことの意味がないし、アラゴンの経験から学びました、とも言えなくなっちゃいますから」

 第14戦サンマリノGPは、アラゴンGPから2週連続開催で17日午前10時55分(日本時間午後5時55分)にMoto2クラスの走行がスタートする。アラゴンで洗礼を受けた厳しい経験を有効に活かすためにも、この連戦スケジュールは小椋とIDEMITSU Honda Team Asiaの面々にとって〈鉄は熱いうちに打て〉という金言を実践する、まさに好機になるだろう。

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