ブランニューカーは数多く登場しているが、定着して代を重ねているモデルは少数派だ。何世代にもわたり作り続けられているモデルの偉大さを痛感する。
ブランニューカーとしてデビューした後、その後に代を重ねられるかの重要なカギを握っているのが2代目だ。売れているクルマのモデルチェンジは難しい、というのはクルマ界の定説だが、2代目の失敗によりモデル消滅するケースは多い。
【評価大逆転!!】発売当初の人気が低かったのに大ヒットしたクルマ5選
どのクルマも初代に比べて進化しているにもかかわらず苦戦して、最終的には消滅へのトリガーを引くことになってしまった要因はどこにあったのか?
文:永田恵一/写真:TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI、NISSAN
【画像ギャラリー】憂鬱とは無縁!! 絶好調の2代目モデル10選
トヨタイスト
販売期間:2002~2007年(初代)、2007~2016年(2代目)
ヴィッツと同じプラットフォームを使った初代イストはSUVルックのエクステリアデザインが与えられたクロスオーバーコンパクトとして大人気
1999年デビューのヴィッツで登場したトヨタの新世代コンパクトカーのプラットフォームのNBC(ニュー・ベーシック・コンパクト)を使って、今でいうSUVに仕上げたクロスオーバーコンパクトカーが初代ist(以下イスト)だ。
オーバーフェンダー風の前後フェンダーラインをはじめとするスタイリッシュなエクステリアデザイン、ヴィッツよりも広い室内などがウケて、デビュー時には4万台を超えるオーダーが入るなどコンパクトカーにセンセーションを巻き起こした。
大人気モデルとなった初代を受けて2007年に登場したのが2代目だったが、なんと、全幅が1725mmの3ナンバーサイズとなって登場。今で考えれば1725mmの全幅はかわいいレベルだが、当時としては大問題だった。
ボリューム感を増してよりSUVテイストに仕上げられている2代目。しかしアメリカマーケットを考慮に入れて全幅を1725mmと3ナンバー化したのが大失敗
イストは初代の途中からサイオンブランドで北米でも販売されるようになった。アメリカでは1695mmの全幅は狭すぎるというので大型化に踏み切ったのだ。デザインもどことなくアメリカ人が好みそうなテイストに仕上げられていた。
初代の人気が嘘のように、販売は低迷。販売が低迷すれば知名度も低くなり、日本での存在感を失った。海外の事情を考慮して大型化して日本で失敗する典型となってしまった。
トヨタbB
販売期間:2000~2005年(初代)、2005~2016年(2代目)
シボレーアストロを彷彿とさせるボクシーかつワイルドな雰囲気のエクステリアデザインが若者だけでなく幅広い年齢層から支持された初代bB
トヨタが若者に向けて放った一撃が初代bBで、クルマ好きの若者が集う東京オートサロンで先行公開。ドレスアップメーカー、チューニングメーカーにオリジナルモデルを作らせるなど異例の新車公開となった。
1990年代に大流行したシボレーアストロを彷彿とさせるワイルドなフロントマスクが特徴で、若者だけでなく広い世代から人気を得た。先行公開などの効果もあり、初期受注は3万台を超えた。
販売面では成功したとは言えないが、観音開きドアのピックアップ、オープンデッキを追加するなど、トヨタのイケイケ感は凄かった。
ヒットモデルのフルモデルチェンジは難しい、というのはクルマ界の鉄則だが、bBもその例に漏れず苦戦することになった。デビュー時は1万台を超える受注をマークしたものの、それほど長続きせず失速してしまった。
2代目は随所にエッジが配された複雑な面構成で、一見スタイリッシュになったように思えるが、初代の飾り気のないシンプルさの魅力には勝てず。
エクステリアは洗練されているが、アクが強く好き嫌いがわかれるデザインとなった2代目。メーカーはニーズに応えようと頑張ったがユーザーは飽きるのが早かった
DJブースをイメージさせるイルミネーションなど初代にない魅力をアピールしたが、メーカーが一生懸命になればなるほどユーザーが逃げていく、という形になってしまった。
ワルでワイルドな感じをアピールしていたが、ユーザーが気恥ずかしくなった、興味の対象が違うところに向いた、というのが消滅する要因となっている。
トヨタラクティス
販売期間:2005~2010年(初代)、2010~2016年(2代目)
大ヒットしたファンカーゴの後継モデルとしてデビューした初代ラクティス。奇をてらわないシンプルなデザインが好評で、走りもファンカーゴより洗練された
初代は大ヒットしたファンカーゴの後継モデルとして2005年にデビュー。ファンカーゴからの進化は多岐にわたり、室内スペースはもちろんのこと、豊富なシートアレンジなどのユーティリティに加え、軽快な走りにこだわった点が大きく違う点だ。
ファンカーゴがゆるキャラ的なファニーなエクステリアだったのに対し、初代ラクティスはスポーティなイメージに仕上げられていて、ユーザーから好評だった。
2代目はキープコンセプトで初代の正常進化モデルで、初代で指摘されていたリアの居住性などを大幅に改善して登場となった。スバルにトレジアとしてOEM供給も始めた。
初代からの正常進化となった2代目。クルマとしては初代よりも魅力アップしていたが、フィット、ノートを相手に苦戦が続き、そのまま消滅してしまった
クルマとしては熟成され、内外装の質感も大幅アップして魅力的になったが、大きな壁が立ちはだかった。
コンパクトカーで相変わらずの強さを発揮するホンダフィットにはかなわないまでも健闘していたが、2013年に日産ノートがフルモデルチェンジして魅力アップ。両モデルを敵に回し、ラクティスは苦境に陥ってしまった。
結局ラクティスの消滅でこのカテゴリーからの一時退散となったトヨタだが、理由はどうであれ結果的にライバルに駆逐されるというのは珍しい。
新型ヤリスをベースとしたハイトワゴン系モデルが追加されるのが確実視されているが、トヨタのリベンジなるかに注目だ。
ホンダストリーム
販売期間:2000~2006年(初代)、2006~2014年(2代目)
オデッセイより小さく扱いやすい5ナンバーサイズの乗用タイプミニバンとしてデビューし、使い勝手のよさもあり一気に人気に火が付いた初代ストリーム
乗用タイプミニバンの雄、オデッセイの下に位置する5ナンバーサイズの手頃な大きさの乗用タイプミニバンとして2000年にデビューしたのがストリームだ。
オデッセイよりも車高が低いため、より軽快なハンドリングはミニバンナンバーワンと言われるホンダらしさ満載で、販売も絶好調。
まったく同じサイズで2001年にトヨタウィッシュが登場したのを受けて、2003年9月にマイナーチェンジを敢行。
しかし、このマイチェンで雲行きが怪しくなった。
オデッセイ譲りの走りに特化したアブソルートの新設定がマイチェンの最大のトピックだったが、標準モデルはほのぼの系の顔から、シャープな顔に変更、新設のアブソルートは超絶個性的な顔という好き嫌いがわかれる顔になった。
走りに特化したアブソルートだったが、写真を見てもわかるとおりかなり個性的で好き嫌いがわかれるフロントマスクが与えられていた。ホンダが迷走してる感がアリアリ
残念ながら、嫌いのほうが多くなってしまい、フロントマスクの変更が仇となった。
同じコンセプトのスッキリ系デザインのウィッシュの登場による販売の影響も当然あったが、ストリームの場合は自滅した感が否めない。
2代目はストリームの存在感が薄くなった状態でのデビューとなったのに加え、ハイブリッドカーにユーザーの関心が移り、乗用タイプミニバン自体の人気が凋落していたというトレンドも痛手だった。
クルマの完成度としては初代を大きく凌駕した2代目だったが、乗用タイプミニバンの人気の凋落したのが痛かった。ハイブリッドが出ていれば……、と悔やまれる
特に2代目はデビューした時から、初代を凌駕するホンダ車でナンバーワンのハンドリングと言われるクルマに仕上げられていたが、ユーザーのニーズはそこにはなかった。
2010年には2列シート5人乗りのワゴン仕様を追加したが奏功せず、ストリームとオデッセイを統合したと言われているジェイドに引き継がれた。
三菱ディアマンテ
販売期間:1990~1995年(初代)、1995~2005年(2代目)
5ナンバーサイズに縛られていた日本のセダンにあって全幅1775mmの堂々とした3ナンバー専用ボディで登場した初代ディアマンテは大ヒット
ミドルクラス以上のセダンマーケットはトヨタと日産がほぼ独占するなか、1990年にデビューしたのが三菱ディアマンテだ。
初代ディアマンテは販売面で成功したが、1989年4月の税制改正を抜きには語れない。税制改正前の自動車税は、3ナンバー車は3Lまでは8万1500円だったのに対し、改正後は単純に排気量に応じたものに変更された。
そのジャストタイミングで登場したのが初代ディアマンテで、税制改正を見越して全幅1775mmのワイドボディを採用し、ワイド&ローフォルムのセダンとして大人気となった。
5ナンバーサイズの制約に縛られていたクラウン、マークIIといった人気セダンも大型バンパーの採用、モール類を追加して3ナンバーボディとしたが、最初から3ナンバーサイズで設計されていたディアマンテより見劣りした。
2代目ディアマンテは初代から静粛性、質感、走りのポテンシャルとも大幅進化したが、セダン受難時代に泣かされた悲運の1台といえる
その偉大な初代の後を受け、2代目は1995年にデビュー。スタイリッシュなラグジュアリーセダンの初代に対し、ボリューム感が増しスポーティ感を高めて登場。
270psのFFスポーツモデルの設定、自慢の4WD、ハイテク満載の装備など初代を上回る魅力を備えていた。マイチェンではGDIエンジンも搭載するなど、注目を集めたが、時代が悪すぎた。
クルマとしての魅力は充分にあったし、買い得感の高い価格設定でもあったが、すべてはセダン受難時代に足を引っ張られてしまった悲運の1台でもある。
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