■「B9(ビーナイン)スクランブラー」がやっぱりカッコイイ?
2003年秋に開催された「第37回東京モーターショー」で、スバルから個性的なコンセプトカーが出展されました。2人乗りオープンカーのコンセプトモデル「B9(ビーナイン)スクランブラー」です。
【画像】超カッコイイ! スバル「"2人乗り"オープンカー」を画像で見る(30枚)
そんな同車に対して、現在でもSNSなどでは様々な反響があります。
B9スクランブラーのコンセプトは、「ラフロードでも走れるオープンカー」。当時のプレスリリースでも、「オンロード・ラフロードを問わず、オープンエアモータリングを楽しみたいという想いを表現」と発表されています。
走破性に優れた名車を発売してきたスバルだからこそ、オンもオフも走れるオープンカーという発想にたどり着いたのでしょう。
B9スクランブラーをデザインしたのは、アルファロメオからスバルに移籍したカーデザイナーのアンドレアス・ザパティナス氏。その特徴的なデザインは「将来のスバルデザインを示唆するもの」と評価されました。
足回りには径の大きなランフラットタイヤが装着され、サスペンションにはオートレベライズ機能を採用。エアサスペンションを使用することで、最低地上高も150mmから200mmの間で調整可能となりました。
最低地上高を200mmにすると、スズキ「ジムニー」(最低地上高205mm)とほぼ同等の高さになります。
大径タイヤを収める大きなホイールアーチが強調され、全長4200mm×全幅1880mmという短くて幅広いボディの上半分は上方に絞り込まれました。ボディ下半分にはつや消し風の処理が施されており、悪路を走るイメージが盛り込まれています。「このクルマは、ボディを上下に分けるスバル独自のエレメントで個性を出しました」と語るのはデザイナーのアンドレアス・ザパティナス氏は語っています。
また、正面から見た航空機をモチーフにした「スプレットウィングスグリル」をフロントに採用。航空機メーカーの中島飛行機を出自とするスバルらしい選択です。このグリルは、同年春にジュネーブショーで発表されたコンセプトカー「B11S」で初めてお目見えしたデザインでした。
凝った造りのフロントとは違い、リアビューはシンプルに仕上げられています。ボリューム感のあるテールに丸目のライト。シンプルですが、個性的で存在感のあるデザインです。フロントからリアまで、総じて未来のクルマをイメージさせる斬新なデザインといえるでしょう。
内装も、外観と同じく未来をイメージさせるデザインで統一されています。まるで翼のようなダッシュボードや上半分だけを形にしたステアリング、浮かんでいるように見えるシフトレバーや未来的なメーターパネルなど、どれも未来のクルマを連想させるものばかりです。
パワートレインには、SSHEV(Sequential Series Hybrid Electric Vehicle)というハイブリッドシステムが採用されました。高性能モーターで、時速80km前後までの実用領域のほとんどを駆動できるようにしています。
スムーズな加速や優れた燃費性能、クリーンな環境性能を実現する理想のシステムとうたわれました。モーター出力で足りない場合はエンジンがモーターをアシストし、時速80km以上ではエンジンの駆動がメインとなるよう設定されています。
B9スクランブラーに搭載されるのは、スバル伝統の水平対向式エンジンである「EJ20」型。エンジン後方に並べられるのは、発電機、モーター、トランスミッション、後輪駆動用プロペラシャフト。こちらもスバルお得意のシンメトリカルAWDで構成されています。
気になる出力性能は、エンジンが最高出力101kW(137PS)、モーター出力が100kW(135ps)の合計201kW(273ps)。エンジンとモーターのバランスの良い組み合わせが魅力のひとつでした。
カーファンから高評価を受けたB9スクランブラーですが、残念ながら市販化にはたどり着きませんでした。「B9」の名は、その後2005年に北米市場で発売された大型SUV「B9トライベッカ」へと継承。スバル独特のデザインとして注目されたスプレットウィングスグリルも、B9トライベッカのほか「R1」「R2」「インプレッサ」など、2000年代前半のスバル車に引き継がれるかたちとなりました。
※ ※ ※
スバルならではのアイデンティティが随所に見え隠れするB9スクランブラーですが、現在でもSNSでは多くのファンからさまざまな声が集まっています。
一番多く見られるのは、「かっこいい」「アルファロメオみたいなデザインがいい」「今じゃ本当に夢のクルマ」「なぜこんなにも美しいのか」など、その魅力に共感する声。
また一般発売を期待していた声も多く、「ところでなんでB9スクランブラーのままで出さなかったの」「当時、B9スクランブラー販売を楽しみにしていました」「市販して欲しかった…」などの声も投稿もされていました。
未来的なデザインをとり入れ、オンとオフを走れるオープンカーという独特な設定がなされたB9スクランブラー。ワクワクするクルマとしての魅力にはあふれていましたが、実用性で考えると市販化が難しかったのにも共感できます。
しかし、B9スクランブラーのようなスバルテイストあふれる個性的なクルマが今後も発表されるはずです。カーファンとしてはスバルの今後に期待せずにはいられません。
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みんなのコメント
XPLAYは自称クロスオーバーですが、最低地上高は他のコペンと同じ110mmしかありません。
XPLAYも最低地上高を150mm以上にしてやって、オフローダーというかバギーっぽいイメージを出していれば、もう少し需要が出て、製造終了なんてことにならなかっただろうにと思えて残念です。
20年以上前にこんな事がありましたとか見出しにいれて下さいよ。