一時停止するドライバーは確かに増えていた
いわゆるひとつのゴールデンウィークである。COVID-19の感染拡大に伴い、東京・大阪・京都・兵庫の4都府県では緊急事態宣言の発出中であるが、それでもちびっこたちは自宅近隣の公園などで元気に遊び回ることだろう。善き哉である。
信号のない横断歩道は歩行者優先! 約8割のクルマが止まらない実情とは
だがそのときに気になることのひとつが「横断歩道問題」だ。
心あるcarview!読者各位は先刻ご承知のとおり、信号機のない横断歩道を渡ろうとしている歩行者が確認できた場合には、我々ドライバーは横断歩道の手前で停止しなくてはならない。昔からある、ごく当たり前の交通法規である。
だがこれがどうにも守られていない。
筆者は2018年と2019年にもこの問題について、このcarview!にて記した。その当時と比べれば、ここ最近は体感として「止まるドライバーが増えてきたかな?」とは感じており、実際、JAFの調査によれば増えてもいるようだ。
具体的には、「信号機のない横断歩道における車の一時停止率(全国)」は、2018年は8.6%であったが翌2019年には17.1%へと大きく進捗し、2020年の調査では21.3%へとさらに微増した。筆者の「体感」はあながち間違いでもなかったのである。
それでも8割のドライバーが歩行者をガン無視している
しかし、逆に言うなら「まだまだ2割程度でしかない」ということにもなる。
都道府県によって「停止率」は大きく異るのだが(最良が長野県の72.4%で、最悪が宮城県の5.7%)、まぁ全国平均で言って約8割のドライバーが、ちびっこやお年寄り、あるいは子育て中のパパさん・ママさんなどが赤子を抱えながら信号機のない横断歩道を渡ろうとしていても、ガン無視しているということだ。
危険であるだけでなく、恥ずかしいことである。
いつから我が国は、こんなにも情けない、ダサい国になりさがったのだ。
未来を担うちびっこたちが信号機のない横断歩道で困惑している顔を、歩行者として歩きながら見かけるたびに、そしてドライバーとして、横断歩道手前で停止したわたしに対し、ちびっこたちがわざわざペコリと会釈しながら足早に渡る姿を見るたびに、筆者の胸の中には何とも言えないどす黒い感情が溜まっていく。
「こんなことでは先進国として、民族として恥ずかしいし情けないし、これでは、ちびっこたちが将来『車=敵』と認識する人間に育ってしまうではないか!」
そう絶叫しながらバシバシと愛車スバル レヴォーグのステアリングホイールを叩きまくる筆者を、ちびっこがビビり顔で見つめ、そして目をそらす。しまった。図らずも、わたくしも自動車のイメージを悪化させてしまった……。
5割以上のドライバーが停止する自治体のノウハウを共有しよう
まぁそれはさておき、問題は「対策」である。
2018年には全国平均で8.6%だった停止率が2020年に21.3%になっているということは、アップトレンドであることは間違いない。だがそれは「緩やかなアップトレンド」でしかないため、このままのペースでは、内燃機関が終わりを迎える2030年代半ば頃になってようやく、全国平均が50%を超える程度だろう。そうではなく、何かしらの「抜本的な対策」を今すぐ打たなければならないのだ。
まず考えられる対策は、「優秀県のノウハウを共有する」ということだ。
前述したとおり、宮城県は5.7%という体たらくだが、逆に72.4%の長野県や54.1%の静岡県、49.4%の新潟県など、この法規がある程度以上普通にワークしている自治体もある。
そういった自治体には絶対に何らかの「ノウハウ」があるはずゆえ、その手法を都道府県の垣根を越えて共有し、皆がただちに模倣することで、全国平均はたちまちのうちに上昇するだろう。
そうすれば、遠方の都道府県民からは「似たような県」とみなされている鳥取県と島根県において、なぜかこの点に関しては発生しているデカい格差(鳥取県=22.0%、島根県=43.2%)もただちに是正されるはずだ。
大手総合広告代理店に横断歩道問題を丸投げすべし
しかし……こう言ってはなんだが公務員の方々というのはパブリシティがあまりお上手ではなく、また「自治体ごとの垣根」みたいなものも、やはり厳然とあるはあるのだろう。それゆえ、自治体主導でこの問題を完全解決に導くのは正直難しいだろうと、筆者は思っている。
ならばどうするべきか?
……筆者が考える最良策は、日本国政府が大手総合広告代理店に“丸投げ”することだ。
筆者が就活生だった約30年前は文系学生にとって「憧れの会社」であり、非常に狭き門であった大手広告代理店。
しかし今や、そのイメージは「具体的なことは全部下請けにやらせて、中抜きばっかして肥え太る巨悪の根源」「政府の巨額予算が必ずツーカーで流れ込むが、大したことは何もやってない」「労働条件がブラック」等々、評判は地に落ち、「憧れの存在」から「蛇蝎(だかつ:ヘビとサソリ)のごとく嫌われる企業」へと変わってしまったようにも思われる。
上記の「評判」が事実なのかどうか、筆者は知らない。だが、なんだかんだで大手広告代理店という業種には優秀な人材が多いことだけは確かであるはずだ。
それゆえ今こそ、この横断歩道問題を完全解決する戦略の立案と実行を政府より請け負う。そして、いつもみたいに下請けや孫受けに丸投げするのではなく、自らのプライドのため、そして企業イメージ再建のため、最良案を展開すれば――わりとたちどころに、今で言う「歩きタバコ? まぁまだやっている人もいるけど、最近はかなり少ないよね」的な結果になるのではないかと思うのだ。
広告のプロの、腕の見せどころである。
文:伊達軍曹
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みんなのコメント
こちらも手を振り返す。
ほっこりしちゃうんだな~これが。