この記事をまとめると
■ランドクルーザーFJが大人気で中古市場にも多数出品されている
これ絶対に売れるやつ! 話題の「ランクルミニ」がついに登場! その名も「ランドクルーザーFJ」は若者にも手が届く「買えるランクル」だ
■人気の一方で車内の狭さや動力性能に不満をもっている人も多い
■今後ディーゼルモデルが出ればガソリンモデルは中古で安価に買える可能性がある
飛びついたものの後悔している人も
2026年5月、トヨタのランドクルーザー(以下:ランクル)シリーズ(300・250・70)の3モデルに、新たな仲間が加わった。かねてより「ランクルミニ(ミニランクル)が出るぞ!」との噂が本当に実現したと大盛り上がりだった、ランドクルーザーFJである。
タイで生産されている商用車、ハイラックスチャンプをベースとしたこのクルマは、同じくSUVカテゴリーで大人気の、スズキのジムニー(JB64)のようなカクカクしたタフワイルドなスタイルで、現在販売されているランドクルーザーシリーズのなかで、一番ゴツいといっても過言ではないデザインとなっている。末尾につく「FJ」とは「Freedom & Joy(自由と楽しさ)」の略となっている。
ちなみに、「ミニランクル」とか「ランクルの末っ子」と、いかにも小さいみたいな雰囲気で語られているが、全長4575mm・全幅1855mm・全高1960mmと、とくに小さくない、むしろデカいくらいだ。ランクル250より小さく、RAV4より大きいといった感じだろうか。なお、現行モデルのランクルシリーズのサイズは以下のようになる。
70(AX):全長4890mm・全幅1870mm・全高1920mm
250(VX):全長4925mm・全幅1980mm・全高1925mm
300(ZX):全長4985mm・全幅1980mm・全高1925mm
FJ(VX):全長4575mm・全幅1855mm・全高1960mm 見てわかるように、全高はこのランクルFJが1番高い。近くで見るとかなりノッポな感じで、ルーフボックスでもつけようものなら、立体駐車場はほぼアウト。リフトアップすると相当背高に見えるはずだ。
そんなランクルFJだが、じつはもう販売店では全然買うことができず、販社次第ではキャンセル待ちや抽選、受注停止などになっている。筆者の知る範囲では、「色が選べないけど枠が手に入った」という人は目撃した。このランクルFJは当初、「誰もが買えるランクル」みたいな雰囲気を匂わせていたが、現実はそう甘くないようだ。ただ、価格は450万100円とシリーズでは1番安い。次に70の480万円だが、こちらは、昨年秋ごろの抽選、2026年前半での納車が3000台ほどあったというが、それ以降は音沙汰がなく、もはや幻のクルマだ(オーストラリア仕様は生産が始まり順次出荷されている様子)。
さて、そんなランクルFJは、5月に販売が始まったので、運よく買えた人たちへ順次納車がスタートしているのだが、意外と意見が割れている様子。
というのも、まず冒頭で述べたように、車体が全然小さくないのだ。イベントで見たり、似たようなクルマを見てサイズ感を把握した人も少なくないようだが、いざ家にもち帰ったり、買い物に乗って行くとそのデカさに、運転が不慣れな人、とくにファミリー層の奥さんは苦戦していることも少なくない様子。今どき「異様にデカい」ということはないが、軽自動車やコンパクトカーをメインとしていた人からしたらバスくらい巨大に見えるだろう。
またこのクルマ、車幅もあって背も高いので大きく見えるが車内が思いのほか狭く、荷室も車体のサイズから見ると案外普通なので、「あれ?」と思う人も意外といるようだ。しかしクルマを買う前というのは、多くの人が現実を見るよりもワクワクが勝ってしまうので、ネガな部分は見えない、見て見ぬ振りをするというのが実情だ。
誰もが買えるランクルになる日は来るのか
そして1番の問題がこのクルマのパワーユニットにある。搭載されるのは2TR-FE型、つまり2.7リッターの直4エンジンであるという点だ(ランクル250などもこれ)。これに6速ATが組み合わさるのだが、最高出力が120kW(163馬力)、最大トルクが246N・m程度しかなく、車重は約2トン。これがかなり厳しいようで、普段乗るぶんには大きな問題はないが、正直パワー不足という声が多い。
形が気に入った人はその限りではないが、ランクルファンを筆頭とするクロカン四駆ファンは圧倒的にディーゼル支持者が多く、このクルマの発表時にガソリン車しかないことで、落胆した人も少なくなかった様子。ただしクロカンといえどジムニーに関しては例外だが……。
なおランクルFJに関しては、マイナーチェンジでディーゼルモデルが加わると予測している人が大半で、実際に開発側でもそういった声を多くもらっていると語っているので、「眼中にない」ということはなさそうだし、今のトヨタであれば体力的にディーゼルモデルを追加するのは余裕だろう。もちろん、タイ生産なので現地との調整も不可欠だが。
ただ、この「結局人気で買えない」「意外と安くない」「ガソリンモデルしかない」というのは、なにも悪い話ばかりではない。これだけ注文が殺到し、じゃんじゃん売れるほど需要があるという点と、ディーゼルモデルを待っている人がいるということは、もし仮にこれから先ディーゼルモデルが出れば、パワー不足で燃費もイマイチなガソリンモデルは中古車市場に一気に放出される可能性がある。
現在、ランクルFJは記事執筆の時点で約50台が中古車市場に流れており、590万円~700万円程度で新古車が販売(事実上の転売)されている。新車価格にプラス30%ほど上乗せされている計算だ。下取り額も買った額以上は確実だろう。ただ、これはあくまで今の話であって、もしディーゼルモデルが出れば、車両価格は上がるが、ガソリンモデルは新車価格割れになる可能性が高い。あくまで今の値段は需要と供給が追い付いていないだけのことだし、「この額で買う人がいるのか?」というのが筆者の正直な感想だ。ジムニーノマドの惨劇に近いことが起きそうな予感がしている(すべてはトヨタの生産体制次第だが……)。
ちなみにランクルFJではないが、「残価設定ローン」でしか契約できないといった形態で販売され、「それでも欲しい」と飛びついた人たちのランクル250が、もう1年前後で市場に出始めると予測されている(ランクル250の販売が2024年4月販売スタートで残価設定ローンの最短が3年契約なため)。残価設定ローンから再びローンを組み直すと金利などがかなり上がる場合があるので、そのまま払い続ける人は少ないという。
受注を停止しているといいながらも、今や見ない日はないほどランクル250は世に出ているので、こちらも動力性能でディーゼルに劣るガソリンモデルが、続々と手が出しやすい価格で放出される可能性が高い。となれば、中古にはなるが、ランクルFJではなくランクル250が先に「誰もが買えるランクル」になってしまうかもしれない……。ただ、この一連の食物連鎖ならぬランクル連鎖は、86をデビューさせたころに豊田章男現会長が語った、「お金もちは86をどんどん買い換えて若い人に中古として安いクルマを提供できる世のなかにしたい」という考えに近いものを感じるのは、筆者だけじゃないはずだ。
ランクルFJは次いつ受注を再開するのか、今後どんな展開をしていくのか、ガソリンモデルのみを貫き通すのかディーゼルモデルを出すのか、中古車相場はどのようになっていくのか、展開が楽しみな1台である。
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